【収益貢献は◯◯%】400社へのコミュニティアンケートの結果を解説
こんにちは。commmuneを提供しています、コミューン株式会社の高田(@belgrou)です。
先月、北米を中心にコミュニティツールを提供するVanilla forums から、コミュニティに関するアンケート調査の結果が発表されました。
今回の調査で注目すべきは、調査対象がコミュニティを既に実施している企業に限られていないこと。
多くのコミュニティ調査では、既にコミュニティ施策に取り組む企業に焦点があてられていて、コミュニティ施策に取り組んでいない企業との比較が不十分でした。
レポート本文はこちらからアクセスできますが、本記事で概要やポイントについて日本語で解説していきます。
調査手法、言葉の定義
調査手法は全55問のアンケートで、調査対象としてVanilla Forumsの持っているネットワークが利用されています。
本調査では11,000人超に対してアンケートを送付し、400名から回答を得たとのことです。(回答率 3.6%)
Vanilla Forumsはコミュニティソフトウェアベンダーですので、回答者はコミュニティ施策に対して一定の関心がある層だと考えられる点、注意が必要です。
調査に協力した400名の属性は下記のようになっています。
企業規模は、1~50名規模が最大の割合となっていますが、その他の規模の企業も含めて、おおよそバラけていますね。
他方で業界軸で見ると、テック企業が41%を占めており、非常に高い割合となっていることがわかります。
また、本調査では、下記のように言葉を定義しています。
ブランドコミュニティ:自社の保有しているドメイン傘下にある、あるいはサブドメインとして存在する
例: domain.com/forum あるいは forum.domain.com
ソーシャルメディアコミュニティ:FacebookやTwitter、Linkedin等で形成されるコミュニティ
実際どれくらいの割合がコミュニティやってるの?
アンケートに回答した400名の企業においては、約75%が何らかの形でコミュニティ施策に取り組んでいるとの調査結果が出ました。している/していないの部分では偏りがある可能性がありますが、面白いのはブランドコミュニティ v.s. ソーシャルメディアコミュニティの割合比です。
だいたい2:1の比率になっており、ブランドコミュニティに取り組む企業が2倍となっています。
また、コミュニティに取り組んでいない企業の多い業界は下記の通りで、ヘルスケアや教育、コンサル等の専門職が高い割合を占めています。顧客との1対1対応が重要視される業界だから、という理由でしょうか。
何の目的で取り組んでいるの?
ブランドコミュニティを持つ企業において、その利用目的は下記の通り。製品開発やプロダクトフィードバックをもらうこと、顧客とのコネクションの強化、そしてカスタマーサポートとしての役割がTop3となっています。
コミュニティの顧客エンゲージメントに対する効果
目的がわかったところで、重要なのは効果です。そもそもコミュニティに取り組む企業は、どのような効果を実感しているのでしょうか?また、ブランドコミュニティとソーシャルメディアコミュニティで、何が異なるのでしょうか?
コミュニティ施策に取り組む企業が最も期待する効果の一つが、顧客エンゲージメントの向上です。
上述の通り、コミュニティ施策に取り組む目的は多面的ですが、最も評価しやすい指標として顧客エンゲージメントをとっています。
ブランドコミュニティを持つ企業では、「顧客エンゲージメントが自社の最大の課題である」との質問に対して32%がYESと回答しているのに対し、コミュニティを持たない企業は57%とより大きな課題認識を持っていることが伺えます。
更に、コミュニティが顧客エンゲージメント向上に寄与したか?というよりダイレクトな質問に対しては、ブランドコミュニティに取り組む約90%の回答者がYESと回答し、その効果実感の高さを伺えます。
ちなみに、コミュニティに取り組んでいない企業において、ビジネス上の課題は何?と聞かれた際の回答では、顧客エンゲージメントが最も高い割合を占めており、決してコミュニティがなくとも顧客エンゲージメントが向上できているわけではなく、ビジネス上の大きな課題としてのしかかっていることがわかります。
コミュニティの収益指標に対する効果
「顧客エンゲージメント云々とか、曖昧な指標だよね。要はお金にはならないんでしょ?」という方もいらっしゃると思います。
そこで次に取り上げるのは、収益貢献に関する質問です。
ご覧のように、ブランドコミュニティに取り組む企業においては、「顧客のリテンション」、「リード獲得」、「(より直接的な質問として)売上向上」に対して55~68%の回答者が効果があると答えています。
こちら、設問によってはソーシャルメディアコミュニティとの間に結果に大きな差があることが見て取れます。
収益指標への貢献を追求するのであれば、ソーシャルメディアコミュニティに取り組むのではなく、ブランドコミュニティに取り組むべきかもしれません。
ちなみに、コミュニティのROIは時系列を追うごとに高まっていくことがわかっています。COMMUNITY ROUNDTABLE社が2019年春に発表したコミュニティレポートにおいては、コミュニティ施策に取り組む325社における平均的なROIの調査結果は下記のようになっています。
ブランドコミュニティに取り組む企業における課題
コミュニティに取り組む企業では、コミュニティエンゲージメントが最も大きな課題として認識されています。
また、次に大きな課題は社内の承認や上層部のBuy-in。
コミュニティ施策が進んでいるアメリカでも、これらの課題意識は大きいんですね...
私個人としてはこれは半分導入企業のせいで、半分はベンダーのせいだと思っていて、アメリカの多くのベンダーがツール提供者にとどまっており、コミュニティ施策の成功にコミットできているわけではないことに問題意識を感じています。
最後に
今回のレポートはコミュニティ施策を行っている企業とそうでない企業との違いに焦点をあてています。
個人的には、特にコミュニティ施策のもたらす顧客エンゲージメントへの効果や収益指標に対する貢献についてのパートが興味深かったです。
顧客エンゲージメントや収益指標にコミュニティが貢献することは、日本でも感覚論では語られていますが、数字で示されることで納得感が高まりますよね。
個人的にはFacebookグループでコミュニティやるくらいならやらないほうがROIよさそう、と考えているので、その感覚も間違っていなそうだ、と思えたのは収穫でした。(参考note)
既にコミュニティ施策を行っている企業に焦点をあて、どのような課題があるのか?等について深堀りしたい!という方は、こちらの記事もご覧いただくのが良いと思います〜!:)
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