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#58 ウェルテルの苦悩は

ウェルテルの苦悩はウェルテルにしか分からない。
そんな突き放されたような確かな現実が、私を谷底に突き落とす。
ウェルテル効果だと言ってしまえばそうであろうし、それぞれが持っていた重りは一つずつ違うだろうというのも、またそうである。

昨日上司に「あなたは下っ端なんだから」という、確かに真実、でもとんでもなく冷たく突き刺さる言葉を言われてモヤモヤしていた。
謝っていただいたのだが、一度言われたことはなかなか消えない。
これが繊細だとか言われれば閉口するが、そもそもどうして悪意に皆一様になるべく鈍感でいなきゃいけない?躁鬱気質な人がどうして弱いと言われる?希死念慮だけで「あいつ変だ」と後ろ指刺される?

日本人病は本当に深刻で、同調圧力は個々人をどんどん殺していく。
自分が正しいなんてそう思えるほど強くない心が、蝕まれていく。

課の長は気配り上手で力の抜き方もうまく、私のこともよく見てくれているので、すかさずフォローしてくれてそれでとても助かった。
下っ端だなんてもちろん分かっているし、そういう振る舞いや努力はすべきだと思うが、他人からそんな言葉をもって上から押し付けられる筋合いはない。
パワハラですらあると、めちゃくちゃ強気な気持ちになって昨日は新人のくせに怒りを全身で伝えてしまい、それが謝罪してもらうことにつながった。
でも昨日の私は間違ってはいなかったと思うことにした。

「若きウェルテルの悩み」
若い人はいいな、なんて誰しも思うことだ。
22の私ですら、高校生が可能性でいっぱいに見えて羨ましい。
苦悩も知らずに。
若さが消える日のことを怖がるのは、苦悩を若さでなんとか押し殺し説得するのを、それすらも出来なくなる足のすくむような未来を見るからだ。
そうして今私に向けらるように、若者を羨み言葉で刺してしまう日が来ちゃうのだろうか。そんな道、なぞりたくないとはもちろん思うし、そうならないようにしたいけど…自信なんてない。

なるべく醜くなりたくない。美しく清いままで…周りに笑顔だけ与えたい。

訃報続きでなかなかにやられてしまった。
七月、美しい人の死の全うを聞いたときに乱れ暴れた心がふつふつと蠢く。
落ち着きを手に入れるためには私はあまりにも青く、あまりにも未熟だ。

「愛をください」
ユッコの書いた本のタイトルに心臓が唸る。

死ぬ理由に勝る、生きる理由がない。
この言葉はとても有名だが、私はこの遥か彼方で燦々と光る夢を手にしたとき、その後の恐ろしいほどの鬱に、どう耐えようというのか?
日曜日で、せっかくの休みだが、あまりに思考が暗く淀み沈んでしまうので、無理をせずゆっくり過ごす。

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