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池袋のグローバルリング

隣のページには「トコジラミ」のロシア語とドイツ語のメモ。思えば遠くまで来たもんだ。今は池袋のGlobal Ring Cafeでホットカプチーノを飲みながら(無印の手帳に)これを書いている。まさにパラレルワールド。

トコジラミ発生が日常の世界からグローバルリングへ。このグローバルリング、現代の円形鳥居で土地の記憶を未来につなぐという意味合いがあるらしい。池袋、という地名からもわかるように、かつてこの地にあった「丸池」をデザインの源泉にしているのだそうだ。いろいろと奥が深いし何やら神秘的ですらある。

カフェのウインドウ越しには「東京芸術劇場」が見える。岡田利規氏の演出による舞台を見ようと「リビングルームのメタモルフォーシス」のチケットをボックスオフィスまで買いに来たのだ。これも先日ようやくお会いできた知人のおかげである。こういうのも縁と言えるのかもしれない。観るべきときに観る作品との出会い、という意味においても。しかも音楽が藤倉大さんによるものだというのもパンフレットを見て初めて知った。ロンドンに住んでいる大学時代の同級生の知り合いなのだ。英文科を出た彼女は今では現地の学校で音楽の先生をしているのだから不思議なものである。同じ学科を出てベルリンに移り住み、ロシア語を使って仕事をしている私も不思議といえば不思議ではあるのだが。まぁ、人生なんてどこで何がどうなるのかさっぱりわからない。

運のいいことに、先週までは完売でまだ払い戻しが出ていなかったのだそうだ。「タイミングが良かったですね」とボックスオフィスの人に言われたくらい。岡田氏の作品は最近ドイツでも2度ほど上演があったのだけれど、そのときはタイミングが悪かったのか結局行けずじまいだった。今回が3度目の正直である。

縁といえば、縁のある人、ない人、というのは間違いなくあるようで、少し頑張れば会える人、いくら働きかけても会えない人、と実に様々である。ブランクがあってもまた会うようになる人も中にはいるし、自分の前からふいといなくなり2度と会えなくなる人もいる。

今年の日本滞在中には一体どんな縁があるのだろう。日本で働くとすれば自分には何ができるのだろう。そんなことをぼんやり考えながらコーヒーを飲む平日の昼下がり。雨が近いのか今日はとても蒸し暑い。

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