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新型コロナワクチンの真実

今回は、現在世界各国で接種が進められている新型コロナウイルスワクチンについて、ワクチンに懐疑的な人向けに正しい知識をお伝えします。この記事は、ワクチンに関する科学データや治験結果などを分析し、反ワクチンの人が主張する内容の信憑性を明らかにした上で、正しい情報を記述しております。

・「接種の努力義務は憲法違反」という主張をされている方へ
予防接種法第九条には、「予防接種の対象者は、定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けるよう努めなければならない。」と明記されている。法律の「努めなければならない」という表現は国民に要求する上で一番弱い表現であり、事実上の「任意」である。政府や自治体などは、「ワクチン接種はあくまで任意であり、接種の強制や接種をしない人への差別はしてはならない」とウェブページや呼びかけで掲げている。予防接種が義務化されていたのは、1994年までであり、特に1976年頃までは、罰則付き義務とされていました。これは、百日咳や天然痘などの感染症の終息のため、政府が率先して感染症対策に力を注いだ結果です。しかし1976年以降、感染者数の減少や副作用による健康被害の影響により、罰則規定は削除され、罰則なしの義務とされました。子宮頸がんワクチンの健康被害などに伴う訴訟などの影響によって、1994年には「義務」から「努力義務」に変更され、強制力はなくなり、国民の選択に委ねられるようになりました。このように「努力義務」は強制力がなく、接種は国民の選択に委ねられているため、憲法の基本的人権や自由の侵害には該当しません。しかし、接種をしなければならないような空気感が生まれていることは事実です。今回のファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンは、新型コロナウイルス(COVID-19)の発症を防ぐ有効性が94~95%と極めて高く、接種をするメリットは大いにあると思いますが、接種をするかしないかはあくまで自由です。それは法律に記載されているとおりです。

・接種をすると不妊になると主張している方へ
新型コロナウイルス(COVID-19)のmRNAワクチンやDNAワクチンで不妊や流産になるという根拠となるデータはありません。製薬会社の米ファイザー社も不妊について、否定しています。しかしこれを読んでも信じることができないと思いますので、実際に接種が進んでいるアメリカの事例を取り上げて説明します。

アメリカでは現在、54.5%の人が少なくとも1回、ファイザー製/モデルナ製/ジョンソンエンドジョンソン製のワクチンを接種しています。4月21日にファイザー製またはモデルナ製のワクチンを接種した妊婦約4000人を対象とした、妊娠とワクチンの関係についての追跡調査の第一報が公表されました。それを見ると、妊娠20週未満の自然流産は、コロナ禍以前は10%〜26%に対し、ワクチン接種後は12.6%と、ワクチン接種による自然流産の増加はみられませんでした。妊娠20週以降の死産は、コロナ禍以前は、1%未満に対し、ワクチン接種後は0.1%とかなり低く、接種との関係はみられませんでした。新生児については、早産・低体重・先天性異常・新生児期死亡のすべてにおいて、コロナ禍以前の確率の範囲内であり、10%未満です。よって、ワクチン接種と不妊の関係はないことがわかります。サンプル数を増やすと、ワクチンで不妊になったという方が出てくる可能性もありますが、確率的には、アナフィラキシーの発生確率よりも低く、リスクはかなり低いです。確率的には接種と不妊に関係がなくても、「ワクチンを打つことで不妊になる」と信じて、接種することで、ノセボ効果と呼ばれる心理効果によって、それに相当する症状が出てしまう可能性があるかもしれません。しかし、ワクチンが不妊を誘発するということは、上記の追跡調査などから、否定出来ます。正しいデータ・情報を見て、しっかりと考察し、科学的根拠のない反ワクチンの主張を過度に恐れる必要はありません。一方で、新型コロナウイルスに妊婦の方が罹患してしまうと、早産が約1.8倍、死産が約2倍増大してしまいます。また重症化した場合は、軽症の妊婦に比べて、早産などのリスクが約4倍増大するとの報告があります。ワクチン接種はあくまで任意です。接種をするかしないかは、正しい情報を確認してご自身で判断してください。判断が難しい場合は、産婦人科の医師や看護師の方に相談してください。

・ワクチンの感染予防効果について
コロナワクチンに反対している人たちの多くが主張していることとして、厚生労働省や米ファイザー社などが、「感染予防効果は明らかになっていません」と表明しているというものがあります。しかしそもそもワクチンというのは、「発症予防」と「重症化予防」のための薬品であり、「感染予防」はワクチンが広く普及して、発症する人が少なくなってきて、感染者が減ってきたときに効果が明らかになります。インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンは、感染する能力を失わせた微量のウイルスを体内に入れて、体内でそのウイルスに対する抗体を作らせて、実際にウイルスが侵入(感染)した際に、抗体がウイルスをやっつけて、増殖を抑えるというものです。今回の米ファイザー社や米モデルナ社が開発したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは、新型コロナウイルスの人の細胞に直接くっつく部分であるスパイクタンパク質を形成するよう指示を出す部分の遺伝子を体内に入れて、ウイルスが実際に侵入(感染)した際に、そのウイルスが細胞にくっつくことを阻止する抗体を放出できるようにするものです。このため、免疫反応の調整がなされることから、若い人(特に10代、20代)の方が、副反応(発熱や頭痛など)が強く出ます。しかしこの副反応は2日以内または1週間以内には完治します。

以上のことから、ワクチンというのは、ウイルスが入ってきたとき(感染したとき)に、そのウイルスの増殖を止め、発症・重症化を防ぐ効果があり、感染予防効果はワクチン自体にはないということになります。しかし、ワクチン接種が進んでいる米国やイスラエルでは、接種率が5割を超えた段階で、重症者が減少し、感染予防策との合わせ技で、感染者も減少しました。接種率が高まってくると、発症する人も減るので、感染者も減ってくるという論理になります。

・遺伝子組み換えワクチンではありません。
今回の米ファイザー社やモデルナ社が開発したmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンは、遺伝子組み換えではありません。これは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質と呼ばれる突起部分の遺伝子を希釈して、体内に入れ、新型コロナウイルスに感染(ウイルスが体内に侵入)した場合、その遺伝子が設計図となって、スパイクタンパク質(突起部分)を作り出して、ウイルスが体内の細胞にくっつき増殖しないようにするものです。また、mRNAは体内で数日後に分解されるため、体内の臓器や生殖器などに蓄積し、長期的に身体に影響が及んだり、不妊を引き起こすことは考えられません。

・「治験中」ということについて
現在世界で流通しているファイザー・モデルナ・アストラゼネカ社のワクチンは決して、治験を飛ばして、治験と一般接種を同時に進めるということはしていません。ワクチンのヒトに対する臨床試験(治験)は、第1相試験でまず少人数の方(開発チームや研究機関の学生や研究員)に接種をし、安全性を確認します。そして次に、第2相試験でより多くの方に接種を行い、有効性と安全性を確認します。最後に第3相試験で、数万人規模に接種を行い、有効性と安全性を確認して、その3つの試験結果について分析をして、文書で医薬品局(日本の場合は厚生労働省)に提出をします。そして厚生労働大臣が承認した後、製造販売が行われ、一般の人に接種されるようになります。この製造販売後は、第4相試験と呼ばれ、第3相試験までで検出できなかった副反応や予期せぬ有害事象を検出することを目的として行われます。この第4相試験は通常、製造販売後に行われ、経過観察措置の役割を果たします。また、広く接種することで、「感染予防効果」も把握することができます。この治験では、プラセボ(偽薬)を投与する人と開発したワクチンを接種する人をほぼ同数にして行います。そして、ワクチン接種者の中での新型コロナ発症者とプラセボ投与者の中での新型コロナ発症者を比較し、ワクチンを接種することで発症者がどれだけ減っているかをみるというものです。この治験は、通常5年〜10年かかりますが、今回はmRNA技術を先行研究していた米国や英国などが、開発スピードを上げることができたため、治験に素早く取り組めたということになります。また、第1相試験と第2相試験は第3相試験のような大規模な治験ではないため、同時並行で進めることも可能です。このような工夫により、治験を飛ばすことなく、スピーディなワクチン開発ができたということになります。したがって、日本で接種が進められているファイザーとモデルナについては、治験は正常に進められており、安全性と有効性が示された上で、米国や各国で接種が開始できているということになります。

・10年後や長期的な副反応について
長期的な副反応については、試験で安全性が示されたわけではありません。しかし、それは今回のmRNAワクチンにかかわらず、インフルエンザワクチンや新しい治療薬などでも同様です。長期的な副反応は、臨床試験の段階では判断ができません。あなたが、風邪薬を飲む際にも長期的な影響を考慮していませんよね。長期的な影響を考え始めると、私たちは何も進歩することができません。また、mRNA技術については、米国を始め、欧州で研究が以前から行われており、これから先の将来、がん治療などに革命が起こると言われるほど有望な技術です。さらに、mRNAは数日後に体内で分解されてしまいます。しかし、抗体生成の記憶は蓄積されるので、有効性は一定期間保たれるというわけです。なので、mRNAが臓器や生殖器に蓄積し、長期的に影響するようなことは考えられません。

以上で、ワクチンに懐疑的な人の主な主張に対する回答は終了です。ワクチン接種は、政府と米製薬会社が契約し、政府による公的接種によって無料で受けられます。新型コロナウイルスを終息させ、経済の活性化や新たな未来の創出を行うためには、ワクチン接種も必要です。もちろん、接種は努力義務で任意であり、個人が正しい情報に触れ、自分自身で考察をして判断してください。インターネットには真偽不明の情報が溢れています。これからもインターネットはさらに普及します。その時代を生きる人たちが、真偽不明の情報に惑わされてしまうのは、とても生きづらい社会になってしまいます。情報リテラシー・科学リテラシーを高め、適切なデータや情報を収集し、自分で考察をして行動するようにしましょう。


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