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Stills & Collins「Everybody Knows 」(2017)

スティーヴン・スティルスジュディ・コリンズが60年代後半に恋仲の関係にあったことは有名な話ですね。スティーヴンなんかは「Suite: Judy Blue Eyes」という名曲を書いてますしね。そんなお二人が50年の歳月を経て、2017年にひっそりとこんな素敵なアルバムを発表しておりました。
正直、リアルタイムには全く本作のことは認識しておりませんでした…(苦笑)。本作はクラウドファンディングで資金調達し、インディーズレーベルから発表されたものなので、それほどのアナウンスもなかったのかもしれません。

それにしてもこのお二人の関係、もはやジェームス・テイラーとキャロル・キングのような、戦友みたいな関係なんでしょうね。

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スティーヴンとジュディ、それにベース、ピアノ、ドラムにパーマメント・メンバーを入れたシンプルな編成。他に豪華なミュージシャンに参加いただいたものではなく、本当に二人だけの世界を紡ぎたかった、ゆえに大手レーベルではなく、インディレーベルからの「ひっそりとした」発表だったのかもしれません。
ちなみに下の写真は当時の宣伝フォト。スティーヴン、照れてる(笑)。尻に敷かれているのか…、でもなんか微笑ましいフォトですね。

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収録曲は以下の通り全10曲。
1. "Handle With Care" ~ トラヴェリング・ウェルベリーズのカバー
2. "So Begins The Task" ~ スティルス「Manassas」(1972)
3. "River Of Gold" ~ コリンズの新曲
4. "Judy" ~ スティルス「Just Roll Tape(1968年のデモ集)」(2007)
5. "Everybody Knows" ~ レナード・コーエンのカバー
6. "Houses" ~ コリンズ「Judith」(1975)
7. "Reason To Believe" ~ ティム・ハーディンのカバー
8. "Girl From The North Country" ~ ボブ・ディランのカバー
9. "Who Knows Where The Time Goes" ~ サンディ・デニーのカバー
10. "Questions" ~ スティルス「Last Time Around」(1968)

本作はジュディの美しいヴォーカルと二人のハーモニー、そしてスティーヴンのギターを楽しむアルバムです。また皆さん、ご想像の通り、本作には派手さは全くありません。だから余計に1曲目のジョージ・ハリスンが結成したトラヴェリング・ウィルベリーズのヒット曲のカバーである①「Handle With Care」にはビックリ。地味な本作ではちょっと浮いちゃっているカバーですが、スティーヴン、ひょっとしたら合流したかったのでしょうかね(笑)。
本作は驚くほどYouTubeに音源がアップされてません。それだけ世間一般に認知されていないんですかね。アップしたのは当時のライブ模様。ちょっと見づらいシーンはありますが、二人が楽しそうに演奏していることはよく分かります。

サンディ・デニーが在籍していたフェアポート・コンヴェンションのカバーの⑨「Who Knows Where The Time Goes」。
この曲はジュディが1968年に発表したアルバム「Who Knows Where The Time Goes」にも収録されてます。そして実はこの曲こそ、スティーヴンが正式にジュディと一緒にレコ―ディングした楽曲なんですね。二人の思い出の曲といったところでしょうか。こちらもライブ映像をアップしました。映像は荒いですが、音はクリアです。ジュディの澄んだ声が美しい。スティーヴンは後段から渋いギターを披露します。

そしてスティーヴンは、ジュディと「Who Knows Where The Time Goes」を収録した後、そのままスタジオに残り、④「Judy」のデモを収録しました。
この時の音源は一時、行方不明になったのですが、2007年に他のデモ曲と一緒に発表されるに至ります。本作のバージョンは骨太なロックにアレンジされてます。サビでの二人のハーモニーが素晴らしい。

アルバム・タイトル・トラックでもある⑤「Everybody Knows」はレナード・コーエンの作品。
ジュディが好んで歌っていた曲とのこと。イントロ、間奏、エンディングのスティーヴンのギターソロがなかなか渋い。どこかエリック・クラプトンを連想させるものがありますね。そしてこの曲は二人のハーモニーが聴き所。曲自身も渋いですね。

⑥「Houses」は1975年のジュディのアルバム「Judith」に収録されていたナンバー。
ジュディがスティーヴンとの関係を歌った曲とも云われてます。ここでは敢えてスティーヴンはジュディの歌にハーモニーを付けず、シンプルなギターでジュディに寄り添ってます。決して派手な曲ではありませんが、広がる草原の中にジュディの歌声が響き渡るような心象的な曲。心を落ち着けたいときにじっくり聴きたい1曲。

個人的には本作のハイライトじゃないかなと思っている⑩「Questions」。
言わずと知れたバッファロー・スプリングフィールド時代のスティーヴンの楽曲。アレンジを変えても、如何にもバッファロー~CSN&Y時代の楽曲っぽい。スティーヴンのギターって味がありますね~。

やっぱり最後は「Suite Judy Blue Eyes」ですね~。CSNのライブに、なんとジョニ・ミッチェルが途中から加わってくるという貴重な映像がありましたので、そちらをアップしておきます。イントロのギターをパーカッションに見立てたスティーヴンのプレイも見どころ。ジョニは3分20秒辺りから登場!一番右のギタリストは誰だろう?



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