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【50】「記事はPREP法で書け」などという輩を信じてはいけない。

ビジネス文書を書く技法で、最も知られているものの一つに、「PREP法」がある。

PREP法とは文書を
P(Point)=結論
R(Reason)=理由
E(Example)=具体例
P(Point)=結論を繰り返す
の順番で構成せよと主張する手法だ。

そこそこ市民権を獲得している手法らしく、よくライター志望の方がPREPで構成されている記事を寄稿してくる。


もちろん、結論から書くことは、特に悪いことではない。

実際、私が昔在籍していた会社は、書くことも話すことも「結論から」を矯正された

「コンサル一年目が学ぶこと」を読んで、コンサル会社の「容赦ない」カルチャーについて思い出した。

結論から話せないコンサルタントは、クライアント先にも出してもらえないし、コンサルタント失格の烙印がおされる。

「あいつ、話わかりにくいよな」という噂が立つ。

怒られない。けど、プロジェクトにアサインされず、干される。

提案書・企画書・報告書。
あらゆるビジネス文書で「結論から書けない」のは、致命的だ。
できなければ、ビジネスに支障をきたすこともあるだろう。


だが、「記事」となると、話は少し違ってくる。

結論から言うと、「記事においては」一部の例外を除いて「PREP法は使うな」と申し上げたい。


なぜか。
単純に言うと、記事をつまらなくするからだ。

記事はビジネス文書とは異なる論理で読まれているため、PREP法と相性が悪いのである。


なぜPREP法と「記事」の相性が悪いのか。

なぜPREP法と記事の相性が悪いのか。

PREP法の最大の特徴は「情報を伝える」ことを最も重視している点にある。

したがって、PREP法が適しているのは
・ビジネス文書
・ニュース
・SEO記事
などの、「情報の伝達」を主眼とした文書だけだ。


しかし「情報の伝達」を重視すれば、引き換えに失うものがある。
それが「共感を引き起こす力」だ。

だからPREP法で書かれた記事は、人に「知識を与える」事はできても
「動かす」力はない。
特に、拡散を狙う場合には「結論から書く」のは悪手だ。


例えば、以下は知人が書いた、非常に読まれた記事の一つだ。

この記事の冒頭部分をつぶさに見ると、実は「自己紹介」に充てられている。

初めまして、株式会社こころ壱岐という会社を運営している、立山晋吾と申します。
私の出身地である長崎県・壱岐島は、福岡から高速船で約1時間。四方を美しい海に囲われた、人口2万6千人の離島です。

こんな島に生まれ育ったこともあって、小さな頃から、友達と一緒に漁船に乗せてもらっては、釣り糸を垂らし、アジやタイ、ブリやヒラマサといった魚を釣り、眠りこけるまではしゃいで、遊び尽くしてきました。

最近は、東京を始めとした都市部から、この壱岐島に移住されてくる方も多く、そんな方々の友人ご家族、お子さんが壱岐島に遊びに来たときには、高校時代からの友人でもある地元漁師と共に、沖合まで釣りにお連れしていました。

初めてこうした魚を釣った小学生・中学生のお子さんたちが、昔の僕らのようにはしゃぎ、楽しむ姿を目にすると、おもわずこちらまで、嬉しくなってしまいます。

しかしこの文章の「結論」は、最下部にある「クラウドファンディングを始めたので支援をしてほしい」なのだ。


だがこの文章が結論、つまり「クラウドファンディングを始めたので支援をしてほしい」から始まったら、多くの読者は興ざめし、離脱してしまうだろう。

だから「結論」から書いてはならない。


支援をもらうためには「サービスの背景」を読者に理解して貰う必要があり、この文章の著者はそれをよく知っている。

だから筆者は、PREP法とは真逆の構成で書かれた文章をつくり、実際に支援を獲得しているのである。


人を惹きつけ、人を動かす文章の構成とは

では、拡散を狙う記事を書く場合には、PREP法ではなく、どのような構成を用いればよいのか。


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インターネット上における 「生成AIの利活用」 「ライティング」 「webマーケティング」のためのノウハウを発信します。 詳細かつテクニカルな話が多いので、一般の方向けではありません。

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