三回転職して色々あったこと　その4

「会社のためだから」「仕事のためだから」これらの言葉は道徳心とか良識とかを鈍らせてくれる有り難い麻薬だ。

仕事をしない奴、仕事はするが何も考えずに赤字だけを作り続ける奴、そんな奴らが自分は許せなかった。彼らにご退場いただくために相方の営業と大鉈を振るった。
邪魔者達を追い出し業務体制を一新した自分たちは会社の中心として仕事に邁進した。その甲斐あってか問題の赤字は収縮し健全な状態に戻りつつあった。

しかしそれ以上には良くはならなかった。

理由は単純に頑張っていたのが自分と相方の営業だけだったからだ。会社を成長させていくには一部の人が頑張るだけではどうにもならない。
皆が頑張ろうと思える環境、あるいはヴィジョンを自分達は示すことができなかった。只々正しく業務を遂行する、正しいあり方だけしか示せていなかったのだ。

その事にようやく気づいたのは会社を辞めることになったときだった。
悲しいかな当時の自分はそれに気づけないままただガムシャラに働き続けた、辞める切っけかとなった出来事が起こるまでは。