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Average White Band「AWB」(1974)

GW明けから2週間、ようやく精神的にも日常モードに戻ってきました。ルーティン作業というのは大事ですね~。

さて、最近ちょくちょく聴いていたのがアヴェレイジ・ホワイト・バンド(以下AWB)の誉れ高き名盤のセカンド。過去にこの後のサード「Cut The Cake」は別ブログで紹介済ですが、ファンク&メロウ指数は本作が一番高いと感じてまして、既にこの時点でAWSサウンドが完成されていたことがよく分かります。

AWSは英国のバンドですが、本作で米国に活動の場を移します。ジェームス・ブラウンやスライ・ストーンに憧れていた彼等とすれば、ファンクの本場米国での活動は自然の流れだった筈で、名手アリフ・マーディンがプロデュースした本作は、水を得た魚のようなAWBの躍動感を感じさせます。

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全10曲、1曲を除き全てメンバーのオリジナル作品。どれも素晴らしい作品ですが、敢えてトップにご紹介するとしたら、アイズレー・ブラザーズのカバーの⑤「Work To Do」でしょうか。オリジナルを紹介しろ…とヤジられそうですが(苦笑)、こちらがあまりにもソウルフルな出来で、AWBの凄さがよく理解出来ると思います。
原曲はアイズレーの1972年発表の「Brother,Brother,Brother」に収録されていたもの。アラン・ゴリー(Vo,B)とヘイミッシュ・スチュアート(Vo,G)のソウルフルなツイン・ヴォーカルが素晴らしい。本作ではドラムはロビー・マッキントッシュが叩いてますが、動画ではスティーヴ・フェローンがファンキーなドラムを披露しております。ロビーも実にタイトに叩くドラマーでしたが、彼は本作発表の翌月、パーティにおいてヘロインの過剰摂取で亡くなります。ちなみに同じ場でアランも過剰摂取したものの、同席していたシェールに介抱され、無事であったとのこと。この危機にスティーヴが後釜に座り、動画の通り、AWBの持ち味は維持されていきました。

ロジャー・ボール(Key,Sax)とアラン、ヘイミッシュ共作の①「You Got It」がオープニングナンバーです。
軽快なソウルナンバーですね。タワー・オブ・パワーを彷彿させる豪快なホーンも魅力的。本アルバムのホーン・アレンジはすべてロジャーが手掛けてますが、ランディ・ブレッカーやマイケル・ブレッカーも参加しております。

皆さん、ご存じの強烈なインストナンバーの③「Pick Up The Pieces」。バンド全員の共作。
AWBを知らなくても、この曲なら知っているという方も多いことでしょう。私的にはキャンディ・ダルファーのバージョンが印象深いんですが。
ファンク・ナンバーの極みですね。これに対して、ジェームス・ブラウンは翌年「Pick Up The Pieces One By One」というアンサー・ソングをA.A.B.B(Above Average Black Band)名義で発表してます。バンド名も洒落てますね。JBも称賛した「Pick Up The Pieces」、凄い曲です。メンバーもこの洒落たJBの対応に狂喜したことでしょう。

ロジャー、アラン、ヘイミッシュの共作の⑥「Nothing You Can Do」はスィート・ソウルですね。
ファンキーなAWBもいいんですが、こうしたメロウなスィート・ソウルも魅力的。音源だけ聴いていたら、黒人バンドが演奏しているって思っちゃいますね。

アラン単独作の⑧「Keepin' It To Myself」を聴いて、おやっ?っと思われた方はなかなかのAOR通です。
私はサビでようやく思い出しましたが、この曲、デヴィッド・フォスターの初プロデュース作品として有名なJ.P.モーガンの「Jaye P.Morgan」に収録されていたナンバーです。こうしたソウルナンバーは、アレンジを変えればAORに転じるということですね。
J.P.モーガンの作品は1976年ですので、このご縁でフォスターはAWBの1980年発表の「Shine」をプロデュースするに至ったのかもしれませんね。

ソウルフルなヴォーカルって、本来もう少し太い声であって然るべきで、その点AWSの2人の声は頼りないところもあったりしますが、うまくファルセットを駆使して、見事に黒人ソウルっぽく聴こえますね。
AWSはオリジナル・メンバーはアランとオニー・マッキンタイア(G)のみとなってしまいましたが、まだ現役で活動されております。

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