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リモート会議ばかりなのでバーチャル美少女を受肉して参加した話

これは、Mobility Technologies Advent Calendar 2020 の8日目の記事です。

1日目~神は天と地をつくられた~

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皆さまお待たせしました、メリークリスマスでございます。株式会社Mobility Technologiesで、GOアプリや自動運転タクシーのプロダクトマネージャーをさせて頂いている、うっちーこと内田優雨でございます。

みなさんは「バ美肉」が何の略だかご存知ですよね?キラキラしたネットの世界にいる皆様には大したことなんかないクイズで恐縮ですが、読んで字のごとく『バーチャル美少女(セルフ)受肉』のことでございます。

つまり、ネットでお話をするさいに、美少女的なアバターにリアルタイムの口パクや仕草を付加し、時には人格も乗っ取ることで、聞き手の先入観をすっ飛ばし、話の内容だけで勝負を挑むような夢の技術のことでございます。

しかし見た目や声はどんなに可愛くても、高い確率で中身はおっさん(本人談)であるため、聞き手の皆様は間違っても感情移入などしないよう、節度あるリテラシーと用法用量を守って正しくお楽しみ頂きたく存じます。

2日目~神は空をつくられた~

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ふり返るといつも修士論文は笑ってくれるほど真白で、風にさらわれてましたが、ircや某ちゃんねるのオフ、ネトラジ、ニコ生、ロフトプラスワンと、THEアングラな世界で男達を集め話をし好奇心を満たし続けておりました。

これは完全に余談ですが、そんな若気の至りが祟って、エゴサーチをすると今だに週刊新潮やニューズウィークの写真が出て来たり、珍百景で放映された時の動画が出て来たりして、ほんとタヒにたくなる人生でございます。

そのような不届者で半端者で荒くれ者でふつつか者ではございますが、とある時期に、Robot Shuttleという舶来品の自動運転小型バスを使ったサービスのプロダクトマネージャーに異世界転成した頃のことでございます。

ふとモビリティでのサービスを機能分解してみたら、目的地まで的確に乗車させる案内員と、目的地まで安全に運行する運転手と、目的地まで快適に過ごさせる車掌とで、役割を分担していることに気がついてしまいました。

3日目~神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせられた~

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技術の進展とともに案内員は自動券売機や路線検索に、車掌は自動音声や監視カメラに置換わる一方、難易度の高い運転手は残ってましたが、ついに自動運転の時代が到来するとサービス空間が完全に無人化してしまいます。

その際、運転手や案内員が提供する確実性や安全性と違って、ユーザーの感覚や状況によって最適解が異なるがゆえに、多様かつ即時対応が求められる快適性こそが、無人サービスには最も必要とされる存在になるはずです。

そこで自動運転時代が訪れるにあたり、無人となるサービス空間に対し、ITを用いて適正に「いつでも」「どこでも」「だれでも」リモート使役可能なリアルタイム車掌サービスを提供する方法はないかと模索し始めました。

このなかの「だれでも」の部分、つまり、ネット経由で性別や年齢や外見を超越する提供手段として、アバターでリアルタイム対応が可能なバ美肉を思い出し、眠っていた私の好奇心が開花することになったのでございます。

4日目~神は太陽と月と星をつくられた~

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しかし、人生とサービス開発と埋蔵金発掘はほぼうまく行かないことが大半でして、お熱になったアイデア達もプロジェクトの後退を機に、基礎技術すら試すことなく頭の隅もんに忘れ去られた、ある日のことでございます。

いつだったか、THE ALFEEは星空のディスタンスという名曲を奏でてましたが、今年になって会社も世の中もザワザワしてきた頃を境に、いつのまにか、世の中はソーシャルディスタンスを垣間見るようになってしまいました。

すると会議という会議はすべてリモート開催となり、生活感を隠すためにバーチャル背景を映し、髪型や服装を気をまわすこともなくなり、挙げ句の果てに、顔をジャガイモやキュウリに変えて参加する日常が訪れました。

しかし人間というのは不思議なもので、こんな時だからこそ、発言の内容だけでなく画面越しの相手に対して人間味を求めてしまうものでございます。ようは、受菜ではなく受肉を欲していたことに気づきいてしまったのです。

5日目~神は魚と鳥をつくられた~

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それまでバ美肉は「自分自身を美少女に変えたおじさん達が寄り集まってワイワイ配信している地獄のようなコンテンツ」と称されてましたが、世の中的に「ふーん、受肉OKじゃん」の雰囲気を感じ(当社比)、内田 動きます。

早速放課後に調べてみますと、3Dモデルを動かすこと、動かす画面を乗っ取ること、声を変えることの3点。あと3Dモデルを作る時間が無い時はフリー素材を入手することも入れると、全部で4点が必要だと辿り着きました。

私はWindowsを使っていたため、3Dモデルを動かすのは3tene(みてね)というフリーのVTuberアプリケーションを使い、OBS Studioで3teneの画面をリアルタイムキャプチャをしてZOOMに繋げることにいたしました。

一方、声を変えるのは恋声でマイクの音声を変換することとし、キャラクターはフリー展開されているキャラクターを使い、こんなライトな構成で、お付き合いのお試し期間が始まりました。もちろん業務時間外にです。

6日目~神は獣と家畜をつくり、神に似せた人をつくられた~

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映像系は、PCのWebカメラ(モーションとるのために自分の顔を撮る) -> 3tene(キャラクターの動きにする) -> OBS Studio(3teneをキャプチャして映像出力にする) -> ZOOM(OBSからの映像を疑似カメラとして選択)です。

まずは、DeNAで社畜同僚だったハッカドール1号さん等、フリー展開されている3DモデルをVRM形式にして3teneに読み込ませ、パソコンのWebカメラと接続して、自分の首の向きや角度、まばたき、口の動きを同期させます。

また、キーボードのボタンを割り当ててポーズや表情の変化を出来るように設定することで、笑顔や困り顔、拍手やお手振り、IT業界では最も重要なろくろ等をバシバシ切り替えながら話すことでリアリティーを出します。

音声系は、PCのマイク(自分のしゃべり声を取る) -> 恋声(キャラクターの声に変換する) -> SYNCROOM(付属のドライバで音声出力にする) -> ZOOM (SYNCROOMからのライン出力を疑似マイクとして選択)の構成です。

7日目~神はお休みになった~

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無事に結合テストできたので、根回しは全方無視で考え、全社会議に向いて走れです。乱入直後に弊社会長からいじられ、Slackでは2、3日すごく赤い字の「かわいい」ってスタンプをもらえて、おじさんはとても満足しました。

それが終わりの合図です。程なくして…





「沼のほとり編」 おしまい。


※このアバター(ミライ小町)は株式会社バンダイナムコ研究所様が技術研究のための利用を許諾しているキャラクターです。この場を借りて感謝申し上げます。

明日のMobility Technologies Advent Calendar 2020は、 きのぽんsanによる、「我が家のワークインリビングの最適解家具を考えた話」です。
お楽しみに!!


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