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出版不況だと嘆くなら『慣習を捨てて街へ出よう』

おはようございます。


皆様はすっきりと起きられるタイプでしょうか?
僕は割と寝起きが良いようで、短時間の睡眠でもすっきりと起きる方です。
なので時々「あっ!寝過ごしたっ!!」と飛び起きたらまだ少ししか寝ていなかったなんてこともありました。


高校の頃に寝ぼけて深夜に朝ごはんを食べようとしていたこともあります(その時は寝ぼけているので脳は寝ていますね)


そんな僕なので映画の撮影現場のように異常な環境に順応するのはとても速かったです。
特に「Vシネマ」のような低予算の現場では短期間に映画を一本撮影するようなスタイルなので「寝不足ゾンビ」がウロウロとしています。
コインランドリーで洗濯物を取った瞬間に気持ちよさに寝てしまった制作部や、二人組でロケバスを運転してドライバーが寝ないように励まし続けるスタッフなんてのもいました(マイクロバスなので誰もが運転できるわけではないので)
語り草になっているのは機材トラックのドライバーが交差点で右折待ちをしているほんの一瞬で寝落ちしてしまい大渋滞を作ってしまったなんてこともあります。


特にアクション映画の現場などではとても時間が掛かるのでそうした事が多かったです。
最近では撮影もデジタルがメインですし、データの転送やセットの合理化などが徹底しているので、そんな現場も減っているようですね。
何事も変わりゆくものです。
変わらないといけないのです。


ところが変わらないものも多くあります。
映画の話で言うと、未だに俳優になりたいと思ったら芸能プロダクションに入るしかないとオーディションを受けています。
僕らから見ると今現在の芸能プロダクションに入るのはコスパが以上に悪いと言わざる得ません。かつて勤めていたものですから批判することは避けたいので多くを言いませんが、こうした芸能プロの在り方は「映画先進国」では見られない光景です。


世界でもっとも映画を生産しているのはインドですが、インドには芸能プロダクションは存在しません。個人がそれぞれスポンサーを見つけて活動しています。

またハリウッドも考え方が日本とはまるで違っていて、エージェント制です。
つまり「あなた」が俳優になりたいと思うのならエージェントを雇う形になります。
日本では「所属」して事務所の意向を聞きますが、ハリウッドではあなたの「意向」を実現するためにエージェントがプロとしてオーディションや制作情報を集めて、ブレーンとして行動します。優秀なプロフェッショナルです。そうしたプロが一人一人をケアします(その分、契約金も取られますが、それは成果報酬なので売れることが前提です)
吉本などは「クリエイティブ・エージェンシー」なので本来ならばこのシステムなのですが、多くの芸人は「所属タレント」だと思っているので生かせていません。


日本では他の名目でたくさんのお金を取られますし、会社なのでマネージャーは意思疎通をする頃には転勤になります。良くも悪くも会社員としての日々の仕事しかしません。
なのでルーティンで「はーい、こんなオーディションがあります。行ってきてくださーい」程度です。よっぽどの大スターでない限り親身になってなどあり得ません。


アメリカでは昔から多くのクリエイティブ活動においてこうした「エージェント」制度をとっているので、優れた「ブレーン」を見つけることが重要になってきます。
スポーツ業界でのエージェントの在り方を描いたトム・クルーズ主演の『ザ・エージェント』などとても参考になるかもしれません。
そのトム・クルーズを大スターにしたのも優秀なエージェントであるポーラ・ワグナーの功績ですし。


出版業界でも、その問題はあります。
かつて村上春樹は日本の編集者は会社員であり、転勤・転属が当たり前にあるので信頼関係を築きにくいと発言していました。
海外ではどうなのか?
これはどの業種にも言えることなのですが、それぞれが完璧なる「プロ」です。
たとえば映画の世界でいうと「助監督」は「監督志望者の見習い」などではなく「助監督というプロフェッショナル」なのです。


なので編集者もプロフェッショナルです。
かつて名編集者と謳われたマックス・パーキンズはヘミングウェイやジェームズ・ジョーンズ、トーマス・ウルフ(彼との作業は映画にもなりました)などアメリカの近代文学史を創ったともいえるほど献身的に彼らの創作をバックアップし、執筆に専念できる環境を創り出し、作品を添削し磨きをかけて行きました。
特にフィッツジェラルドはその栄光を創りあげ、酒で転落していったときも最後まで協力し、死後は娘のスコティの大学へ通う資金や、結婚式の費用も出すなど支援を続けたそうです。


これは古いアメリカの話ですが、こうした良き伝統を守り、悪しきものを改善することで常に強国であり続けていることは確かです。
残念なことに日本では悪しき古い慣習が残り続けています。
これは【改善】という素晴らしい言葉を持つ日本としては恥ずかしいことだと思っています。
海外では【改善】を『Kaizen』という言葉で使っています。


どの業界もそうですが、スマホの出現は多くのコンテンツを奪われ続けてます。
スマホは発展し、進化を止めませんのでこれからももっと多くの事がスマホで完結することになります。


いま、新聞を定期購読して読む人がどれだけいらっしゃるでしょう?
ニュースサイトの方が簡単ですし、情報も早いです。
かさばることも無いですし、毎月古紙として持っていくのも大変です。


ゲームもオンラインを使ってスマホで出来ますし、テレビも見れます。テレビよりも面白いコンテンツが沢山あります。


最大のダメージを受けているのが出版業界です。
ダメージを受けているのに【改善】しないのもまた出版業界です。


以前は多くの若い人の将来の夢が「漫画家」だったと思います。
昔はデビューしようと思ったら、雑誌のマンガ大賞に応募するとか出版社に持ち込むというのが主流だったと思います。


今では、コミケ(同人誌即売会)で売り上げを上げているところにスカウトに行くというのが多いです。
壁サー(人気のあるサークルは行列ができるので壁際のスペースをあてがわれます。同人誌作家とって「壁サークル」とはトップの称号です)の前には出版社のスカウトと、税理士が名刺を持って並んでいます。


問題はスカウトをした後です。


決まった昔ながらのルーティンで売れると思い込んでいます。
出版社が決まった部数を刷ります。
それを「取次」と呼ばれる「出版取次会社」が全国の本屋さんに配本します。
書店は配本された本を決まったやり方で売るだけです。
ここで問題なのは「書店の意向」は完全に無視されているということです。


なので書店が「売りたい本」ではなく、回ってきた本を機械的に売るしかないので。
多くの書店は「ただのレジ係」です。

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