適応障害とうつ病ってどう違うの?原因・症状とその治療法

適応障害とうつ病は原因や症状がなんとなく似ている気がして、何が違うのかわからない方もいらっしゃるかと思います。

適応障害はどのような病気なのか、症状や治療法についてと、うつ病との違いをまとめてみました。

※これから説明することは私自身の体験や一般的な情報のため、当てはまらない場合もあります。


適応障害とは

適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐えがたく感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。
出典:厚生労働省

進学や引っ越し、就職や部署移動、結婚や離婚など、悪い出来事だけでなく良い出来事に対しても人はストレスを感じます。

適応障害とは、そのような環境の変化に対するストレスに適応できずにさまざまな症状が出てしまう状態です。


みなさんも環境に変化があると不安を感じたり、疲れやすかったり、イライラした経験があると思います。

しかし、人それぞれストレス耐性が異なるため、同じような環境の変化でも適応できる人とできない人がいます。

適応障害はストレスに対して非常に大きな苦痛を感じるため、社会生活に影響を及ぼす程の症状が出てしまうのです。


適応障害には細かな診断基準がないため、症状が現れる3ヶ月以内に具体的なストレスがあったかどうかが診断要件になります。

似たような症状が出る疾患に、うつ病、全般性不安障害、物質関連障害、人格障害、心的外傷後ストレス障害などがあります。

適応障害の症状が出ていても、これらの疾患の診断基準を満たす場合は、適応障害ではないと判断します。


適応障害の症状

どのような症状が出ると適応障害の可能性があるのでしょうか?

適応障害の症状は似たような症状が出る疾患に比べると強くはありませんが、ストレスに適応できない心と身体の反応です。

症状ひとつひとつの強さではなく、社会生活に影響が出ているがどうかが重要です。

情緒面の症状
・抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)
・強い不安感
・怒りや焦燥感(焦り)
・緊張・神経過敏
・涙もろくなる
・悲観的・絶望的になる
・思考力・判断力の低下
・感情のコントロールが難しくなる

身体面の症状

・動悸や発汗
・めまい
・倦怠感・強い疲労感
・不眠
・食欲不振
・肩こり
・頭痛・腹痛・腰痛などの身体の痛み

行動面の症状
・行きすぎた飲酒や暴食
・遅刻や無断欠席・欠勤
・人と会うのを避ける、電話に出られない、メールを返せない
・攻撃的行動(破壊行為、危険運転、暴力、けんか等)
・犯罪(万引き、飲酒運転、公共の場へのいたずら等)
・引きこもり

失恋したときなどに、このような症状を感じたことのある人も多いと思います。

しかし、たいていの場合は時間と共に症状は無くなります。

このような症状が出ること自体は正常な喪失反応であるため、適応障害には含まれません。


適応障害の原因

適応障害の原因はストレスといわれています。

環境の変化や人間関係(学校や職場、家庭)、経済的な問題、身体の病気などがあり、複数の原因が絡み合っている場合もあります。


⇒私の場合は、就職や引っ越しという環境の変化や、看護師という命を預かる仕事の重圧が適応障害の発症の原因であったと思います。


適応障害の治療方法

適応障害の主な治療法は3つあります。

「原因となるストレスから離れる」「ストレスに対する適応力を高める」「症状を緩和するための薬物療法」です。


適応障害の原因はストレスといわれているため、原因となるストレスは何かを考えて、それに対処してきます。

しかし、それが解決できないストレスならば、受け止めたり受け入れたりして気持ちを楽にしていく必要があります。

また、ストレスに対する心身の反応として表れている症状には、薬を使って症状を緩和し、楽にしていきます。


これらの治療は、適応障害の症状によって社会生活に影響が出ないようにすることが目的です。

そのため、薬を服用したから必ず良くなるというものではなく、自分で治していくという意識も大切になります。

原因となるストレスから離れる
適応障害では、原因となっているストレスから離れると症状が改善することがあります。

そのため、適応障害の原因となったストレスが何か知り、環境を調整してその原因となるストレスから離れてみることを提案されることが多いでしょう。

例えば職場環境がストレスとなっている場合、有給休暇で連休を取ったり、休職することによって憂うつな気分が少し楽になったり…。


しかし、家族関係や身体の病気等、離れることが難しいものもあるので、そのような場合は他の方法も試してみると良いでしょう。

ストレスに対する適応力を高める
ストレスに対する受け止め方は人によって異なります。

適応障害になってしまった人の場合は、ストレスの受け止め方に問題がある場合があります。


ストレスの受け止め方を変えるために行うのが、認知行動療法というカウンセリング方法です。

また、現在抱えている問題と症状に焦点を当てて、共同的に解決方法を探していく問題解決療法というものもあります。

症状を緩和するための薬物療法
ストレスによって心身に出ている症状に対し、薬を使って症状を緩和する薬物療法という方法もあります。

例えば、不安感が強い場合は抗不安薬、不眠症状には睡眠導入剤等…。

ただし、適応障害の薬物療法は心身に出ている症状に対して薬を使う「対症療法」となります。

そのため、薬の服用で根本的は治療をすることはできないので、環境の調整やカウンセリングが必要となります。


⇒私は薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入剤)とカウンセリングを受けました。

薬物療法の効果は感じ、カウンセリングで自分の性格傾向などを知ることはできましたが、それだけで適応障害が良くなったわけではありません。


「適応障害になりやすい体質」と受け入れたこと

適応障害が良くなったと実感したのは自分自身で物事の捉え方・考え方の癖を知り、直したことが大きかったと思います。

いまは精神科病院に通院していないため完治したかどうかはわかりませんが、日常生活に支障が出ることはなくなりました。


主治医には、ストレスの原因は自信がないことによる不安感が大きいことであるため、薬を使って心身の症状を楽にした上で、仕事に対する成功体験を積み重ねることが大切と言われていました。

いろいろな仕事を経験したり、さまざまな人と出会ったことが物事の捉え方や考え方の癖を直したり、ストレスと上手に付き合う方法を知るきっかけになったのです。


「適応障害」という病気ではなく、「適応障害になりやすい体質」と受け入れられるようになり、症状が出ないように生活できるようになりました。

「適応障害になりやすい体質」とは、肌が弱い、お腹を下しやすい等の体質と同じで、少しだけ気を付けて生活する必要があるだけで、自分自身が病気であると劣等感を感じなくなったのです。

※「適応障害になりやすい体質」と受け入れたことで症状が改善したのは私自身の体験であり、すべての人に効果があるわけではありません。


うつ病とは

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。
出典:厚生労働省

誰でも嫌なことや悲しいことがあると、気分が落ち込んだり、やる気がでないことがあると思います。

しかし、うつ病では理由もなく涙が出たり、とても辛い気持ちが続いたり、いままで楽しめていたことを楽しいと思えなくなったりする状態がほとんど一日中、ほぼ毎日、2週間以上持続します。

そのような状態が続くことで、社会生活に影響が出てしまうのです。


うつ病の症状

次のような症状が複数同時に2週間以上、ほぼ毎日、一日中絶え間なく続くようであれば、うつ病の疑いがあります。

情緒面の症状
・抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)
・怒りや焦燥感(焦り)
・涙もろくなる
・何事にも意欲がわかない
・興味または喜びの喪失(何をしても楽しくない、何にも興味がわかない)
・イライラして、何かにせき立てられているようで落ち着かない
・悪いことをしたように感じて自分を責める、自分には価値がないと感じる
・考えがまとまらない、思考力が落ちる
・判断力・決断力の低下
・強い不安感
・劣等感に悩む
・悲観的・絶望的になる
・会話や本などの内容が頭に入ってこない
・表情が暗い、反応が遅い
・遠くへ行きたい、消えてしまいたいと思う

身体面の症状
・動悸や発汗
・息苦しさ
・口が渇く
・めまい
・倦怠感・強い疲労感
・不眠
・食欲不振
・性欲減退
・胃の不快感
・便秘
・体重減少
・肩こり
・頭痛・腹痛・腰痛などの身体の痛み


うつ病の原因

うつ病の原因はまだはっきりと解明されていませんが、大切な物や人を失う喪失体験や環境の変化、人間関係のストレス等がきっかけで発症することが多いと言われています。


また、メランコリー親和型性格に分類される性格も危険因子のひとつです。

この性格の特徴は生真面目で几帳面、責任感が強い、仕事熱心で完璧主義な面があり、ストレスを感じやすい性格といわれています。


その他に、うつ病には遺伝が関係することが確認されており、他の病気が引き金になることもあります。


うつ病は、脳の働きに何らかの問題が起きた状態であり、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが不足していると考えられています。

ノルアドレナリンやドーパミンが不足している場合もあり、脳内の神経伝達物質の不足が原因であるため、気合いで解決できるものではありません。


うつ病の治療方法

うつ病と診断されたときには、充分な休養をとりましょう。

その後に主治医と相談して、「薬物療法」「薬物療法以外の治療法」「ストレスと上手に付き合う方法を考える」と良いと思います。

薬物療法
うつ病の治療の中心となるのは、抗うつ薬による薬物療法です。

抗うつ薬を投与することで、脳内で不足している神経伝達物資(セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミン)の量を調節します。


抗うつ薬の他にも、症状に合わせて抗不安薬や睡眠導入剤なども処方されます。

どのような薬が効くかは人それぞれ異なり、病気の状態や段階によっても変わってきます。

薬物療法以外の治療法
薬物療法以外の治療法としては、カウンセリングや心理療法・行動療法があります。

抗うつ薬を服用すれば、症状の改善は期待できますが、薬物療法のみで完治させることは難しいと思います。


薬物療法で脳内の神経伝達物質が調整されても、薬の服用を辞めたり、発症前と同じ生活環境に戻ると再発の可能性が高まります。

そのため、カウンセリングや心理療法・行動療法を受けることで、うつ病発症のきっかけとなったストレスや生活・社会環境、自分の性格傾向などを振り返り、うつ病の根本的な問題の解決をはかることができます。

ストレスと上手に付き合う方法を考える
自分でできる治療法としては、うつ病の大敵であるストレスと上手に付き合うことが大切です。

うつ病の発症前と同じようなストレスの受け止め方や考え方で行動していては、うつ病の再発のリスクが高くなります。


ストレスを完全になくすことは難しいですが、あまり深刻に考えない等、ストレスを少なくすることや、ストレスを上手に発散する方法を探しましょう。

また、物事を完璧にこなすことをやめたり、自分からストレスを作らないように心掛けたり、適度に休むようにして下さい。


適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病はストレスが原因になる点や心身に出る症状が似ていたり、素人には同じような病気に見えることがあるます。

しかし、適応障害とうつ病の一番の違いは、原因となるストレスが消失すると症状が改善するかどうかです。

薬に対する反応性も違うと私の主治医は言っていました。


重要なのは病院で診断を受けること

自分の判断や周りの考え・意見ではなく、きちんと診断を受けなければ正確な診断ができず、適切な治療が受けられません。

身体の病気だけでなく心の病気や症状でも、早く治療を開始すればそれだけ早く良くなる可能性が高くなります。


私には抑うつ気分や強い不安感、焦燥感、何事にも意欲がわかない、自分を責めたり価値がないと感じる、劣等感に悩む等の症状の他に、消えてしまいたいと思う気持ちが強く出ていました。

そのため、ずっと自分では適応障害ではなく、うつ病に当てはまると思っていたのです。


しかし、主治医に診断名は適応障害だとはっきり言われました。

診断基準は主治医にしかわかりませんが、薬があまり効かなかったという印象だったようです。

また、看護師を辞めてから働いた職場では、以前のような症状は出なかったため、うつ病ではなく、原因のはっきりしている適応障害であると。


私は信頼できる主治医に出会うまでに3ヶ所の病院を受診しましたが、双極性感情障害Ⅱ型、境界性人格障害、適応障害と診断名が変わりました。

心の病気や不調は目に見える診断基準がないため、診察する医師により診断名が変わることがあります。


また、主治医との相性や信頼関係は治療に大きな影響を与えると私は思います。

信頼関係が築けていなければ、症状や薬の相談ができず、治療の効果を最大限引き出すことができないからです。


信頼できる主治医を見付けることは回復への近道だと思いますので、いまの主治医の治療方針に疑問がある方は、病院を変えることを検討しても良いかもしれません。

※保険診療の関係で精神科では基本的に紹介状が必要なので、病院を変更する際は紹介状を書いてもらいましょう。


薬のことなど些細なことでも主治医に相談することが大切です。

適切な治療を受けるためにも、自分の判断や周りの考え・意見に流されず、信頼できる主治医の診察を受けて下さいね。

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