140字では語りつくせぬ映画愛 第2回『サイン』独特のコワ面白い空気感
友人伝いでブログ始めたことが親に知られた沖津です。
勢いで始めた映画感想ブログの第2回投稿です(タイトルはそのまま…)。
映画の2作目って往々にしてつまらないという宿命を背負いがちですが、このブログはそうならないことを祈って書き進めます。まあ、ターミネーター2とかダークナイトなど2作目が傑作という前例もありますし。
さて、今回扱います映画はM・ナイト・シャマラン監督のこちらの作品。
『サイン』です。
シャマラン監督作品の中では恐らく一番好き。シャマラン監督、来月にはジェームズ・マカヴォイ(イケメン)が23人もの人格を持つ多重人格者を演じるサスペンススリラー、『スプリット』の公開を控えています。
面白そう。しかしこれマカヴォイ君、去年のX-MENで頭丸刈りにしたのが功を奏しすぎですね。23人どう演じ切るのか非常に楽しみです。
失礼、脱線しました。映画となると話があっちこっちいくのが、僕の悪い癖。(ちなみに「相棒」の劇場版、今年は面白かったですよ。)
さて本題の『サイン』ですが、第一印象は恐らく良くも悪くも「よくまとまった作品」といった所。徐々に徐々に盛り上がって、軽いラストバトルがあって、適度に伏線回収、そしてアメリカ的エンディング。上映時間も長くも短くもない106分で上手いことまとまった映画です。
ただ、それだけではないのがシャマラン作品で、独特のいいムードが映画全体を包み込んでいて非常に癖になります。
なのですが。。。
どうやら世間の評価は軒並み低め・・・。何故だ・・・。ま、詳しいことは後ほど。
あらすじ
元牧師のグラハムは奥さんの交通事故死で信仰心を捨て、元野球選手の弟メリル・息子のモーガン・娘のボーとアメリカの片田舎で暮らしています。
そんな折、一家の周りで奇妙な出来事が連続します。大人しかった犬の暴走、深夜の不法侵入者、そして所有するトウモロコシ畑に現れたミステリーサークル―。
↑突如現れたミステリーサークルに茫然自失となる一家
徐々に「それ」は平和を脅かしていきます。テレビなどでも連日報道していることからその異変は世界中で起きているようです。
そしてグラハムのもとに、奥さんが死ぬ原因となった事故を起こした張本人レイから「1匹捕まえた」と電話がかかってくるのですが・・・。
と、こんな話。
結論から言ってしまうと宇宙人が地球に攻め込んできてるんですね(割と早い段階で分かる話です)。世界中に見えない宇宙船で大挙して乗り込んできていたんです。一家の暮らす街にも少数ですが、侵攻してきた、というストーリー。
そんなSFホラー映画『サイン』の
面白ポイント①。常にミクロな視点で話が進む。
「インデペンデンスデイ」や「アベンジャーズ」のように世界規模な話には一切目を向けず、あくまで田舎に暮らす普通の一家が地球の危機にどう反応するのかを描きます。
国がどう対応しているとか、倒し方とか、世界の人々はどんな状態か、パニックは起きているのか、そんな話は致しません。一家には、そして視聴者には事態がどれだけ深刻かすらわからない。
情報源はテレビとラジオだけ。これが妙にリアルで宇宙戦争がサスペンスホラーに「昇華」されている感じ。
ほとんどこの人たちだけが、こんな感じでしか映りません。
面白ポイント②。日常生活が脅かされていく「ジワジワ感」が上手い。
この映画の見どころはなんといってもココ。というかこれ以外は確かに評価低いのも納得できるツッコミどころの多さなんですが、これだけで十分面白いと思う。
背の高いトウモロコシ越しにチラッと「ヤツ」が見えたり、赤ん坊の様子を聞くためのトランシーバーに「ヤツら」の通信がはいってきちゃったり、テレビで「ヤツ」が映ったホームビデオの映像が公開されたりー。
「なんか変じゃね・・・?」くらいのラインをつくのが本当に上手い。空気感がたまらないです。
面白ポイント③。大して怖くない&軽いコメディ要素
ホラーとか言ってしまったんですが、実は怖くないんですよ。どちらかというとミステリアスを楽しむ感じなので。
これがっつりホラーにしちゃってたらたぶんB級映画もいいとこだったと思います。心地よい程度の寒気が心地よい映画です。
あと、結構な頻度でコミカルなシーンが入るんですが、「ん・・・?これ笑っていいのかな。ちょっと面白いんだけど。」くらいのちょうどいい笑いで、全体の雰囲気壊さないけど小休止になってる感じが好きですね。
ひとによっては笑うシーンに気づかないかもしれないです。沖津は小学4年生くらいの時に初めて観て、その時はコワいだけで、、、笑うシーンがあることに気づいたのは結構最近でした。
面白ポイント④。メル・ギブソンの「泣き」の演技
映画中盤の奥さんを轢いた相手から当時の状況を聞いて、グラハムが我慢しつつ泣くっていうシーン。
これ別に上手いわけでもないんですが、グラハム役のメル・ギブソンの泣きがわざとらしいのが逆にクセになります。ぜひ注目してほしいですね。
と、『サイン』の魅力を語ってきましたが、先述の通り世間の評価は低いようです。その理由は正直観ればわかります。。。
確かに説得力に欠けるという指摘には納得せざるを得ません。
まず宇宙人の皆さん威勢よく地球に乗り込んできた割に滅茶苦茶弱い…。そもそも「水」に弱いんだそうです…。
ええ~~~~~~~~。
7割水でできてる惑星に来るんじゃないよ。こちとら「水の惑星」ぞ。その辺納得いかなかった方が多かった様です。
ウルトラセブンでは地球の気圧に耐えられないのに地球攻撃しにきたアホ宇宙人いましたけどいい勝負です。最後膨らんで破裂してました。
あとは、テーマとメッセージですかね。「信仰」と「家族愛」が主なテーマっぽいんですが、いまいち頭の中で宇宙人パニックと「信仰」がうまくマッチしない。無理やり感が否めなかったみたいです。
↑宇宙人攻めてきてるのにその対応かよ的な
ただ、言わせてもらいたいのはこの映画は「雰囲気映画」なんですよ。なにやら得体の知れない「何か」が侵入してくる様を、そのミステリアスな雰囲気とテンポのいいセリフで描いていて。
それがメチャクチャよくできてる。こっちはそれを全力で味わえばいいだけの話で。
極端な話「宇宙人」はこの映画では舞台装置にすぎません。自然災害じゃミステリアスじゃないし、幽霊じゃ手の出しようないし、生身の人間じゃ話重くなるし、じゃあ宇宙人でいいや。なんですよ。
もはや、「雰囲気」の前ではストーリーすら二の次でもいいくらい。それでも伏線の回収と結末はしっかりまとまってるんだからそれでよしとしましょうよって映画なんです。
↑皆で街に行くシーンが一番好きだもん
そういう意味では「LA・LA・LAND」も同じ部類の映画かもしれないですね。結構つまんなかったって意見聞きますけど、あの映画ストーリーとかどうでもよくないですか。
音楽がいい、演出がいい、ジャズに対する持論がいい、あえてのレトロな雰囲気がいい、理由なき反抗が好き、etc
その辺楽しめばいいんですよね…。
確かに前評判の割になんてことないお話だったかもしれないけれど、2時間いい気分で観てられるってのはそれだけで「何か」ありますよね。映画として。沖津はラスト10秒が良かったから、悪くない映画だったと思えています。
また話逸れた。。。
まあそんなワケで宇宙人が弱かろうが水苦手だろうが別にOK。そこしっかりしてほしいならそれこそ「インデペンデンスデイ」の方がよほど面白いです。
あ、でもシャマラン監督本人が重要な役どころで出演するのはどうかと思います。笑
↑ガッツリ出てます。探してみてください。
まとめ
今回は作り手の「売り」と受け手の「求めるもの」との齟齬なんて永久に解決されない問題だよね、というお話でした。(してたっけ?そんな話)
そんなワケで『サイン』。とても好きな映画です。
このブログでは本当に重要な謎、奥さんの最期の言葉とかタイトル「サイン」の本当の意味とかには触れておりませんのでぜひ自分の目で面白いかつまらないか判断していただければ・・・。
次回はもう決まってる。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(1995)にする。
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