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パナシナイコスとユーロリーグの対立が更に強まる。バスケという競技は"二極化"しやすいことについて

先日の記事

にてお伝えした通り、パナシナイコスがユーロリーグを離れてバスケットボール・チャンピオンズリーグへ"移籍"するという意向を示しましたが、今度はユーロリーグがパナシナイコスに対しリーグ脱退によるライセンス契約解除料を要求する意向であるというニュースが流れてきました。

もし今後ライセンスの契約解除をめぐって法廷・裁判にまで発展すれば問題の長期化・泥沼化も予想されますが、何故このような事態がバスケットボール界では頻発してしまうのかということについて解説していきます。


①バスケットボール競技の成り立ちとFIBA・NBAの違いなど

バスケットボールという競技はカナダ人のジェームズ・ネイスミスにって考案され、現在のバスケットの原型となっている

というのはバスケットボール好きの人なら知っている人も多いと思いますが、その後1932年にFIBA(当時の名称は国際アマチュアバスケットボール連盟)が設立されます。

北米で誕生したスポーツでもあり、アメリカでは1946年BAAが設立して以降はABAとの並立も経てNBAにが確立されていきますが、統一されたリーグにる運営でバスケット最強国として歴史・伝統・実績を紡いできたNBAに対して、FIBAは国際バスケット連盟として様々な国際試合を開催・運営していくことになります。

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(バスケットボールという競技はカナダ人のジェームズ・ネイスミスによって考案された。)


②ユーロリーグVSFIBAの歴史

ここらへんは私の知識不足などもありあまり深く説明できないのですが、元々FIBAの主催によってヨーロッパチャンピオンズカップとして始まったコンペティションが独立し、そこからユーロリーグとして発展・確立していったという形になります。

これに関してはテニスと同じ部分もあり、国際競技連盟(ITF)から独立した形で設立・発展していったのがATP・WTA・・・という点は似ています。

要するに元々自分たちが主催していた大会(リーグ)が、自分の管轄から独立され発展していった為、ややこしいことになったと。元々のリーグ主催者で国際連盟として活動するFIBAと、そこから独立してリーグを発展させNBAに次ぐナンバー2として運営しているユーロリーグの対立・主導権の争いとなっている。

③バスケットボールという競技の性質

バスケット好きならよくわかると思いますが、バスケットボールという競技は団体競技・チームスポーツでありながら個人と個人の対決による比重が極めて大きいスポーツです。

当たり前だろと言われそうですが、5人と5人で行われる中でも選手間のマッチアップにおける優劣がそのまま大きくチームの勝敗に影響するスポーツなのです。

そして選手一人個人への比重が大きいため、個人間でのライバル関係などが確立しやすく、それは選手だけでなくチーム同士でも起きる。

マジック・ジョンソンとラリー・バード、キャバリアーズとウォリアーズの関係性などが代表的です。そしてライバル関係が激しくなればなるほど劣勢に回る人間のダメージが大きい。

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(マジック・ジョンソンとラリー・バードに代表されるようにバスケットボールという競技は個人個人やチーム間でのライバル関係が確立・構築されやすい。)


③世界中のバスケ界はリーグ・チーム間のによる対立・並立が非常に多い

日本のバスケ業界ではbjリーグとJBLとの分裂・対立があり、一般的には日本のバスケは混乱しておりイメージが悪い・・・という印象を持つ人も多かったと思いますが、このような対立・混乱劇は決して日本だけで起こっているようなケースではないのです。

同じアジアのフィリピンやレバノンでは自国のバスケ協会のゴタゴタが続きFIBAからの資格停止・制裁国際大会の出場禁止処分を受けています。

またこれはチーム間で起きた対立劇ですが、パナシナイコスとのライバル関係が激化した結果、ギリシャのオリンピアコスはギリシャ国内リーグから脱退し国際大会のユーロリーグのみ参戦するというような事態にもなっています。 

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(オリンピアコスとパナシナイコスとの対決激化にも代表されるように、過度なライバル関係やリーグ・連盟での激しい内部抗争により揉め事が絶えないのが世界のバスケット事情)


④日本に制裁処分を下した国際バスケ連盟自体がガバナンス(組織統治)出来ていないという有様

先述の通りですが、FIBAは長きにわたってユーロリーグとの関係がこじれており、自らがイニシアチブを取りたいが為に様々な圧力をユーロリーグへ与えてきました。

これらのやり方は世界のバスケファンから"FIBA MAFIA"と揶揄・非難されており、2019年のバスケW杯では誤審の影響を受けリトアニアがフランスに敗退するという事件が起きてしまいました。

その後FIBAと大会はこの審判団を追放するという処置を執りましたが、

これらのエピソードからわかる通り、日本のバスケ協会へ「ガバナンス不足である」と制裁・指導をしたFIBA自体がガバナンス不足(大会運営・ユーロリーグとの関係)という本末転倒な事態・状況なのです。

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(記者会見で激しく怒りを見せる当時のリトアニア代表HCダイニュス・アドマイティス。FIBAのお粗末な審判のジャッジの結果、リトアニアは東京五輪最終予選へ回らなければならないことに。)

まとめ・総評

とにもかくにも世界のバスケットボールでは協会・リーグ・チームの中で様々な争いが起きており、ガバナンス(組織統治)不足で混乱状態・揉めることが多いのです。決して日本だけの話じゃないよってことですね。

結局NBAという絶対的な存在を除けば世界のバスケ協会・リーグでは揉め事・混乱が多く隣り合わせであり、"二極化"の起きやすい競技の性質がバスケットの世界的な人気の底上げを阻害しているという部分でもあります。

日本に関してもBリーグの発足が日本バスケットそのものの底上げに繋がっていないのが実情であり、様々なスポーツとの競合に晒される現状日本国内でもバスケ人気を確立させていくのは骨が折れるでしょう。

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