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「書けない人」を「書ける人」にするために、実際に会社でやってた指導の話。

昨年末のオンラインセミナーで、こんな質問を受けました。
「社内で、ライターの育成はおこなってますか」と。

その時、私は「いいえ、今はやってません。」と回答しました。


しかし、時間が足りなかったこともあり「やってない」と結論だけを述べましたが、これは若干言葉足らずでした。
現実的には「ライター育成」を疎かにしてよいのかというと、そういうわけにはいきません。

マスメディアのちからが衰えた現在では、「情報発信」がすべての企業に欠かせず、営業や採用、マーケティング施策一つとっても、「書ける人」の育成は、急務です。

しかし「書ける人」の絶対数は少なく、慢性的な供給不足なのです。


実際、我々が社内でライターの育成を現在行っていない理由は、弊社の採用の条件が「書ける人」だからという理由によるものです。

現在は社内だけではライターの供給が間に合わないため、「外部ライター」の力を借りるシーンは多く、当社の編集部は、社内よりもむしろ、外部のライターの育成・指導を中心に行っています。

このことから「育成が不要」だと考えているわけではありません。


また、わたしが過去に在籍していたコンサルティング会社でも、書く技術は重要視されていました。

バックナンバーでも紹介しましたが、本の執筆からセミナー資料や報告書の作成、記事の制作まで、様々な「書く業務」があったためです。
それらを通じて新人や若手の育成を行っていました。

例えば、私は「日経コンピュータ」に記事を連載・寄稿していた時がありますが、この記事は複数名で制作し、部下・後輩のライティングの指導も兼ねていました。

「インタビュー力」を身に付けよ
 顧客から気軽に相談される存在になるだけでも、営業スキルの高いエンジニアとして活躍できるでしょう。でも、より高いレベルを目指すためには、提案力を磨くことが欠かせません。今回と次回(連載第4~5回)は、ITサービス企業のシステムエンジニア(SE)でありながら、トップ営業級の高度なスキルを身に付けるためのコツを解説します。(日経コンピュータ編集部)


「書ける人」育成は時間がかかる

このように「書ける人」を育成することは大事なのですが、「書く技術」をどのように教えるかについては、統一見解はまだ存在しないようです。

巷の書店には「だれでも」「すぐ書ける」といったキャッチフレーズの文章術本が並んでいますが、実態としては「書ける人」の育成には、時間もお金もかかります。


なぜなら、書くことは、理論ではなく実践で覚える部分が多いからです。

「文章術」の本を読んでも、知識として文章術を覚えるだけで、実際には、「書かせる」→「レビューする」→「また書かせる」→「またレビューする」というサイクルを、何度も繰り替えさなければ文章はうまくなりません。

これは、スポーツと全く同じです。広場で子供と野球をするだけならともかく、草野球チームに入って活躍するのはもちろん、プロとして魅せるプレーをするには、かなり多くの時間を、体系的な反復練習に費やさなければならないのです。


「書ける」のグレードは4段階

では具体的に「書ける人」を育てる指導をどのように行えばよいのか。

指導には、マイルストーンを起き、具体的目標を作ってこれに向かうことが重要です。例えば私は「書ける」のグレードを4段階、設定し、グレードにあった指導を提供することにしています。

そのグレードとは、以下の4つです。

第一段階(初心者):ビジネスメールが書ける
第二段階(中級者):報告書・SEO記事が書ける
第三段階(上級者):コラム・記事が書ける
第四段階(プロ):本が書ける

では具体的なグレード別の指導法をご紹介します。


第一段階(初心者):ビジネスメールが書ける

いわゆる「わかりやすく・正確に」書けることを目指す段階です。では、ビジネスメールすらうまく書けない人に対する指導は、どうするべきでしょうか。

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