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東京のホテル宿泊記録(①DDDホテル)

前回記事で「社内ニートになった自分は好きなことをして生きていく」という、どこぞの自己啓発本みたいなことを書いて前回の記事を締めくくりましたが、そのなかで宣言した「少し始めたこと」とは、東京のホテルに泊まって、A:そのホテルの宿泊記録をしながら B:ホテル周辺のいろんなことを考える ということです。

宿泊したホテルのデザイン関連のレビューをA面、運営や街づくりなどのバックグラウンドなどに関してぼんやり考えたことのエッセイをB面として、1ホテルにつき2本立てでシリーズ化していきたいと思っています。


記念すべき第1回目に選んだのは馬喰町にあるDDDホテル

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安心感のある赤茶色のレンガ風タイルとアーチ型の窓が特徴的なこのホテルは、元々はいわゆる普通のビジネスホテルだったそうですが、秋葉原や浅草といったインバウンドにも人気なエリアに近いことから、またオーナーのまちづくりに対する思いから(これについては詳細は次回)、大規模なリノベーションが行われ、昨年の11月にリニューアルオープンしました。

建物の正面左側は実験的なキッチン空間とギャラリーとのことですが、イベント事がある時にだけ利用されているようで、中身は見ることができませんでした。(ショウウィンドウのようになっているのですが、ガラスの向こうがすぐ壁なので街に開いた形となっておらず個人的にはやや残念)

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大きな金色の自動ドアが開くと1階はエントランスホール。全体的に白を基調としたミニマルな空間で、大判でシックなタイル床と2階のフロントロビーと繋がる吹抜けの間接照明が印象的です。

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エレベーターで2階へあがるとフロントロビーとその奥にあるカフェ・バー  が見えます。2階は元々客室フロアだったため、非常に天井高が低いのですが、その分奥行が強調された構成となっています。

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カフェ・バー「abno」は窓に面したカウンターや高い大机、ソファ席などさまざまな席が用意されており、使い勝手はすごく良さそうでした。この時期なので、賑やかな空間というわけにはいかないですが、(ホテルスタッフや関係者など身内だと思われますが)夕方頃にはPC作業やWeb会議をしている人なんかも見られました。

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お話を伺ったスタッフの方も「客室は極力シンプルで寝るためだけの場所になっているので、バーは11時に閉まりますが24時間開けていますのでぜひこのこの場所を使って欲しい」と仰っていましたが、コロナ前は外国人の方も大勢集まる街のサードプレイスのような場所になっていたのだと思うと、この閑散とした状況はやはり切ないです。

さて、その「シンプルな客室」は壁・天井は白のEP塗装を基本として、腰壁がモスグリーンの板張りとなっており、コンパクトながらコントラストの効いた空間で心が凛とすると同時リラックスするような不思議な空間です。

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デザイナーのケース・リアル:二俣さんという方は、この白とモスグリーンのカラーコードや水回りの納まり、机椅子などの家具やクローゼット等、新規でデザインできるところはかなりストイックに、繊細にデザインされている印象を受けます。また、ベッドやアメニティなど肌に触れるものは特にこだわって選定されているそうで、そのあたりは良いな、と思いました。

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一方で、リノベ物件であり元の躯体にかなりの制約を受けること、また、ストイックさが行き過ぎているところがあるのか、水回りの段差(H280)や天井のレベル差(入口はH1950とかなり低い)、窓まわりの納まりなど苦労する箇所についてはやや強引に解決されているようにも見受けられます。

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このあたりはリノベ物件の難しさだと思いますが、割り切るところは割り切り、こだわるところはこだわる、というメリハリが大事だと思います。そういった意味でこのホテルはそのギリギリのラインを攻めながら、快適な空間を目指したホテルになっており、上辺だけのオシャレホテルとは違う心地よい緊張感を感じます。

ところで、宿泊した部屋の実測も始めました。(こうみえて、ペーパー一級建築士兼インテリアコーディネーターなので!:1マス=200mm)

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この実測に関しては、なぜ始めたのかという理由も含めておいおい話をしたいのですが、この辺は徐々に腕をあげていきたいですね。(そのうち着彩もしたい)


運営や街づくりの関連、ホテルの経営などのソフト面に関しては、次回触れていきたいと思いますが、最後にコロナ対策について少し。。。

上の写真にもあるようにフロントはパーティションで区切られていたり、自動チェックイン機のところにビニール手袋があったり、客室内のコップが使い捨ての紙コップになっていたり、、と様々な配慮がなされていました。(他部屋を案内していただいた時にも「清掃にかなり力を入れていて指紋一つつけないように気をつけているので、ものには触らないでください」という注意がありました。)

ホテルにかかる清掃や衛生管理にかかる手間とコストは今後も継続してかかってくるものだと思います。このあたりの加減は、ホテル業界の課題になってきていそうで、実情は探り探りいきたいと思います。

初回はこんな感じで。



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