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【71】webメディア立ち上げの推進手順

多くのwebメディアの立ち上げに携わってきたが、メディアが順調に軌道にのるケースはだいたい、基本に忠実に運営されていた。

そこで今回は、基本的な「webメディア立ち上げの手順」について述べる。


1.「成功」の基準

まず、webメディアにはかならず「成功」の基準、言い換えれば目的を持たせることが必要だ。

しかし、具体的な成功のイメージを持っているメディア運営者は希少だ。
例えば漠然と
・ビューを増やしたい
・認知を増やしたい
・アフィリエイト/広告収入を得たい
といった程度の成功イメージしか持っていない場合も多い。

これはいわば、具体性という点において、ビジネスパーソンが「起業し、急成長、上場して金持ちになりたい」と言っているのと同じ程度だ。

この程度の漠然とした成功イメージのままにwebメディアに手を出すと、成長の途上で「何のためにやっているのかわからない」と、愕然とし、「やめた」となるのである。


ではどのように「成功」を定義すべきなのか。

米国のジャーナリストであり、メディア研究者でもあるジェフ・ジャービスは著書「デジタル・ジャーナリズムは稼げるか」において、つぎのようにwebメディアの将来を模索している。

今後の社会でメディアが果たすべき役割をいくつか提案する。
たとえば、考えられるのは、サービス提供者、プラットフォーム構築者、社会のまとめ役、意見の提唱者、教師、プロジェクト立ち上げの支援者といった役割だ。
また私は、ジャーナリズムが今後、「人間関係ビジネス」になっていくべきであるということを主張する。そうなることが、新時代のビジネス戦略の基礎となると考えている。

これには私も大いに賛同するもので、単純に言えばwebメディアは「読者・視聴者とのコミュニケーションハブ」なのだ。


したがって、webメディアの成功のためにまず必要なのは

・どのような人に来てほしいか
・来た人々に対して何を提供するか
・提供した結果、何が生み出されるか

といった、メディアの役割を決定することである。

なお、弊社が運営しているBooks&Appsの役割とは、
・20代~40代後半の働く人々に
・ビジネス上の新しい価値観・発見を提供し
・楽しんでもらう
と定めている。

これを実現できればひとまず、Books&Appsは「成功」といって良い。
なお、この話はあらゆるwebメディアに対して適用できる。

例えばGoogleであれば
・世界中の人々に
・情報を整理して
・アクセスできて使えるようにする

となるし、Facebookであれば
・人々に
・コミュニティ構築の力を提供し
・世界のつながりを密にする
となる。

なお、「10万PV」とか「100万PV」とか、数値目標を掲げる人もいるが、立ち上げる前に掲げる意味はあまりない。
目標の妥当性を検証できないからだ。

メディアの役割によって、数値目標は大きく変わるため、具体的な数値を掲げるなら、最低半年ほどの運用期間が必要だ。


2.メディアの「収益源」

次に、うまくいくwebメディアには、それを存続させるための収益源が設定されている。
どのようなwebメディアであっても、収益源なくして、存続は不可能だ。


ただし、あくまでマネタイズは手段であって、目的にはなり得ないことに留意する。

それはちょうど、ピーター・ドラッカーが指摘するように、企業の目的が「利潤追求」ではなく、「顧客の創造」であることと同じである。

収益はあくまでメディアや企業を存続させるための「制約条件」に過ぎず、ないと困るが、あってもメディアの本質は変わらない。


さて、メディアが収益源として利用できるオプションはそう多くない。
というか、少なくとも現時点では、大別すれば4種類しかない。それは、

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インターネット上における 「生成AIの利活用」 「ライティング」 「webマーケティング」のためのノウハウを発信します。 詳細かつテクニカルな話が多いので、一般の方向けではありません。

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