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Michael Nesmith「Magnetic South」(1970)

モンキーズのマイク・ネスミスの訃報に接し、多くの方はモンキーズのマイクは知っていても、彼のソロ作品の存在まではあまりご存じないと思われます。彼の素晴らしい作品を継承していくことが、ファンであった私の使命でもありますので、彼の最初のソロ作品をご紹介致します。

1969年、ピーター・トークが脱退し、既に死に体であったモンキーズは3人組としてアルバムを発表します。それが「Present」です。詳細はリンク先のこのアルバムの紹介記事をご参照頂くも、実質はマイクが音楽的なイニシアティブを握ったもので、特にマイクが関わった楽曲は名曲に値するものでした。
モンキーズに加入した当初からオリジナル曲に拘っていたマイク、もともとカントリー色の強い楽曲を得意としていましたが、もうこの「Present」に収録されているマイクの楽曲は、明らかにモンキーズの楽曲ではありませんでした。脱退は時間の問題であり、結局マイクが多額の違約金を払う形で1970年2月に正式にモンキーズを脱退表明します。

そして恐らくアイデアを溜め込んでいたであろうマイク(ソロになってからはマイケル)はスティールギターにO.J."Red"Rhodes、ベースにJohn London、ドラムにJohn Wareを加えてファースト・ナショナル・バンドを結成。一気にアルバムを仕上げてしまいます。それが本作です。

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このファースト・ナショナル・バンドのメンバー、特にレッド・ローズは、当時のウエストコースト系、カントリーロック系のスティールギター奏者として、かなり名の知れた人物でした。相当のレコーディングに参加した人物ではないでしょうか?
またドラムのジョン・ウェアもカーラ・ボノフ等のレコーディングに参加しているミュージシャン。そこそこのメンバーが参加していたんですよね。

さてその中身ですが、これがまた実に味わい深いカントリーロックのオンパレードで痺れます^^。
まずは軽快なナンバーの①「Calico Girlfriend」。
レッド・ローズのスティールギター・ソロもかっこいいです。
この当時のカントリーロックのなかでも、カントリーとポップスをうまくミックスさせているという点で、かなりハイレベルな作りだと思うのですが、如何でしょうか?

②「Nine Times Blue」はモンキーズ時代にも収録されていたカントリーナンバー。やっぱりこの楽曲はマイクのソロでやるべき楽曲でしょう。この②から③はメドレー形式で引き継がれます。この曲の繋がり方がなかなか秀逸です。
その③「Little Red Rider」はファースト・ナショナル・バンドのファーストシングルカットナンバー。当時は全くヒットしませんでしたが(苦笑)。
①や②はロックと呼ぶにはちょっと軽めのナンバーでしたが、この③はリズムも重く、どっしりとしたカントリーロックに仕上がってます。

私がマイクのソロに興味を持ったのがモンキーズのリバイバルブームの頃で、当時私は中学生。そのソロ作品のなかでも④「The Crippled Lion」が大好きでした。邦題「ひとりぽっちのライオン」。ミディアムテンポのメロディアスなカントリーナンバーで、とても味わい深い楽曲です。当時、日本でも人気があったようで、日本独自にシングルカットされたようです。

このアルバムのなかでも一番人気の高いナンバーが⑤「Joanne」でしょう。これはセカンドシングルとして発表され、全米最高21位を記録しました。ファーストシングルがロック寄りで不発でしたから、今度は美しいバラードで、ということだったのかもしれません。

私の大好きな⑦「Mama Nantucket」。
スティールギターをフューチャーしたロックンロール。これぞゴキゲンなカントリーロックです。

⑨「Hollywood」もモンキーズ時代に演奏していました。
これもマイクらしい1曲。曲に強弱の変化をつけるところなんかは、マイクのアレンジらしい。

このアルバムに収められた11曲は、間違いなく当時の最先端のカントリーロックだったと思います。この後マイクは2枚のアルバムを発表して、バンドは解散。以降はソロアーチストとしてアルバムを発表していきます。

モンキーズが再結成された当時、マイクはそれらに一線を引いていたような気がしますが、近年は率先して活動を牽引。ディビー、ピーターが亡くなってからはミッキーと活動しておりましたね。それら活動も含めて、多くの素晴らしい音楽を有難う!

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