ゆらぐ

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2023年2月5日、パリ13区――京都上京区にて。

この人が存在してくれて良かった。 と、思える映画。 それが、昨年に見つけた、自分の好きな映画の定義。 義を定めるのは苦手だ。そこから零れ落ちる対象が存在することを思うと、大胆に絞り込むことをためらってしまう。 だけれど、2022年の映画体験を振り返れば、この定義は自分にとって、完全だと思う。 『窓辺にて』の市川さんも、『劇場』の永田も沙希も、『C’mon C’mon』のおじさんも。 これらの作品は、彼らの存在は、私にとって「良い」ものだ。その事実は確固たるもので、他者に

    • 2022年10月4日、柳月堂にて。

      18時15分。 外が予想外に暗いことに驚きながら、出町柳の名曲喫茶「柳月堂」へ向かう。こんなふうに衝動的にどこかへ行くことは滅多にない。 誰かが昔勧めてくれたけれど、結局行ったことはなかった。音が大きいだろうか、少し不安がよぎる。しかし、東京であのサイケデリックな爆音名曲喫茶を耐え抜いたのだから、もう怖いものは無いか。 「リスニングルームをご利用される場合は、600円のチャージを頂きます」 「はい、そちらで」 わたしは、600円のチャージを厭わない人だったっけ。 思えば最

    2023年2月5日、パリ13区――京都上京区にて。