20060524 ナプキンとナフキン
洋食の時に卓上に置いてある手拭いのことをナプキンという。ナフキンともいう。英語では「napkin$${^{*1}}$$」だから、「ナプキン」が語源に近い言い方だが、なぜか「ナフキン$${^{*2}}$$」ともいう。ナフキンの語源は何か。
日本語に「ナプ」という音がないからそれに近い音の「ナフ」になったのか。それとも「布巾」の連想で「ナ布巾$${^{*3}}$$」となったのか。
生理用品の場合は例外なく「ナプキン$${^{*4}}$$」と呼ぶ。もしかしたら「ナフキン」という言葉は「生理用ナプキン」が登場してから、それと区別するためにできてきた言葉かも知れない。ナフキンはそうなると結構新しい言葉だ。
調べてみると同じ様な事を考えていた人$${^{*5}}$$がいた。ナフキンという言葉は石川啄木$${^{*6}}$$や有島武郎$${^{*7}}$$が1910年代に使っていた。生理用ナプキンの歴史$${^{*8}}$$を見ると、1961年に日本でナプキンが発売されたらしいので、ナフキンは生理用ナプキンと区別するためにできた言葉、と言うわけではなかった。むしろ逆で食事に使うナフキンと区別するために生理用品は必ず「ナプキン」と呼ぶようになったのか。これも違うようだ。1930年代に発行された「婦人家庭百科辞典$${^{*9}}$$」には「布巾のナプキン」しか載っていない。ということは昔から布巾としては「ナフキン」「ナプキン」の両方の呼び方があって、生理用品としては最初から「ナプキン」という言い方しかなかったことになる。
生理用ナプキンは布巾とは似ても似つかないので「ナ布巾」とは呼びにくかったのだろう。
*1 napkin. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*2 キャラクター紹介
*3 What's this? - Tampereen taidemuseon Muumilaakso
*4 生理処理用ナプキンの構造
*5 道浦俊彦/とっておきの話 ◆ことばの話1932「ナフキン」
*6 我等の一団と彼 石川啄木
*7 有島武郎 或る女(後編)
*8 生理処理とナプキンの歴史
*9 筑摩書房 書誌検索 婦人家庭百科辞典