老舗中小企業のホームページこそポップアート

老舗の中小企業のホームページほど面白いものはない。
ウェブサイトじゃなくて、ホームページといいたい。

私の愛するページを見てほしい。いいから見てほしい。
おしゃれとか、見やすいとか、そんな事どうでもいいことなんだよ。
そうじゃないんだ、そこにある不器用さ、自尊心、社会の(主にインターネットの)流れに追いつきたいけどイマイチ食い込めていない立ち位置。
うかつに代理店入れた感じ。撮影だけは走っている感じ。

全部がいい!

玉露園

昆布茶の玉露園です。
なにがいいのかというと、このこんぶ茶100年の歴史です。

昆布茶というと、喫茶室ルノアール(首都圏中心の老舗喫茶店チェーン)を思い出す。
学生の頃、コーヒー一杯で長居していると、昆布茶が運ばれてきた。長っ尻の客に昆布茶を出してくれるのが、 貧乏学生にはただただ、嬉しかった。もう20年ほども昔のことだが、なぜかこの昆布茶の味が忘れられないでいる。

いきなりルノアールから始まる。
そしてこんぶ茶の開発秘話、創業社長の大胆な人柄、そういうものが展開して、最後の締めがまたしてもルノアールである。

冒頭に書いたルノアールに行ってみた。営業マン御用達のレトロな喫茶店は、20年前とほとんど変わらぬ姿で同じ場所にあった。 メニューに昆布茶を見つけ、注文する。出された昆布茶が玉露園のものかどうかは分からない。でも、その一杯は想像していた以上に美味しかった。

もはや玉露園じゃなくて喫茶室ルノアール。しかも玉露園HPに掲載しておきながらどこのもかは定かではないという!あいまいな態度!それを掲載する懐の深さ!

あと、過剰なレシピ集は食品系企業の十八番だけど、意外にも玉露園は薄い。
いや、数は多い。多いけど、アレンジは結構普通なのです。これは!という魔改造が少なすぎるのがちょっとだけ不満。
食品系の自社製品の過剰なアレンジは次に譲ります。

揖保乃糸

そうめん界のロールスロイス揖保乃糸。
美味しいですよねー。美味しい。美味しいんだけど、ホームページでは凄まじいアレンジ、魔改造という言葉では追いつかない公式のアレンジが繰り広げられている。

なぜか甘い系
リンゴソースさわやかデザート
わらびもち風そうめん

どうしてそこに入れようと思ったのかな
シーザーサラダ
ツナそうめん寒天流し

クラムチャウダーにもいれるんだー…へえー…

自社製品がありまくるので、方向性がおかしくなる。

でもですね、これリニューアルしてるんですよ!前のほうがちょっと狂った感じでしたよ。プティカナッペ、どこいっちゃったんだろう。プティって書いてあったんだよ。
あと、どれもしっかり撮影されていてすごい。

そうめんにあった薬味というページもすごいです。なにせ、一番最初に出てくるのがめんつゆ(ストレートタイプ)です。

「えっ、私たち……付き合ってたんじゃなかったの…?」という激しい戸惑い。正妻であると思っていためんつがまさかの薬味のひとつという宣告。あくまで麺が主役の揖保乃糸。揺るがぬ。
お家のために踏みにじられる女たちという大河ドラマみたいな展開です。
まさかの豆板醤が、意外にも最後に義理を通して窮地を救ってくれるみたいな展開を希望しながら眺めてしまいます。

あくまでアグレッシブにそうめんを攻めていく揖保乃糸だけれど、それに負けないのが、次。

ガーナチョコレート

中小企業ではないけれど、自社製品があり過ぎて方向性がおかしくなるという極めて重要な示唆を与えてくれるのがこちらのサイト。

カンタン手作りチョコレシピ

ここが凄いのは、オーブンがなくても、はかりがなくてもお菓子作りができるよ!と押し通している所。
お菓子作りをやってみたい小学生や中学生のためのサイトなのですね。
JKレシピ
ってなんですかね。対象の絞り込みがはっきりしているあたり電通臭さがすごいです。

チョコごはん

あくまで甘みはチョコでという強い意思が感じられる。みりんとか許せない。チョコは甘味料。

佐久間製菓&サクマ製菓

生きていればいろんなことがある。会社の分裂、戦い、買収。
それらを感じられるのが、こちら。

2つの サクマ のドロップ - 意外と知らない裏歴史(NAVERまとめ)

サクマ製菓株式会社はいちごみるくとか、レモンコリットとかの美味しいキャンディーを作ってくれますが、企業理念が「人にやさしい空気のようになりたい」。空気……?えっ…空気…?
(ちなみに以前飼っていたいちごみるく色の金魚の名前は佐久間さんである)

佐久間製菓株式会社は豊富な資料で歴史的な背景をアピール。もちろん、火垂るの墓はわが社のドロップスである!

似た感じで途方もない歴史をポップに出してくるのは、SUNTORYのカルーアですね。1960年のカルーアレディースがハートキャッチ!
ここらへんは食品における版権モノなのでなかなか興味深いものですが…。


他にもいろいろあるんですけど、今のところ私のお気に入りをまとめました。
食品系が多いですね。興味の傾向です。
特に、過剰なレシピが好きです。消費者そっちのけで大量に自社製品を使ってしまう感じがたまらない。
人間の感覚が狂っていく様子がよくわかります。ゲシュタルト崩壊を外側から見ている感じ。

あと、よくわからない社是や企業理念。
社員の皆さんは理解しているのだろうか?理解していたらそれはそれでとても怖いような気がしないでもない。

会社というのはとても狭い箱なのです。
派遣社員でいくつもの会社で働いてよくわかりました。

それが各会社のサイトを見ているととてもよくわかります。

それゆえの多様性が見て取れるというのが、最も楽しい事です。
せまい世界だからこその、異様な生態。それが見て取れる。
あと社長というか決裁権を持っている人の傾向。若くない感性がよくわかる。若さがいいわけではないので、その感覚も多様性のひとつ。

流行を追わない、他と交わらない。
それを学ぶことができます。

カッコいいとか、おしゃれだとか、見やすいとか、いろんな方法がある。
でもそんな事どうでもいいくらいの存在感。

多様性を知るには、それを理解する事が必要だ。画一的な考えしか持てないと多様性なんか受け入れられない。
自分の価値観を、幅広くもつ。
それはとても難しい。自分と違う考えは、排除したくなるからだ。
その時に、この多様性を見る。見慣れた商品を作り出している会社の、常識からかけ離れた提案を見てみる。
当たり前だと思っているものの裏側には、これほどの歪みが集まっているのだ。それを目の当たりにすると、とても心に響く。

あっ、中小企業の社長は圧倒的に境界性人格障害が多いですよ!
あとソシオパスとかサイコパスとか言われるタイプもめっちゃ多い!

そういう背景も考えながら、各社のサイトを見ているとまたしみじみしたものがあります。

これからも中小企業のホームページウォッチングは続けていきたいと思います。

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つよく生きていきたい。

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ひとり株式会社を作ってしまって第3期目を迎えました。noteでは全然無関係なことを書いています。ひとり株主総会。2018年は本を出しました。2019年はデパート出店。いつもひっそりビジネスを作っています。
コメント (1)
日本のカバンメーカーの雄であるエースのページもなかなか…。特に「空港でスーツケースが壊れて出てきたら航空会社に請求できるから荷物受取場で確認して!そこから出るともうだめだから!という熱い思いが溢れている「旅行バッグお役立ち情報」のページも必見ですね。
http://store.ace.jp/shop/pages/travel-info.aspx
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