見出し画像

Jimi Hendrix 「Band Of Gypsys」(1970)

さてさて、今回は皆大好きなジミヘンです。
ジミ・ヘンドリックスが生前、1967年から1970年までに公式に残したアルバムは僅か4枚のみ。そして今回ご紹介する「Band Of Gypsys」がその最後のアルバムです。
私はこのアルバムタイトルから、てっきりスタジオ録音のアルバムかと思っていたのですが、実はライヴアルバムだったんですね。つい最近、ようやく本作を聴くに至った訳ですが、ライヴアルバムとはいえ、全曲が新曲であり、新生ジミヘンのサウンドでした。とてもカッコいい、素晴らしい内容です。

ジミはデビュー当時からエクスペリエンスというスリーピースバンド形態で活動してましたが、3枚目の「Electric Ladyland」制作途上から、次に向けた脱却を志向しておりました。実際このアルバムには、バンド・オブ・ジプシーズに参加することになるドラムのバディ・マイルズも参加していましたし。
「Electric Ladyland」発表後も様々なアーチストとのセッションを繰り返し、レコーディングを繰り返すも、なかなか新作が発表されない…、そんな毎日に業を煮やしたベースのノエル・レディングは1969年6月、英国に帰ってしまいます。そうしてエクスペリエンスは正式に解散。その後、ベースは旧友のビリー・コックス、ドラムはバディ・マイルスをメンバーにバンド・オブ・ジプシーズが結成されるに至ります。

画像1

この当時のジミはビジネス的には苦境に追い込まれており、契約上、1969年12月31日までにアルバム1枚分の録音物をキャピタルレコードに納めなければならない状況だったにも関わらず、その新作に相当するアルバムが全く作れておらず、最終的には苦肉の策で、1969年12月31日・1970年1月1日にフィルモア・イーストで行われるライヴを録音して、それをアルバムとして納めることで急場を凌いだのでした。それがまさに本作。

そんな経緯なので、内容もあまり芳しくないものと思いきや、これがまた実にファンキーで、クリエイティブなジミの演奏・楽曲が堪能出来るのです。
フィルモアのステージは2日・計4回。本作収録は以下の通り、過去3枚のアルバムには未収録の新曲6曲。A面2曲が2日目のファーストステージ。B面4曲が2日目のセカンドステージとなっております。

A面
①「Who Knows」
②「Machine Gun」

B面
③「Changes」
④「Power Of Love」
⑤「Message Of Love」
⑥「We Gotta Live Together」

本作中、白眉はやはり12分以上に及ぶ②「Machine Gun」でしょう。ジミの縦横無尽に繰り広げられるギターが壮絶。ベトナム戦争で戦っている兵士に捧げる歌でもあります。リフをギターのみならず、ベースとドラムでアタックするハードなナンバー。当時流行したサイケ感覚満載。たった3人での強烈なプレイです。後半、バディとビリーのコーラスもGoodです。そのコーラスをバックにジミがギターを弾きまくってます。素晴らしい!
(アップした動画はバンド・オブ・ジプシーズじゃないみたいですが)

③「Changes」と⑥「We Gotta Live Together」はバディ・マイルスの楽曲。リードヴォーカルもバディなので、根っからジミ・ファンからすると評価が低いかも。確かにバディがフューチャーされ過ぎてますしね(笑)。でもこの2曲、後のファンク・ブームを彷彿させるナンバーで、実にグルーヴィーなのです。③「Change」をアップしておきます。バンド・オブ・ジプシーズってジミのバンドなんですが、ジミは、よりバンドとしての形態を強固にさせたかったのかもしれません。

④「Power Of Soul」はジミのオリジナル作品。強烈なリフです。ジミの力強いリフと、タイトなリズム隊が実にファンキー。それにしてもジミのギター、次から次へとクリエイティブなメロディが湧き上がってくる感じですね。

その後、このフィルモアのライヴ音源は様々な形で発表されていきます。
それにしてももしジミが生き続けていたら、70年代のハードロック、ソウルは、違った展開をしていたかもしれません。このライヴで聴かれるサウンドは、ハードロックとソウル、ファンクを融合したようなユニークなサウンドであり、それは次の時代の音だったと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?