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20001203 親切な行い

 先日の朝、鞄を持ってスーツ姿で家から最寄りの駅に向かって歩いていたら、自動車に乗った初老の男性から声をかけられた。

「あのー、どちらまで行かれるのですか」
「はぁ、駅までですが」
「お乗りなさい。私も駅に向かう途中ですから」
「では、お言葉に甘えて」

という具合に自動車に乗り込んだ。最寄りの駅と言っても歩いて25分ほどの距離にある。朝の9時過ぎだったから普通一般の通勤時間より遅い。少し遅い朝に公共交通機関から離れた地域をスーツ姿で歩く私を外回りのセールスマンか何かと思ったのだろうか。

 到着する間、この辺りの交通機関はなかなか発達してくれないというような話しをして、目的の駅で降ろして頂いた。丁寧にお礼をしてその場を去った。

 考えてみると、もし通勤途中と見なすことが出来れば、見知らぬ人を自分の自動車に乗せるという発想はなかなか出来ないだろう。他人から見れば通勤は日常であるはずだ。やはり、私が何か困っている様子でないと助ける気にはならない。余程尋常でない様子で歩いていた$${^{*1}}$$のだろうか。最近買った革靴が少々硬くて歩きにくいが、それが原因とはあまり思えない。歩いていた場所と時刻、鞄、スーツを総合的に見てて私の状態が非日常であると初老の男性は判断したのだろうか。

 件の男性がどう思っていたかは永久に自分には分からないが、親切行為であったことは間違いない。このお陰で数日にわたっていい気分にさせてくれるのだから、親切は大切な行為であることを改めて思った。

*1 Monty Python!!

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