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My Mythology ~新話de神話~

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2021年4月の記事一覧

『玉と石の神話15』
金剛は答えなかった。だが、琥珀の眼差しには確信の色が浮かんでいる。
「…旅の途中、気になることを聞いた」
試すかのような物言いに、金剛の片眉が僅かに反応した。誰かが見ていたとしても気づかぬ程度だったが、琥珀は見逃さなかった。
「火流の日が近づいていると…」

『玉と石の神話14』
他の者たちを解散させ、金剛は琥珀を伴ってバルコニーに移動した。月明かりの下で向き合う。
「トパーズを置いて来て良かったのか?あやつは……」
「本心を訊きたかったのでな」
金剛の片眉が僅かに反応を見せる。
「何の事だ?」
「とぼけるな。お前、己を囮にしたな?」

『玉と石の神話13』
「やめよ、トパーズ」
琥珀は、今にも噛みつきそうな勢いのトパーズを制した。止められたことに不満の色を示したトパーズだが、さすがに諍いはまずい思ったのか素直に引く。
「金剛。少し差しで話したいのだが」
静かな琥珀の口調。
「……わかった」
金剛も静かに頷いた。

『玉と石の神話12』
険しい顔の琥珀と金剛が、一触即発の体で睨み合った。
「……知っている」
だが、金剛が絞り出した一言に、一同は息を飲み、琥珀は唇を噛んだ。
「金剛……!」
その中に、柳眉を逆立て深い黄色の瞳を燃え立たせる者がいた。
影の如く、琥珀に従っていたトパーズである。