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「やさいをたべるベビーフード」について語らせて

こちらの「やさいをたべるベビーフード」という商品、私が開発と監修を担当させて頂いたものです。
最近、「手づかみできる何かが欲しい!」という要望に対して、こんなのあるよ!と紹介されるシーンがあったので、改めてこのベビーフードについて語りたいのです。
発売当初、stand.fmで開発にあたって込めた想いなど語っていたりもするのですが、改めて、語ります。

私が欲しいベビーフードを作った

特に「にぎにぎ野菜のおだし煮」は実際に私が手づかみ用として欲しいと思って作ったものなのです。

この商品の企画段階だった当時、私の息子はちょうど離乳後期あたりで、絶賛離乳食中でした。
この時の私の離乳食の悩みはとにかくなんでも掴みたい息子との外食でした。
私はお出かけの時はベビーフード派なのですが、出先でも構わず息子は自分で手で掴んで食べたがります。そんな息子にどろっとしたベビーフードを与えることは、カオス空間の創造を意味していました。

息子と色々なところへ出かけたい、でも外での食事が辛すぎる・・・ベタっとしていない、とりあえず「はいどうぞ」と渡せる、できればバナナじゃない、甘くないちゃんとご飯っぽいものが欲しい・・・それが私の切なる願いでした。

じゃあ、作っちゃおう、ということで提案したのが「にぎにぎ野菜のおだし煮」でした。大きくカットした野菜をレトルトすることで、指でつぶせるくらいの固さの手づかみ野菜にすることができました。汁はあるけれど、トロトロのベビーフードとは創造される空間のカオス指数がかなり違いそうで、プロトタイプを見た時は嬉しくて小躍りしました。

野菜「だけ」設計

発育を重視した場合に、野菜「だけ」設計ってどうなのかと、実は結構悩みました。
実際保護者の皆さんはものすごくしっかりお子様の食事について考えていらっしゃって、穀類・野菜・タンパク質のバランスを非常に重要視されていることを相談を受ける中で感じていました。
なので、おじやにすべきなのでは、と考えたりもしていました。

しかし、母子栄養指導士が監修したという情報と一緒に世に出ていくこの離乳食が、栄養バランス完璧なものであった場合、
このベビーフード への期待値が高まると同時に、万が一完食できなかった場合に、余計な心配が産まれてしまうかもしれない、
そもそも、離乳食は完璧である必要はない、もっと楽しんで、純粋に野菜のおいしさを感じて、赤ちゃんと一緒に味わって欲しい
そんな考えが浮かび、3品とも野菜のみの設計とすることになりました。

食事のバランスは必ずしも1食で整える必要はないのです。
そんな気楽さを、このベビーフードを通じて伝えられたら、と思っています。

あと、野菜だけ欲しいシーンって、実は結構ありませんか?
このベビーフードはベビーフードなのですが、全然離乳期を過ぎた幼児でも食べ応えがあると思います。
幼児になって、出先でお子様ランチとか、頼みませんか?私は頼むのですけど、まあ子どもの舌を舐めておるなというか(笑)、唐揚げ・ポテト・ゼリー!とか、そんななんですよね。ポテトは野菜ってか?みたいな。1食で整える必要ないからね・・・いいのだけれども、なんだかなって思うのですよ。そんな時に野菜だけのこのベビーフード、大活躍だなって思っています。

大人まで美味しい

そしてなんといってもこのベビーフード、大人も美味しくそのまま食べられちゃいます。
某協会のK先生はお昼ご飯に食べたと言っていました。笑

私、「一緒に食べる」を支援していきたいと思い活動しています。
大人が美味しそうに、楽しそうに食事をする姿が、一番赤ちゃんの食欲を引き立てると思っています。なので、大人が食べて「うーん、美味しい!」と思えるようなベビーフードがあれば、ちょっとラクをしても一緒のものを味わえてとても良いな、というのがもう一つの裏テーマだったりします。

坂ノ途中のお野菜の魅力について

坂ノ途中さんのお野菜は、有機農業にチャレンジする新規就農者さんから提供されるお野菜です。

有機農業は非常に奥が深いのですが、わかりやすいところでは栽培中に農薬や化学肥料を使わないことが特徴です。
これがとっても手がかかる大変な栽培方法で、たくさん収穫したければこの方法を諦めなければならないお野菜はざらにあります。つまり、少量しか獲れない方法なのです。昔はこのような農業が普通でしたよね。
よりたくさん、安定的に消費者に野菜を届けるために、農薬や肥料と付き合いながら、収量を増やすための農業が発達してきました。

しかし、安定してスーパーに野菜を供給するために行われる大規模な農業などは、土地を痩せさせ、未来にはその土地で何も育たなくなってしまうという側面もあります。坂ノ途中は、今ある里山や自然を多く残したいという思いで、有機農業を支援している会社さんなのです。

有機農業で育ったお野菜ってどんなものでしょうか。私はスーパーで買う野菜と、坂ノ途中さんから買うお野菜半々くらいです。例えばトマト、たっぷりおひさまを浴びて甘酸っぱさが濃い時もあれば、雨が多かったかな、という時期のものは少しさっぱり目の味だったり、万人が絶対これは美味しい!っていう訳ではないと思うんですよね。正直。でも自然の中で育てるって、そういうことなんですよね。そんな「自然が味わえる」ことが魅力だなと思うのです。美味しいだけが正義じゃない、自然と一緒に生きていくって、ブレを受け入れていくことだなと感じられる、そんなところが好きです。

ベビーフードに使っているお野菜も、色々な農家さんから仕入れています。同じラベルを貼られた製品ですが、良い意味で違いが感じられるかもしれません。

ベビーフードは関係ないのですが

子育てって、野菜を育てるのと似てるのかなって思うのです。(我が子を野菜だなんてどういう神経してるんだとお叱り受けそう)
子どもが自分で育っていこうとするパワーと、住んでいる場所、親がどう頑張っても変えられない社会実情なんかがたくさん絡み合ってその子を成長させていく。野菜の持つ生命力と、圃場と、自然と・・・なんか似ていませんか?
子育ても、おやさいといっしょ。そんな気持ちで始まった連載もあるので見てみてください。


やさいをたべるベビーフードで、少しでも赤ちゃんとの食事の時間が楽しくなりますように。

頂いたサポートは時短料理のレシピ開発や地域での活動の資金とさせて頂きます。応援よろしくお願い致します!