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20031207 株の天気図

 株式会社$${^{*1}}$$が資本金を調達するために発行した株券を売買する市場を株式市場$${^{*2}}$$という。市場というのは実際に品物などを交換や売買するための場所である。巷の店やインターネットオークション$${^{*3}}$$も市場の一種だ。

 市場で売買される物の価格は、その市場に参加する人のみが決める。市場に参加する人々が互いに物の交換比率を決め、それを交換するだけなので市場において何か価値が創造されるということはない。価値観の摺り合わせを行って物と物とを交換しているだけである。

 株式市場の場合、株とお金とを交換している。市場参加者$${^{*4}}$$が市場の決まり$${^{*5}}$$に従って交換をしている。

 株と金との交換比率はどうやってきまるか。市場参加者の思惑のみで決まる。その株を発行している会社の事業規模とか財務状態によって決まるのではなく、参加者の感覚のみである。基準も何もない。会社更生法$${^{*6}}$$の適用を受けた会社は一株10円以下とか、世界で一番儲けている会社の株価は3000円以上といった基準は一切ない。

 「将来この株は上がりそうだからこの価格で買ってもよい」などと思う人と「この株はこれくらいの値段なら売ってもよい」などと思う人とが株式を売ったり買ったりしている。

 例えば市場に参入している人の数が三人だとする。三人で、ある会社の株式を売買する。ある人がその株式を売ろうと思うとする。残りの一人はあとの一人も欲そうな様子ので早めに少し高めに買う。あとの一人はどうしても欲しいので、先程買った人からまた少し高い値段で買おうとする。こうして株の値段が上がったり下がったりする。三人のうち最後の人が「どうしても欲しい」と思う理由は、また他の人に高く売れそうだと思うからである。市場参加者が三人しかいないとこういう心理にはなりにくいが、参加者が沢山いれば十分そう思うことができる。

 株式による個々の資産の増減は市場に参加している人々が市場に投入した資産の量に依る。市場で多くの金が動けば多くの人の資産が増える可能性が高まり、少なければ多くの人の資産が減る可能性が高まる。

 生活必需品などの市場と違って、株式を買うのは儲けるためのみである。だから純粋に損をしたり得をしたりする。生活必需品であればそれを使うということで価値は帳消しされていくが、株はそういう訳にはいかない。実生活には何ら役に立たない証書$${^{*7}}$$を儲かるかも知れないと思って買ったり売ったりしているだけだから、株式市場は胴元のいない賭博のようなものである。株主優待$${^{*8}}$$や配当金$${^{*9}}$$というのがあるが、株の値段に比較して非常に安いので、それで儲けるためには物凄く長い年月が必要となる。

 株式投資は賭博のようなものなので、その勝敗の様子を知りたくなるのが人情であろう。それを最も簡単に表したのが、日経平均$${^{*10}}$$とTOPIX$${^{*11}}$$である。株式市場の変化の様子がこれらで判った気になる。

 日経平均などの単一の指標では個々の銘柄の変動が判らない。インターネットで個々の銘柄価格を調べることができる$${^{*12}}$$が、いちいち各銘柄のページを見ないと判らない。新聞の株式欄のようにざっと見ること出来て、しかも一度に各々の銘柄の価格変動の大体が判るようにしたい。

 こういった要望を実現したのが「ストックウェザー$${^{*13}}$$」である。各銘柄を小さな四角で表し、変動をその色で表している。この四角を業種毎に並べて市場の株価がどのように変動しているかを一目で分かるようになっている。小さい四角を並べた図を「市場マップ」と呼んでいる。20分毎に株価変動の情報が更新されるようになっている。

 市場マップはさながら株式市場の天気図のようであることから「ストックウェザー(株の天気)」と名付けられたのだろう。更に20分毎に情報が更新されるようになっている。

 ただ、この株の天気図というのは一見意味がありそうだが、よく考えてみると銘柄を示す四角の地図上の位置と株価の変動とは全く関係がない。業界毎に四角を一直線に並べても十分用は足せる。地図のようになっていなくてもいいのである。 

*1 20000610 なか株
*2 東京証券取引所
*3 Yahoo!オークション
*4 iFinance-株式市場の参加者は
*5 東証 : 定款等諸規則
*6 Mainichi INTERACTIVE ことば ◆ 会社更生法 ◆
*7 東証 : これが株券です
*8 株主優待倶楽部
*9 配当
*10 日経平均プロフィール
*11 東証 : はじめに
*12 Yahoo! ファイナンス
*13 StockWeather Japan

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