口コミサイトは誰を喰って存在しているのか

楽天も食べログもクックパッドもアットコスメも、巨大になるほど「破壊」の側面が強くなる。かつてはよく見たアットコスメも、もうみないもんね。口コミが集積しすぎると情報の価値が値崩れするのはなぜなんだろう。
田舎にいて実際のものに触れる機会がなくて、お金もなくて家からも出られなくて、という時に、情報というものは集められるだけ集めたいと切に願っていた。
でも東京に来て、実際に触れたり体験できたりその場に行けるようになると、口コミ情報はそんなに必要じゃなくなった。
自分の知らない世界の情報が欲しいから、みんなあれこれ調べる。それが、集まりすぎて、「いったこともないのに行ったような」「食べたこともないのに食べたような」気分になってしまったりして。
あるいはその情報が正しいのかを検証することがレジャーになってしまったりして。

そんでもって、これらの口コミ系のプラットフォームって、最終的に誰をくいものにして成長・維持しているのか、それをつくっている人たちは明確に理解してそこにかかわっているのかどうか。

人の心って、集積すると、形が変わる。
集団心理とかいう言葉でそのメカニズムは説明されるけど、ほかにも愛国心とか、様々なものが「人の心の集積」で作り上げられる。

口コミサイトは、気が付くと、そんな「集積」になってしまっているのかもしれない。
そして、誰を、なにをくっているのか。
食った分、何かを生み出しているのか。
もう個人の感想なんかじゃない。モンスターだ。
運営側はそんなモンスターを飼っているという自覚はあるのだろうか。

金はまわしていかなきゃいけないし、組織やサービスも維持する必要があるかもしれない。
でも、「食べログにつぶされた店」や「楽天破産」があっていいのか。
クックバッドで危険な食中毒リスクのあるレシピが「簡単!」といってもてはやされていいのか。
アットコスメは・・・、化粧品って薬事法に守られた狭い世界だから、一般の被害って少ないのかもしれないけど。

風評被害は常に口コミサイトの暗い側面でもある。

それでも!
それでも、ド田舎の小さなつぶれた家から出発した私は、やっぱりインターネットを愛している。
それがあったから、どれだけ狭い場所にいても、誰に会うこともなくても、商売のチャンスが生まれたから。
そして商売になったから。
そこにたどりつくまで、とても長い道をとぼとぼと歩き続けて、何度もチャンスを見逃して、結果が出ない日にちのほうがずっとずっと長かったけど。

その先、どうするか、という新しい場所に来ている。

大体の人は、プラットフォーム側に回る。儲かるし。楽だし。搾取するほうがいいに決まっている。セミナーやら講師やらが乱立するのはそのせい。
だけどやっぱり、また、ゼロからのチャンスがあるのだから、名もなきプレイヤーとして戦いたい。

たぶん、それが搾取された側に少しだけいた人間としての、わたしの矜持というか。

あの家でやせ細って幻聴きいて目がみえなくなって、灯油まかれそうになって、ずっと父を殺して死体遺棄する方法を考え続けて、死んでしまった私の心の一部を供養するための唯一の方法というか。

プラットフォームをつくる、新しいメディアを、イノベーションをどうのこうのと息巻いている人たちに、お願いができるなら。
あなたが立派になった時に、踏みつぶした人の数が、少しでも少ない事を願ってる。全員にとって理想的なものは存在しないけれど、そしてエッジのない存在なんてつまらないのだけれど、それでも、なるべく傷つく人が少ない事を目指してほしい。

わたしはプラットフォーム側に回らず、名もなきプレーヤーで、勝ち進みたい。

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