SIerのUXデザイナーが2018年に読んでよかったと思う10冊

今年は量質転化の法則を信じて、ひたすらにUXデザイン、認知心理学、行動心理学、リーンスタートアップ、ビジネスモデルあたりの本を読み漁りました(12/22現在で67冊)。

その結果、自分の意見をしっかり持てるようになりました。様々な視点・視座で物事を考え、良いプロダクト作るために顧客や意思決定者と対話ができるようになりました。

今回は、非デザイナーの方々にもぜひ読んでほしい10冊を4つのテーマ別に紹介します。

1. 人の行動を理解する
2. 効率よく失敗する
3. わかりやすく伝える
4. チームで働く


※本記事はNSSOL Advent Calendar 2018の22日目の記事です。
※本記事の内容は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。

1. 人の行動を理解する

良いプロダクトを作る上で、ユーザーの理解は最重要事項です。何を感じ、考え、行動にいたるのかを高い解像度で見えているかがポイント。

そこで人間の認知バイアス・意思決定プロセスを理解することで、人間の合理的ではない部分まで考慮したプロダクトを作れるようになります。

行動経済学の第一人者で、2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』。行動経済学・認知心理学の実験を通して人間の判断プロセスを直感的な判断を下す「ファスト」と論理的な判断を下す「スロー」にわけて深く考察しています。

人間がなぜ合理的な判断ができない、合理的だと錯覚してしまうのか
を知りたい人にオススメです。

行動経済学ブームの火付け役『予想通りに不合理』。経済学が唱えるような合理的な判断を下す人間は少なく、身近な環境や関係のない感情、浅はかな考えによって不合理な判断をしてしまうことを様々な事例とともに書かれている。

ファスト&スローが上下巻で内容が濃く・重いのに対して、気軽に読めます。行動経済学の入門書としてオススメです。


2. 効率よく失敗する

プロダクトの良し悪しを判断するのはユーザーに委ねられます。したがって早い段階からユーザーテストを行い、適宜プロダクトの方向性を修正することが重要です。ポイントは明確な仮説を持ち、効率よく失敗し、素早くフィードバックを活かすことです。

邦題が俗っぽくて少し気になりますが、Google Venturesのデザインプロセスを紹介した『SPRINT 最速仕事術』。デザインスプリントと呼ばれ、デザイン思考のノウハウが詰まったプロセスです。たったの1週間で問題定義からユーザテストを行うプロセスですが、それを支えるテクニックは他の仕事にも応用できるものばかりです。

実業務でもプロジェクトの立ち上げ時や、コンセプト・構想を練るときの方法論として大活躍しました。

日米で複数の起業経験のある田所雅之さんの『起業の科学』。大成功するスタートアップではなく、失敗しないスタートアップに焦点を当てて書かれています。ユーザ検証のタイミングや検証するべき仮説、検証方法などを多くの図表も絡めて説明しています。

タイトルからスタートアップ向けの書籍と思われがちですが、大企業でも新規事業立ち上げやプロジェクトの初期段階に応用できる部分は多くオススメです。

書籍の根幹になっている全2550ページのスライドは無料公開されているので、まずはこちらに目を通すのもいいかと思います。

 前著のリーンスタートアップで有名なエリック・リースの『スタートアップウェイ』。組織全体で取り組む際の制度や仕組みづくりなど、実践的な内容について前著よりも踏み込んで書かれていました。前著はスタートアップ寄りでしたが、今回は大企業にリーンスタートアップを定着させる、実践させることに注力しているように思います。

独立してスタートアップを作るよりも、企業の中で新しいことに挑戦したい、挑戦する文化を作りたい人にはぜひ読んでほしい1冊です。


3. わかりやすく伝える

いくらプロダクトが良いものであっても、それがユーザーに伝わらなければ意味がありません。伝え方一つで、印象が変わり、ユーザーの心を動かし、行動に移させることができます。また限られた時間内で、わかりやすく要点をまとめることも必要です。

 有名なカンファレスであるTEDのプレゼンを分析し、人に伝えることに必要な要素を抽出した『TED 驚異のプレゼン』。プレゼンに限らず、文章や普段の会話など、人に何かを伝えるときに役立つテクニックが豊富

ストーリーテリングを基本として、なぜそれが効果的なのか行動経済学や認知心理学の視点からも考察されていて、小手先ではなく応用力のある法則です。

副題に"目で見て楽しむデザインの本"とあるように、ただ流し読みするだけでも楽しい『なるほどデザイン』。「デザインなんて私にそんなセンスはない」という人でも、ビジュアルが豊富でわかりやすく、デザインの基礎力が向上する一冊。

業務でのプレゼン資料から趣味の写真まで、日常の中で活かせる内容が多いのでぜひ参考にしてください。


4. チームで働く

プロダクトを作る上では、個々のスキルだけでなく、チームの文化・信頼関係・総合力が重要です特にユーザーテストを通してプロダクトに素早くフィードバックしていく姿勢を貫くには、メンバーが当事者意識を持ち、建設的な議論を交わし、役割の境界を乗り越えて助け合える環境が必要です。

"はじめて「スクラム」をやることになったら読む本"として有名な『SCRUM BOOT CAMP』。スクラムを進める中で立ちはだかる課題や疑問をストーリーベースで取り上げて、解決しています。共通のゴールに向かって全員で取り組む姿勢を見ていると、隣に座っている、メーリングリストに所属しているだけではチームとは呼べないと思ってしまいました。

チームビルディングから実際の進め方、文化醸成まで書かれていて、スクラムを実践する方は必携です。

非デザイナーの方も含め、メンバー全員でデザインの良し悪しを議論するための方法論『みんなではじめるデザイン批評』。デザインに対する適切なフィードバックとは何か、どのような視点・論点が必要なのか、そして批評に関わる人々の心構えまでが詳しく解説されています。

特に批評は一歩間違えると、自分の好みを押し付けてしまったり、デザイナーの人格を攻撃してしまいます。
本来の目的は、良いプロダクトにするためのコミュニケーションで、お互いの認識が曖昧だったユーザー像や目的を明確にしていくことも批評の役割です。

プロダクトのデザインを良くしていきたい、デザイナーと非デザイナーで建設的な議論したい方
にオススメです。


おわりに

みなさんも年末年始の空き時間のお供に一冊いかがでしょうか。もし「これも読んで見たらどう?」というオススメがあればコメントで教えてください!

良いお年を。

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