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「神戸から世界へ!」 ワコーレ杯チビリンピック2021 兵庫県大会決勝リーグ ヴィッセル神戸U11vsセンアーノ神戸U11 レビュー

練習前に急遽この試合を見るためだけに三木まで足を運びました。

なぜ見たかったか。

もちろん、レベルの高い両チームということもありますが、先日行われたライオンズ杯の決勝でもこの両チームが激突して素晴らしい試合をしていたからです。まずは、そのライオンズ杯の試合を簡単に振り返っていきます。

なお、個人名は控えさせて頂きます。この両チームを尊敬し分析したいなと思うほど良いチームだからこそ、僕目線ではありますがレビューさせてもらいます。僕の憶測が誤っている可能性もありますが、そこも含めて読んで頂ければ幸いです。これが、少しでも皆さんのお役に立てれば幸いですし、ジュニア年代の神戸市サッカー、兵庫県サッカーのトップオブトップがどういうサッカーをしているのかを発信することで、神戸市、兵庫県のサッカーレベルの底上げに微力にすらなるか分かりませんが、皆様の目に少しでも留まると嬉しいです。


■ライオンズ杯決勝

雨が強く降る中での決勝戦。ヴィッセル神戸vsセンアーノ神戸。兵庫県のジュニアサッカーを引っ張っていく両チームだ。センアーノが優勢にゲーム運びするだろうなとは思っていたが、まさにその通りになった。前半からセンアーノがボールを支配してゲームを進める。おそらく、6.7割ほどボールを支配していたと思う。ゾーン3(アタッキングサード)までボールを運ぶが、強い雨でピッチ上は水溜まりだらけ。ボールが止まる。地上戦での戦いはなかなか難しく見えた。シュートまでいってもそのボールが止まる。ヴィッセルもそれは同じだ。ただ、裏返すと地上戦でのサッカーが普段からできているということでもある。

後半になってセンアーノはフィールドプレーヤー7人全員を交代した。僕はそれが一番衝撃だった。僕たちもセンアーノと試合して敗れた。その時は後半残り半分ぐらいからサブ組が出てきた。それをこの決勝戦、しかも相手は強豪ヴィッセル。その状況で後半開始から総入れ替え。もし、自分が同じ状況で監督ならその勇気はない。ただ、後半は一転してヴィッセルのペースに。それでもスコアは動かずに0-0のまま延長戦に。

延長になると、センアーノのレギュラー組が戻ってきた。こうなると、やはりペースはセンアーノ。特にサイドでの攻防でセンアーノは優位にゲームを進める。延長後半にセットプレーからセンアーノが先制点。ただ、延長後半のラストにヴィッセルがPKをゲットして同点に追いつく。PK戦でヴィッセルが勝利を収める。聞いたところによると、PKをゲットしたヴィッセルの選手は4年生らしい。

ここまでがライオンズ杯の簡単なレビューだ。ストーリー性を知った上でチビリンのレビューをどうぞ。


■第一ピリオド

チビリンピックのルールをまず簡単に説明しておく。第一ピリオド、第二ピリオド、第三ピリオドがある。言ってしまえば、総力戦だ。レギュラー組以外のレベルも問われる大会になっている。メンバーが揃わないチームがほとんどで、下の学年を連れてきて第一ピリオドを5年生、第二ピリオドが4年生、みたいにしているところが多い。そんな中で始まった第一ピリオド。天気は快晴だ。おそらく、両チームとも第二ピリオドにレギュラー組を充ててきている。聞いたところによると、ヴィッセルは第一ピリオドは4年生だったみたいだ。システムは下の通りだ。

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センアーノが青でヴィッセルが赤だ。センアーノは3-3-1。ヴィッセルは4-2-1。しかしヴィッセルは攻撃時には両サイドが高い位置を取る2-1-3-1(2-3-1-1)。この試合もセンアーノがボールを支配してゲームを進める。開始数分でこの試合、いやこのシステムで戦う両チームのポイントが現象として起きる。ヴィッセルは守備時はサイドは縦のスライドをあまり行わない4バックのままで守る。なので、ヴィッセルの中盤2人はピッチの横幅50メートルを2人でスライドしながら守らないといけない。ポイントはここだ。ヴィッセルの1トップ脇、もしくは2ボランチ脇。そこにセンアーノはフリーなサイドバックがどこまでドリブルでボールを運んで前進できる状況を作れるか。これがパススピードが遅ければ相手のスライドが間に合ってしまう。このヴィッセルのシステム的な問題点のところからセンアーノの右サイドバックが自陣深くからドリブルでボールを運び相手ペナルティエリアすぐまで長い距離を1人で前進。そこでフリーキックを獲得する。その瞬間にセンアーノの監督がベンチで待機している第二ピリオドの選手たちを全員集めて戦術ボードで何かを話していたのが印象的だった。おそらく、このシステム的に優位性を持てるここの部分を突いていこうと話したと予想する。本当にそうかどうだったかはセンアーノのみぞ知る。ただヴィッセルの後ろを4枚で固められる戦い方をされると最後のゾーン3に侵入してからが本当に固い。センアーノが1トップ脇、2ボランチ脇からボールを前進するシーンが多々あった。そこからの守備がヴィッセルは固かった。そういった第一ピリオド。ヴィッセルの4年生。この5年生もそうだが、4年生もとても強くて楽しみなんだなと。スコアレスで第一ピリオドを終える。


■第二ピリオド

いよいよレギュラー組が出てきた。第二ピリオドもシステム的なズレを利用してセンアーノが優位に試合を進めようとする。が、開始早々に2失点する。確か、どちらとも自陣でのパスミスからの失点だった。それにしても、ヴィッセルのFWの個の力がえげつない。そこでの差が大きかった。ゴールに一番近いポジションの選手の重要性を改めて知らされた時間だった。センアーノは攻撃時に両SBが高い位置を取るので、CB1枚だけが残る形になることが多い。ヴィッセルのFWも1枚残してるので、1vs1の状況が生まれる。

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センアーノは第二ピリオドの終盤にコーナーキックからゴールを決め、第三ピリオドに望みを繋げる。ライオンズ杯の時もセットプレーからセンアーノが先制していた。


■第三ピリオド

第三ピリオドになってセンアーノはシステムを3-2-2に変えてきた。

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攻撃時は片方のボランチがDFラインに落ちてきて(サリーダ)、両SBが高い位置を取る2-3-2もしくは2-1-4に可変する。相手の1トップに対してDFライン3枚でビルドアップするのではなく、2枚でビルドアップする。攻撃的な形へのシフトだ。

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キーパーがボールを持った時に3バックの中央の選手は無意味なポジションになることが良くあるが、2バックにすることでそのポジションを廃止する。しかし、センアーノは一瞬のスキを突かれてヴィッセルに決定的な3点目を与えてしまう。


■あとがき

とても良い試合だった。この両チームのレベルの高さが随所で見られた。それと同時にこの学年の神戸市のレベルの高さ、兵庫県のレベルの高さも知ることができた。この両チームに所属している選手の中から、将来日本を背負うような選手が出てきそうな気がしてならない。

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