見出し画像

20030223 永久ゴマ

 永久ゴマ$${^{*1}}$$という玩具$${^{*2}}$$がある。「永久に回り続けるコマ」と言う意味だが、本当は黒いコマの台の中には電池が入っている$${^{*3}}$$ので、電池がなくなればコマは止まる。

 中学生の頃、理科の先生に教わって、この「永久ゴマ」を作ったことがある。中にはコイルがあった$${^{*4}}$$。このコイルは鉄クギに細いエナメル線を何千回も巻かないと上手く動作しない。手で巻くのは大変なので、先生は手回しドリル$${^{*5}}$$を改造して何回巻いたか判るように機械式計数器$${^{*6}}$$付きのコイル巻き器を作った。結局、私が作ったコマは「永久」には回らなかった。回路の接続が正しくなかったのだろう。

 コマの中には円盤形の磁石が入っていて、コマの台の中にあるコイルは二重巻きになっている。コマが回ると内蔵された一方のコイルにわずかな電流が流れる。この電流をトランジスタで増幅してもう一方のコイルに電流を流してコマの回転を加速させるのである。

 円盤形の磁石$${^{*7}}$$は大抵は裏表が北極、南極になっている。この永久ゴマに使う磁石は上から見て左右が北極南極なっていないと駄目である。台に内蔵されたコイルに電流が流れるようにするには磁石から発生する磁界が回転に伴って変化しなければならない$${^{*8}}$$。裏表が北極南極になっているとコマが回転しても磁界は北極か南極ばかりなのでコイルに電流が流れない。先生は左右が北極南極の磁石を探すのが苦労すると言っていた。

 この永久ゴマは特許$${^{*9}}$$になっていた。コマの台は横から見ると浅いすり鉢状$${^{*10}}$$になっていて、コマが常にコイルの上に落ち着くようになっている。コマの磁石は左右が北極南極になっているので中心からは磁界が全く出ない。コマの軸がコイルの真上にくると磁界の変化がなくなるのでコマが止まってしまう。だから台の中央が少し盛り上がっていて、コマが完全にコイルの真上に来ないようになっている。

 乾電池でコマを動かしているので完全に「永久」ではない。太陽電池と充電池を組み合わせればまだ完全に永久ではないが、「永久」度が増す。コマの台にどうやって太陽電池を組み込むかが問題である。外から太陽電池が見えると仕掛けが判ってしまい、面白くない。

 永久ゴマはアメリカでは「Top Secret(極秘)」と言う名前になっている。「Top」は「コマ」という意味もあるので洒落になっているのだ。英語名は今回この記事を書くに当たって初めて知った。

*1 【楽天市場】スターキッズ 永久ゴマ
*2 Cool electromagnetic toys you can buy
*3 Physics Toys top_secret.html
*4 みんなの科学ファンクラブ 永久ゴマ
*5 Homac便利ノート/家のお手入れ/No.2日曜大工の基本(穴を開ける・削る) ハンドドリル
*6 メカニカルカウンタ
*7 異方性フェライト | 日本磁石工業株式会社
*8 川崎火力/発電の原理
*9 NOVELTY ELECTRIC MOTOR (US3783550)
*10 1499066645244445880-03783550 - US3783550.pdf

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?