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20040716 空の赤

 空は青い$${^{*1}}$$が、何故夕日は赤いのか。日中の空は快晴であれば隅々まで青い。厳密にいうと少し違う。水平線や地平線に近づくと青さが淡くなる$${^{*2}}$$。水平方向には何十kmにわたって塵や埃が浮遊している空気の層が横たわっているので、かすんで見える。このかすみの原因は浮遊する塵や埃によって上から来る太陽の光が散らばっているからである。

 この散らばりは、空気の分子に依る散らばり$${^{*3}}$$とは違う。塵や埃は空気の分子に比較して格段に大きい。そしてそれらの大きさもばらばらである。光の波長に近い大きさの塵や粒子での散らばり方$${^{*4}}$$とそれよりも大きな埃などでの散らばり方$${^{*5}}$$では全然違ってくる。波長$${^{*6}}$$よりも大きい粒子が沢山浮いていれば、波長に関係なく方々に散らばるので白っぽく見える。従って水平線近くでは青色が薄まってくる。

 日中は太陽の光が上の方から降り注いでいる。太陽の光の内、空気中でよく散らばるのは青い光なので空全体が青く見える。赤い光は青い光に比べて散らばりにくいので空からは直接目に入らない$${^{*7}}$$。

 日が傾いたり、日出の時は太陽の光は横から飛んでくる。水平線近くの青空の部分と同じように、水平方向には厚い空気の層がある。その厚い空気の層を太陽光が通過してくる。青い光は散らばりやすいのでどんどん散らばってしまう。赤い光は少しづつ散らばってくる。空気の層を通過する内にだんだん青い光は散らばり尽くして赤い光だけが残って散らばる。すると赤い光だけが目に入ってくるので夕焼けになる。

 地表近くには塵や埃が漂っているので、更に光は散らばる。夕方の太陽の方向から来る光は日中の太陽の方から来る光と違って赤い光しか残っていないから、空気中に程良い量の埃があると赤色が程良く散らばって更に鮮やかになる。

 これで夕焼けが赤くなる理由は判った。太陽の光が空気の中を長く通過するので青い光は散らばり尽くして赤い光だけが残って散らばって目に入るからである$${^{*8}}$$。日中は朝夕に比べて太陽の光が空気の層を通過する距離が短いので、青い光が散らばったのが目に入るのである。赤い光はそのまま散らばらないので目に入らない。

 ここで疑問が出てくる。夕焼けは赤いが、空が全部赤くなるわけではない。真上の空は青い。太陽と反対側の空も薄暗いが青い。これは一体どういうことか。空の上の方や太陽の反対側の方が光が空気中を通過する距離が長いはずである。太陽の光が空気中を通過する距離が長くなると赤くなるはず$${^{*9}}$$なのに青い。何故だろう。

*1 20040711 空の青(4)
*2 Sky Saturation and Brightness
*3 理科年表オフィシャルサイト/FAQ/気象部:なぜ夕日は赤く、空は青いのですか?
*4 The optics of a water drop Mie scattering
*5 空はどうして青く、夕焼けはどうして赤いのですか?
*6 20040708 空の青
*7 Mie Scattering
*8 8月16日放送「夕焼けは、なぜ赤いの?」
*9 「科学の大百科(レイリー・ライダー)」NICT情報通信研究機構 北極域国際共同研究グループ

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