投資家との関係性構築

今回の授業は主にIR活動の概要と最近流行りのESG投資について、そこから株主・投資家と企業の関係がどのように変化したかを学びました。

IRとは

IR(Investor Relations)とは、企業が行うPR活動の中の1つであり、主に株主や投資家との関係づくりを行う活動のこと。
IR活動によって企業は自社の情報を株主や投資家に継続的に提供し、
株主や投資家はそこから得られた情報を参考の1つとして投資を行うか判断をします。

ターゲット

IRにおけるターゲットは前述したとおり株主や投資家ですが、より細かく分けると以下のように分けられます。

投資家
個人投資家 / 機関投資家
株主
株式所有者 / 株主権所有者

IRのコンテンツ

投資判断に必要な情報は、企業がとっている戦略や財務状況などを過去はどうだったか、現状はどうか、将来はどう予測できるかといった視点で示したものです。

上記の情報は大きく制度開示・法定開示と任意開示に分けられます。
前者は法令や規則によって企業が開示義務を負っている情報です。
対して後者は企業が自主的に開示する情報です。

制度開示:金融商品取引所の規則により開示が義務付けられている情報
・適時開示(投資判断に重要な影響を与える会社の業務・運営・業績に関する情報を適時・適切に開示すること)
・決算短信(上場企業が決算四半期ごとに提出する決算情報の適時開示資料)
・コーポレートガバナンス報告書(コーポレートガバナンスの状況報告書)

法廷開示:金融商品取引法及び会社法により開示が義務付けられている情報
・有価証券報告書
・四半期報告書
・内部統制報告書
・臨時報告書

任意開示:法令や規則などによってその開示が義務付けられていない情報
・決算説明会資料
・アニュアルレポート
・CSRレポート
・統合報告書

活動

なぜ企業はIR活動を適時、公平に継続しなければいけないのか?

IR活動の最終的な目的は、企業が株主・投資家との間に良好な関係を築くことによって資金調達を有利に進めることです。
仮に企業が情報開示を十分に行わない場合は株主・投資家にとって投資リスクを抱えることになり、株に投資をしようとする投資家が減り株価が下がります。
そのため、企業にとっては適切なIR活動を通して株主・投資家との関係を良好に保つことが重要です。

KW:フェア・ディスクロージャー・ルール、インサイダー取引

ESG投資

ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(environment)・社会(social)・ガバナンス(governance)の要素を考慮した投資のこと。
近年は企業の社会貢献が企業経営の持続性に大きく影響を及ぼしているため、ESGに関する情報にも注目すべきだとの考えが広まっています。

ESG投資の浸透までの過程

2006年に国際連合が、責任投資原則(PRI)を提唱し、ここでESGの概念も提唱されました。

PRI 6原則①私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。②私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。③私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。④私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。⑤私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。⑥私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。

PRIの提唱後、世界の名だたる機関投資家がESG投資を実践することにより、企業はESGを遵守した経営を実践するようになります。するとステークホルダーに波及し、最終的には社会全体に波及していきます。

SDGsとESGの関係

社会貢献に関するKWとしてよく耳にするのがSDGsです。同じ社会貢献を目的としたESGとどのような関係があるのでしょうか。
SDGsは2030年に持続可能な世界を実現するためにたてられた目標です。
SDGsは民間企業を社会課題の解決に貢献することが決定的に重要であると説いているため、民間企業が主体的に取り組む必要があります。
ESGはPRIによって投資家が主体的に取り組むように提唱されています。
ESG投資と投資先企業のSDGsへの取り組みは表裏の関係にあります。

経営陣と株主との関係

企業側の都合を押し通す姿勢が株主・投資家に通用しなくなり、企業側は適切な対話を通じた関係構築をすることが重要になりました。

昔の関係
以前は企業側は企業に対して物申す株主の意見はどんなに正論であっても遺物扱いされていた。
また、ガバナンスに焦点が当てられていた。

今の関係
現在企業側は物申さない株主に対してもその理由を求める姿勢をとっている。
また、ガバナンス以外に環境や社会に対する活動にも意見するようになった。

KW:委任状争奪戦、株主提案、敵対的買収

関係構築において重要な事
企業 VS 株主 の対立が起こった場合、コミュニケーションをプランニングする立場の人に求められることは「論点の設定」です。
自己都合のロジックではなく、社会的に支持されるような論点をデザインする必要があります。これが現代のPRプランナーの腕の見せ所といえそうです。

(3時間)



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