見出し画像

Antonio Carlos Jobim「Tide」(1970)

Jobim Meets Deodato !

通勤時間が長かった頃、車中のBGMにはボサノバを好んで聴いていた時期があります(ちなみにネット放送局を自由に聴ける現在は、SmoothJazz.com.pl Radioを好んで聴いております)。
その時の愛聴盤はアントニオ・カルロス・ジョビン。特に彼の4枚目の「Wave」と6枚目の本作はよく聴きました。

アントニオ・カルロス・ジョビンについては何の説明も要らないでしょう。ボサノバの音楽の立役者であり、ボサノバの名曲の殆どは彼が作曲したものです。1967年発表の彼の「Wave」は、ボサノバとイージーリスニングが融合した歴史的名盤で、素晴らしいアルバムですね。

画像1

「Wave」の第二弾として、アレンジャーにDeodatoを招き制作されたのが本作。Deodatoは当時新進気鋭のアレンジャーとして売れっ子となっており、本作に携わった後、1972年にはクラシックの名曲であるシュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」を大胆にアレンジした作品を含む「Prelude」が大ヒットを記録します。
そのDeodatoが、ボサノバを最高のアレンジで料理したのが本作なのです。

本作中、ハイライトはやはりボサノバの名曲①「The Girl from Ipanema」でしょうね。数多くのアーチストがカバーしております。もちろんジョビンも自身でヴォーカル入りのものを録音しておりますが、ここではデオダードが華麗なアレンジを施しており、その穏やかな佇まいは、ただうっとりするばかりです。こうしたインストは昼下がりに聴くと、自然とまどろんできますね。名手Ron Carterのベースが冴え渡っています。

③「Tema Jazz」や⑤「Remember」のような軽快なサンバリズムも心地いいですね。

本作が「Wave」の第二弾と呼ばれている所以は、実は⑥「Tide」にあります。この「Tide」、「Wave」のコード進行と同じなんですよね。もちろん意図的なものだと思われます。こちらの楽曲も素晴らしい仕上がりですね。

Jobim Meets Deodato !
悪い筈がありませんね。当時、最高に暑苦しい通勤時に、私はジョビンで贅沢な至福の時間を過ごしておりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?