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20000227 日本銀行券

 紙幣$${^{*1}}$$をスキャナ$${^{*2}}$$で読み込みハードディスク$${^{*3}}$$やCD-R$${^{*4}}$$のデータとして保存しておくことは紙幣偽造$${^{*5}}$$の罪に問われるのだろうか。

 刑法$${^{*6}}$$の第148条では「行使の目的で、偽造した者」とあるから、行使の目的「外」$${^{*7}}$$ならば紙幣を複製印刷しても構わないのか。
 「行使の目的」かどうかは当局$${^{*8}}$$や裁判官$${^{*9}}$$が決めることであって、本人の意思はあまり関係ないかも知れない。1964年に「模造千円札$${^{*10}}$$」を芸術作品として制作した赤瀬川原平(あかせがわげんぺい)$${^{*11}}$$が「通貨及証券模造取締法$${^{*12}}$$違反」で起訴された。そして67年には有罪判決を受けた。上告したが70年に棄却されて裁判は結審した。  

 紙幣の画像をスキャンしてデータを保存する$${^{*13}}$$のは解釈によっては$${^{*14}}$$危ないところだろう。簡単な作業によってプリントアウト出来るので、電子データの状態だからといって「行使の目的がない」と主張するのは非常に難しいのではないだろうか。第148条で罪に問われるのは「偽造した」場合であるが、第153条では「偽造の準備」をした場合でも罪になると書かれている。

 JPEG$${^{*15}}$$とかGIF$${^{*16}}$$等の画像ファイルは、パソコンを起動させて、それら画像ファイルを見るためのソフト、例えばPhotoshop$${^{*17}}$$を立ち上げてモニター画面に映したり印刷して、初めて画像として見ることが出来る。

 普段はハードディスクやCD-Rの中にデジタル信号として記録されているだけである。それをプログラムによってその「0」「1」のデジタル信号を色や輝度やその点の位置などに変換して画像を組み立てる。
 写真や絵は変換されることなくそのまま画像としてこの世にある。JPEGやGIFの形になっている画像そのものの実体はこの世には存在せずに、単に信号というか符号があるだけだ。信号も実体ではないかと思うかも知れないが、デジタル信号は電気や磁気である必要はなく何でも代用が効くので実体とは言えないような気がする。

 例えば、男性を「0」、女性を「1」として番号札を渡すことによってデジタル信号の記憶が出来る。
 「1001010・・・」という信号があるとする。1桁目は「1」だから女性に1番の札を渡す。信号を画像に復元するには何処の誰に番号札を渡したかちゃんと把握しておかなければならないので、住所氏名電話番号をちゃんと聞いておく。2桁目は「0」なので男性に2番の札を渡す。これも同様に不本意ではあるが住所氏名電話番号をちゃんと聞いておく。これを繰り返せば信号の記録は完全に出来る。番号札を絶対なくさない様に注意しておかなければならない。復元するには札を渡した全員に連絡して集まってもらう。そして札を返してもらい、それをパソコンに打ち込めば画像が現れる。
 住所録があるのだからそれぞれ番号札を渡す意味があるのか、と問われそうだが、言いたいことは人の集合体でも記録媒体$${^{*18}}$$とする事が出来ることである。

 画像の実体とは直接関係のないこの人の集まりを「紙幣偽造の準備」行為とするのは少々無理かも知れない。また現実にこれをやろうとすると20KB$${^{*19}}$$のJPEGファイルならば163840人必要となる。

 結局、思考の内容の問題だから、どうということはないのかも知れない。

 偽造の可能性を心配をしたのか、日本銀行$${^{*20}}$$のページの紙幣の画像$${^{*21}}$$には丁寧に赤い「見本」の文字が二つと赤い斜め線2本が入っている。

*1 大和銀行 紙幣資料館 現在通用している主な貨幣
*2 イメージスキャナの定義
*3 ハードディスクの仕組み
*4 CD-R Station
*5 財務省印刷局日本語トップページ
*6 法庫 刑法 第16章 通貨偽造の罪
*7 謎の人のホームページ
*8 警察庁ホームページ
*9 最高裁判所ホームページ
*10 第三章 千円札裁判
*11 who's who
*12 法庫 通貨及証券模造取締法
*13 偽札作りのライセンス
*14 「謎の人」の紙幣等画像電子情報の公開についての私的基準
*15 コニカ JPEG:ジェイペグ
*16 コニカ GIF:ジフ
*17 Adobe Photoshop
*18 記録媒体と寿命
*19 コニカ KB
*20 日本銀行 Bank of Japan (Japanese)
*21 偽造防止対策

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