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2024.6.2 sun 晴

昨日に続き、今日も晴れ。
夕方いつものように徒歩にて出勤する。
真夏までの楽しみだ。

昨日の夕方、袋湾に支流から泥を含んだ水が注ぎ、その境に模様を描いていた。雨上がりの球磨川で支流の球磨川特有の球磨川グリーンと勝手によってでいるが、球磨川グリーンの水が注ぐ。なんとも言えない光景なのだが、それを思い出した。
と言っても、球磨川とは逆だし、綺麗なエメラルドグリーンとは比較にならない元々の湾の色なのだけども。

今日の夕方も同じように濁った水が注ぐ。雨が降ったわけでもないのになぜだろうかと考えた。
そのまま歩いていたら答えがわかった。
袋湾の角っこに、冷水水源(袋の3号線のすぐ道上)から3号線を渡って、埋立地の畑の用水路を通過し、海に注ぐ出口がある。その出口から泥水が出ている。

そうだ。2〜3日前から田んぼに水を張り出した。
昨日も一つ目の水が入ったら次の田んぼに水を引き、と少しずつ水が染み渡る田んぼを横目に通勤した。
今日はもういくつかの水が張り終わった田んぼで代掻きが始まっているようだ。

私はこの時期、満月の夜に散歩をするのが大好きだ。
月明かりで影踏みを楽しみながら見渡すと、明かりで田んぼに山が反射する。
道路や地面は暗がりで山に同化する。
そうすると一面が海のように見える。

ここはかつては海だった。
袋湾は今よりずっと広くて、魚の休憩所でもあり、豊漁の海だったそうだ。
今は夕まずめに歩いても跳ねる魚も見かけなくなってきた。少し前までは夜歩けば電灯の近くをボラかイワシの群れが、ボゴボゴボゴーと次々に顔を出し、その光景を初めてみた時に驚きよりも感動したものだ。
そんな光景も出会うことがなくなった。

でも満月の夜だけは、記録の中に文字だけで残るかつての海をみているような錯覚が起きる。その光景が大好きだ。
8年前に比べると田植えをする田んぼも減り、まばらに残る畑で少しその光景からは遠のいた。それでもその景色にでくわせた時はすこぶる幸せになる。
ちなみに今日は新月で歩道の境すら見えない闇夜だった。

出勤すると、大抵いつもの面々が来客する。
顔馴染みの人はそのままレジに直進し、一言。
「タバコ」
という。覚えているから聞きもしない。
似たような人も少なくないし、皆は覚えれないから種類をきれば時々、激怒されるが知ったことじゃない…と思ってしまう。

今日も出勤して一時した頃、馴染みのおじちゃんが
「たばこちょうだい」とニコニコとしていう。
ずっと知っている人だけど、最近ようやく会話をするようになった。
その人だけではなく、そんな人が数人いる。

こちらもすかさず「はい、待ってました!」と返す。
おじちゃんはいつもとは違い、農作業の格好で、シャツの袖もズボンも泥だらけだ。代掻きの後だと一目でわかった。
「代掻きですか?お疲れさんです!」と声をかけると、
一仕事終えた後のなんとも言えない気持ちよさそうな顔で、
「粗代掻き(あらじろかき)したつばい!」
という。初めて聞いた言葉のような気がして
「あらしろかき?」と聞き返した。
そうしたら、
「そうたい、こっからもいっかい代掻きすっとピシャーと綺麗になっと」
と少し自慢げにいう。

畑仕事も人それぞれの哲学がある。
「あん人はこがんしよったばってん、あっじゃどうし…こがんすっともちっとよかろて」
と愚痴も混じえながら、色々試してたどり着いたり、家に伝わったりしている、独自の方法を自慢げに話す。この自慢話がとても好きだ。
人が寄るときも、試した内容や結果を話しながら、じゃあ今度は…という具合に試作し続けている。
梅干しや漬物の塩の塩梅を言い合う場が黒岩でも好きだった。

今日は、昼からあまんどのいつもの窓辺で少しゆっくりメモ作業をする。
あまんどでいつも注文するのは、ウィンナーコーヒーのホットか、口がさっぱりしたものがいい時はアメリカンコーヒー。お腹が減ったらそれにホットサンドを注文する。
他にも注文したことはあるが、大体そのどれかだ。大抵よく行く店では同じものしか注文しない。
ゆっくりしていたらお裾分けで…というビナを少しいただいた。
そのビナをくれた人は、塩水でゆがいて、貝の身が少し出て仕上がり、おいしいのだという。確かに美味しかった。

引っ越す前、まだ朝、昼、晩と5つくらいバイトをしていた。
うまいぐらいに曜日や時間をずらして調整するのだけど、夜中仕事が終わってそのまま朝方から水俣で取材、戻ってそのままバイト、なんて動き方をしていた。20代だからできたことだ。
そんな時、早朝撮影し、温泉に浸かり、あまんどへよって休憩した。
疲れてうとうとしていたからだろう、店の女将さんが、
「もうちょっと休んどってよかとよ」とレジで声をかけてくれた。
その時以来、私はここの窓辺でメモ作業や本を読んでいる時間が唯一ゆっくりできる、気が休まる場所だ。

その後、商店街へ行く。
週末の方が人が少ない、と聞いていたので数件訪ねたが、人通りも少ないが店主も休んで子供世代の人が店番をしていた。
少し歩いて後にした。

明日(もう今日だけど)湯の児で1箇所撮りたい場所がある。5時12分が日の出。
眠ったら最後、起きれる気はしない。
朝は山手から日が上るので、山を登って日が顔を出すのは割と遅い。
顔を出す前、と言っても明るくなり出すキワの時間を狙いたく、そのまま湯の児の駐車場で待機することにした。
新月の夜は暗い
旅館街がある中心の駐車場で一時休憩をする。

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