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プロダクト開発と、The Modelと、時々、OKR

プロダクト開発においてファネル分析は、プロダクトにおける事業ドライバーの発見に大いに役立ちます。

ただ一方で、その扱い方を間違えると落とし穴にハマってしまうこともあります。

そんなファネル分析ですがSalesforce が提唱してきた『The Model』の考え方によく似ています。

『The Model』も考え方として各プロセス切り分けて分業しましょう的なアプローチなので似ているのは当たり前ですが、だからこそ『The Model』における教訓はプロダクト開発にも落とし込めることが多いはずです。

そもそもThe Model(ザ・モデル)って?

『The Model』とは営業プロセスモデルのひとつで、特にSaaS営業の組織に取り入れられることが多いです。

ざっくり特徴としては、
・営業プロセスを切り分け、各段階での情報を数値化・可視化する
・各段階を担当する部門間が連携することで、顧客満足の向上を図る
というものです。

そして『The Model』では特にカスタマーサクセスの重要性がとても高いです。
もちろん新規獲得も重要ですが、どれだけアカウントを獲得できてもすぐに離脱されてしまえば継続的な売上を生み出すことは出来ず、事業も成長することができません。
カスタマーサクセスを追求することで自社製品のファンを増やし、それにより顧客の離脱を防ぐだけでなく、クロスセル・アップセルを促しLTVを最大化させることができるのです。

The Modelをどう落とし込むか

それでは本題です。
プロダクト開発に『The Model』を落とし込むのか。

『The Model』では、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」という風に4段階に分けることで、各段階での情報を可視化して、全体最適化に向かっていきます。

同様にプロダクトにおいても「流入」「会員登録」「購入」「リピート」という風にプロセスを分断することで、数値(各ファネルのセッションやCVR等)が可視化され、プロダクトのどこにドライバーがあるのかを探索しやすくなります。

特にプロダクトも初期フェーズであれば、これらを1チームで全て完結させていることも多いが、だんだん規模が大きくなるにつれ、『The Model』で営業プロセスごとにチームを分けるのと同様に、「マーケティング」や「カスタマーサポート」、また更に規模の大きいプロダクトであれば、ファンクション別にいくつものチームに分かれていくことが多いです。

しかし、これはあくまで各プロセスにおける情報の可視化の為の切り分けであり、これにより実際に組織自体を完全に分断してしまうのはアンチパターンです。

『The Model』の落とし穴としてよく「部分最適に陥り、部門間の連携が取りにくくなる」という問題が挙げられます。
しかし本来はプロセスを切り分けることで、各領域の強み・弱み等を可視化して、それらの領域について高い専門性を持ったチーム同士が連携をすることで、あらゆる切り口から課題を解決できる強固な組織を構築することが目的なんです。

しかし、こうしたプロセスの分断が組織間の分断にも繋がってしまうことがあります。そうすると各チームが自分のことだけを考えて本来目指すべき全体最適を実現することが出来なくなっていってしまいます。

「そんなのちゃんとチーム間でプロダクトが目指すべき北極星を認識合わせておけばいいんでしょ。」と言われるかもしれませんが、これがそうも簡単にいかないのです。

組織が分断されるとどうしても「うちのチームだけ目標達成すれば後はそれでいいや」となってしまうのは一定仕方のないことだと思います。人間ですし。

では、その課題を解決する為にはどうすればいいのか。

協力せざるを得ない仕組み作り

結局は、仕組みで解決すればいいんです。
そして、その最たるものとして、「協力せざるを得ない目標を与える」こと。

部署間の定例を設けてみたり、飲み会を通して仲良くなってみたりもあるが、それよりも1つの目標に向かって一丸とならざるを得ないような状態を作ることが重要です。

弊社では、目標設定の手法としてOKRを導入しているので、そうした仕組みを作ることができるようなOKRを設定するよう心がけています。

例えばマーケとプロダクトとBizDevで同じObjectiveを持つみたいなこと。結局はこれが一番早いし効果的です。
共通で持っているObjectiveに対して、それぞれ流入を増やすのか、CVRを改善するのか、オペレーションコストを削減して粗利を改善するのか。共通目標を多面的に捉えて、各部署間で連携を取りながら進んでいくのです。

最後に

『The Model』についてつらつら書いてしまいましたが、結局は『The Model』における教訓って営業組織だけでなくプロダクト開発にも通じるこ
とだよねと思いましたという話でした。

プロダクトマネージャーは関わるステークホルダーがとても多いです。だからこそ自らが中心となり全員を巻き込んでいくことができるポジションでもあります。

俯瞰して全体を見渡しながら全員を巻き込む、はたまた「協力せざるを得ない仕組み作り」をしていき、プロダクトを最適な方向へ導いていくことがプロダクトマネージャーの使命であり面白いところだとも思います。

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