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『ゴルゴ13』のゴルゴに学ぶべき「クライアントの奴隷にならない」こと

前回、私が『ONE PIECE』のエネルに似ていると思う理由という記事を書きました。これを書いた理由は、私の価値観や考えをゼロベースで説明するよりも、『ONE PIECE』のような有名な作品に喩えたほうが説明しやすいと考えたためです。

その延長線上で、今回は『ゴルゴ13』に喩えて説明します。


ゴルゴは世界の変革を目指していない

『ゴルゴ13』といえば、フリーのスナイパーであるデューク東郷ことゴルゴ13が、クライアントからの依頼を受けて狙撃を行う漫画です(ほとんどは暗殺目的の狙撃ですが、人間以外を狙撃することもあります)。

ゴルゴは世界各国の要人を暗殺する依頼を受けることも多く、各国の首脳にとっては敵国の要人を抹殺できる切り札でもあり、自分を暗殺しかねない厄介な敵でもあります。ゴルゴは個人でありながら、世界情勢に影響を与える存在といえるでしょう。

ところが、ゴルゴは自分で世界を変革しようとか、世界を良い方向に導こうという意思を持っていません。ゴルゴほどの狙撃術があるなら、「世界のためにあいつを殺してやる」と、自分の意思で狙撃を行っても不思議ではありませんが、彼はそれをしません。あくまでクライアントの依頼通り、ターゲットを暗殺しているだけです。

ゴルゴと比べるのもおこがましいですが、このゴルゴの考えは私とよく似ています。私自身には"社会を良くしたい"とか"社会にイノベーションを起こしたい"といった意思は無く、あくまでクライアントからの依頼を元に仕事をこなしています。

ゴルゴは目的を達成できない仕事を受けない

このように書くと、ゴルゴはクライアントの依頼を何でも受けるかのように思われそうですが、そうではない。むしろ、ゴルゴは自分のルールに則り、仕事をかなり選んでいます。

ゴルゴのルールはいくつかありますが、特に重要なものは、目的を達成できない仕事を受けないということです(100%とはいえませんが、私も同じ考えで仕事を選んでいます)。

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これは「デロスの咆哮」というエピソードです。

簡単に説明すると、「ある母子を殺してほしい。フランス国防長官の母子を名乗っているが、偽者である可能性が高く、国防長官と母子を再会させるのは危険だから」という依頼です。これに対しゴルゴは、偽者かどうかを自分で確認し、偽者と確認できれば依頼を引き受けるといいます。

クライアントが「偽者だから」といっているわけですから、仕事を受けるだけなら、それを確認する必要はありません。ところが、ゴルゴはわざわざ自分で確認するといいます。

ゴルゴはその理由を説明していませんが、こういうことでしょう。この依頼は、「母子が偽者であること」が前提としてあり、「国防長官と妻子を再会させないこと」が目的、「ゴルゴが母子を暗殺すること」が手段です。この前提が間違っている場合、目的を達成する必要が無くなるため、手段も不要となります。なので、ゴルゴが依頼を受ける必要が無くなります。

つまり、ゴルゴは自分への依頼を目的化せず、目的から逆算して依頼を受ける人だといえます。この「デロスの咆哮」は『ゴルゴ13』1巻の2話目のエピソードなので、単にクライアントの仕事をこなすだけではないゴルゴのキャラクターが、最初期から固まっていることが分かります。

「手段を目的化しない」というのは当たり前に聞こえますが、私のようなフリーランスも含めて、クライアントから仕事を受託している人だと、「目的に対して依頼内容がマッチしていないが、クライアントにいわれたから」と、妥協して仕事を受けた経験が無いでしょうか? ゴルゴは、そういった仕事を一切引き受けないのです。

ゴルゴはクライアントの奴隷にならない

「報酬は前金」「依頼の背景・理由の説明を求める」「裏切り者は殺す」など、ゴルゴのルールは他にもいくつかありますが、共通していえるのは、ゴルゴはクライアントの奴隷にならないということです。

「クライアントと受託側に上下関係は無い。どちらもビジネスパートナー」というのは真実ではありますが、現実には、クライアントのほうが立場が上というケースが多いでしょう。それは、クライアントが金を払う立場であり、受託側の立場としては金を払ってくれるクライアントを逃したくないからです。

ところが、ゴルゴはどんな大口顧客であっても(それがCIAやKGBであっても)、自分のルールに反する依頼を一切引き受けません。クライアントの奴隷ではなく、クライアントと対等であることを求めます。

ゴルゴと違って私はワンショットの仕事が少ないので、契約初期は納得できる仕事ができていても、途中から納得できない仕事が発生することがあります。やむをえない事情がある場合は妥協して引き受けますが、明らかにおかしい仕事や納得できない仕事の場合、断るか、契約終了を申し出るようにしています。ゴルゴほど圧倒的な実績を持たない私は、まだ100%ゴルゴのように振る舞えませんが、ゴルゴのようになりたいものです。


私のフリーランスの仕事については下記の記事をご覧ください。

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