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【29】炎上ではなく「まっとうな方法」で、人の注意をひく技術について。

先日、都内某所の母校で、「高校生に起業家精神を伝える」という授業があり、そこにゲストとして参加してきました。

テーマの1つが「インターネットで物を売るには」だったのですが、講師の提案により「4チームの対抗戦」となり、それぞれwebでうまく物を売る方法をプレゼンテーションする、という取り組みとなりました。


紙媒体はよく知らないですが、なんだかんだ言っても、webメディアは「読んでもらわなければダメ」ですし「売れなければダメ」なので、このあたりは私の専門ゾーンとも重なります。

張り切ってやろう、ということで高校生と膝を突き合わせて話をしました。


さて、ディスカッションしながら、自分が高校生の頃を思い出したのですが、振り返ると「自分が高校生の頃、自分が物を売ってみる」という発想は皆無でした。

なぜなら「ものを売る手段」が限られていたからです。


私が高校生の頃は、ものを買うのは基本的に「お店」であり、それなりに知られたお店で商品を取り扱ってもらうのは大変なことでした。

お店に営業し、商品をおいてもらう。
マス広告を売って、お店に来てもらう。
お店に来てくれた人に営業し、買ってもらう。

つまり「お店に人を呼ぶ」「お店に商品をおいてもらう」「買ってもらう」は一般人のものではなく、それこそ「営業」や「商売人」の持つ、限られたスキルでした。

そう言う世界に「広告に大量のお金を投下すれば、お店で売れる」と、広告代理店が世界中で大きくなったのは頷けます。


ところが今はスマホとECのおかげで「売る場所」は誰にでも開かれており、その気になれば誰でも商売を始めることができます。

「商品」も世界中から入手できる。そして「人を呼び込むツール」すら個人が扱うことができる。むしろマスメディアの情報よりも信用される。

そういう状況が、現在です。起業は少資本で可能になり、腕一つで誰でも起業できる時代になりました。

いい時代です。

そんなことを高校生の時点で知ることができるのは、なかなか羨ましい状況です。


だから、今の世の中で、究極的に重要なのは「人の注意をひく技術」といえます。

ある意味、それさえできれば、個人も会社も、なんとでも稼げるようになる。

Youtubeで注意を引けば、物が売れる。
Twitterでバズれば、「バズったので宣伝」といえる。
ブログが読まれれば、広告収入が得られる。
Facebookで注目されれば、職が見つかる。

そうして、影響力のある個人は、かつて力を持っていた広告代理店から、影響力とお金を削ぎとっているのです。


したがって、今回の起業講座では、高校生たちにはぜひ「まっとうな方法」で、人の注意をひくことを学んでほしいと、強く願います。

では「まっとうな方法」とは一体何でしょう。


「人の注意をひく」=「人の心をコントロールする」という考え方

その授業の後日、ディスカッションの中でこんな話が出ました。

「人の注意をひく」=「人の心をコントロールする」ではないか、というのです。
簡単に言えば、Evilではないか、ということです。

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上は私の知人が投稿したもので、もちろん自チームを鼓舞するジョークであることを私は知っていますし、むしろお褒めいただきありがたいくらいです。


が、テーマとしては真剣に考える価値があると思っています。

なぜなら「人の注意を引く」ということが、どういうことなのかを理解していない人が、マーケターなどをやっているケースが散見されるからです。

そして、しばしば彼らはEvilです。


少し前、「CMは偏差値40にもわかるように作れ」という元電通社員の発言が、物議を醸したことがありました。

「CMは偏差値40の人にも理解できるようにする」 はあちゅうが電通の先輩に言われた言葉が物議 

「電通の先輩が、『CMは偏差値40の人にも理解できるものじゃなきゃダメ。この会社にいる時点で普通ではないと自覚しろ。世間にはおそるべき量のおそるべきバカがいる。そしてそれが日本の「普通の人」だ』って言ってたの、一番役に立ってる教えの一つだ」

言わんとしていることはわからなくはありません。

偏差値40以上の人を対象にするほうが、偏差値60以上の人を対象とするより、マーケットを広く取れる。

人の注意を引きたいなら、できるだけ対象者を広く取れるように「メッセージは簡単にしなさい」ということでしょう。


でも、完全な間違いです。

いま、webマーケティングをやっていて、「偏差値40以上」という形で対象者を絞ることもないですし、そもそもこのやり方はすでに通用しません。

なぜならこれは「マス広告」が全盛だった頃の話だからです。


実は、この発言と「人の心をコントロールする」の根っこは一緒です。

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