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顔にブラジャーして寝る。

二匹の猫と暮らしているわたしは夜もずっと電気をつけっぱなしで寝ているのですが、それは毎晩、蒲団の中で本を読んでいて、そのまま寝てしまいたいのに、わざわざ起き上がって電気の紐を引っ張るのが面倒だからです。

しかし、実はもうひとつ理由があって、それは夜明け前に猫が騒ぎ出さないようにするため。

どうも猫というのは、夜が明ける前に気分がハンティングモードになるらしい。

真っ暗闇で部屋中を走り回って追っかけこしたり、さらには眠っているわたしを踏み台にして箪笥の上にジャンプしたりと、とにかく騒がしい。

ところが、電気を消さずに明るいままにしてみると、猫たちはわたしと一緒に蒲団でスヤスヤと眠ったままで静かにしている。

そこでわたしは、アマゾンで睡眠用の目隠しを買おうと思い、しかしあれは目隠しというのか何と言えばいいのかわからない。

目隠しと言えば、まるでアダルトビデオにありそうな目隠しプレイのようだし、誘拐犯が使うグッズのようにも聞こえる。

それに飛行機の中で使うひとが多いことを考えると、あれは明るさを遮断するためであって、目を隠す目的でないから、やはり目隠しと呼ぶにはどうもしっくりこない。

そんなことを思いつつ、通販で買うためにネットでいろいろ調べてみると、あれは「アイマスク」というのだと知った。

アイマスク。何ともうまいこと言うじゃないか。

わたしはアイマスクをアマゾンで買い、本を読むときにおでこに引っ掛けた状態で装着している。そうしておくと、本を読み終わるとアイマスクをおでこからスライドさせて目に被せればいいので、大変楽というわけ。

さて。

使っているうちにどうもアイマスクと呼ぶに違和感を覚えてきた。

わたしが買ったアイマスクは、まつ毛を考慮してか、両目の部分が少しくぼんでいて、要は外から見るとやや膨らんでいる。そしてその中央は鼻がかかるように小指の先ほど盛り上がっている。

わたしは思った。

これはマスクじゃない。ブラジャーじゃないか。

アイマスクを両目にブラをおっぱいにかぶせるようすると、キュッと鼻の部分にかかるように下に引っ張り、頭の後ろに太めの紐をまわし固定する。その動作はまさしくブラをつけるときと同じで、さらにアイマスクと頬の隙間を埋めるところなど、ブラのカップにおっぱいを押し込むのに酷似している。

アイマスクではなく、「アイブラジャー」と呼ぶほうが相応しいのではないか。

しかもその素材が刺繍のないツルツルのタイプのブラと同じで、アイマスクにはちゃんとウレタンが入っていて、質感もブラとまったく変わらない。

ちょっとしたAAサイズの黒ブラだと思いつつ、わたしは毎日、アイブラジャーをして猫と一緒に眠っているのです。

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