見出し画像

自分を高く売れ、みんなで高く飛べ。

誰もが「自分を高く売りたい(評価されたい)」と思っている。
誰もが、損をせずに得をしたいと考えている。
その方法が、一昨日、分かった。

その青年はある日、飛び込みの営業マンから社長になった。
彼の名前は大堀健二。現在では、全国180拠点のチェーン本部を経営する社長である。
一昨日、私はその加盟店の全国会合に出席。大堀社長を「社長」にした創業者の豊田昭博会長と懇談する機会を得た。

この話こそが、「自分をいちばん高く売り、損をしない取引をする方法」そのものだった。

大堀社長が豊田会長に出会ったとき、大堀社長は28歳。
某財閥系大手IT企業のシステムを売る営業マンだった。
飛び込み営業に来た大堀青年にただならぬ「資質」を感じた豊田社長(当時)。
「君は、ゆくゆくは何がしたいのかな」
大堀青年の歯切れ良い答えを聴き、感じ入った社長は、その場でオファーする。
「実は、いま貴方が言ったことをやる会社をつくろうとしているんやけど、社長をやってくれませんか」
なんと初対面の営業マンを社長にするという。
大堀青年は「ハイ! 喜んで」と即答。
その場であっさり某大手企業での安定した生活を手離し、やると決断。
大阪の片隅の零細企業社長と、そこに飛び込んだ名も無き青年が、運命共同体となった瞬間である。

年月は流れ、低金利新車販売の仕組みが確立され、二人の志と実績に共鳴した経営者が続々と集い、堂々たるフランチャイズシステムとして業界を席巻している。
豊田社長は大堀青年の人となりや仕事ぶりをもっと調べてからオファーすることもできた。今でこそ大社長だが、当時はひとりのサラリーマンでしかなかったのだ。
大堀青年は、豊田社長に条件面や保証などを詳しく聞くこともできた。今でこそ大会長だが、当時は街の片隅で自動車を売っている小さな会社の社長だったのだ。
しかし、お互いが即決し、相手を信じて(というより、疑いもせず)数十年のパートナーとして働いてきた。
何故こんなことが、出来たのか。

この即決イズムの話は、私に大きな衝撃を与えてくれた。
「即決」には、すさまじい威力がある。
大堀青年が保身や損得を考えるなら、絶対に熟考すべきだった。
豊田社長が実利と発展を企図するなら、慎重に採用すべきだった。
それらを超えるものが、そこにはあったのだ。
互いにそれを感じた証が、「即決」である。
それは何だったのかを聴いたら会長、目を光らせて
「志が同じやから」
電撃ショックで300メーターくらいぶっ飛ばされた。

リスクとか損得とか保証とか、そういうものを超えるのは「志」なのだ。
自分の価値をいちばん高めてくれるのも、かけがえのない仲間を集めるのも、すべて志なのだ。

何のために生きるのか。
何を仕事にするのか。
誰とどのように働くのか。
根本は、志である。

私自身、現在チームビルディングの真っ最中。
どうすれば良いチームが出来るのか頭を悩ませ、もどかしい進捗にやきもきしていた。が、違う。そうではない。
志があれば良いのだ。
仲間の人生を背負えるのか、保証できるのかということに気をとられ、消耗していた。
ロジックで考え、プラン通りに進まない現実に疲弊していた。
いつしか、それを理由に先行きを不安に思いはじめていた。
仲間は大切だが、自分ひとりでチームはつくられない。
私には、仲間を信じる心が欠けていた。
仲間を安心させたいと思いながら、それはどこかで駆け引きめいたものになっていたのかもしれない。
自分が志を打ち立て、それに殉じる覚悟を持てば、呼応する仲間は必ず集まる。

それを学ばせていただいた。
知識として知ってはいたが、他に気をとられ忘れてしまっていた。
大切な原点を再び想い出させてくださった「軽が安い」グループの大堀社長、豊田会長には感謝してもしきれない。
大阪の人間なら誰もが憧れる歴史的建造物「大阪市中央公会堂」で、いま再びの原点に立ち帰った。
万感を込めて、勉強になります!

山泊りょう(作家・映像作家)
※写真は、総会のフィナーレ。私は大堀社長の要請によりゴールドスーツにて登壇。

・・・・・・・・・・・・・・・

余談だが、豊田会長は奥様にも出会った日に即決で「結婚しませんか」と声をかけ、その足で一緒に結婚指輪を買いに行ったそうだ。
ズボンの尻ポケットに入っていた現金38万円でいちばん高い指輪を購入して贈った。
「もし結婚しなくなったら、どうするんですか?」と聞くお嬢さん(のちの奥様)に、豊田青年は一言。
「プレゼントします」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?