私のなりたい作詞家像

私がなりたい作詞家像 | GO AHEAD -僕の描く夢- 第206回

 こんばんは、坂岡 ユウです。

 世には、スクリプトドクターという仕事があります。
 彼らの仕事は、映画やテレビドラマの脚本を修正したり、物語の完成度を高めたりすること。どちらかといえば裏方としての特色が強いため、作品自体にクレジットされることは少ないです。
 
 そのため知名度は低く、私も三宅隆太さんの著書「スクリプトドクターの脚本教室・中級篇」でこの仕事を初めて知りました。この本、本当に良い脚本指南書なので、よかったら読んでほしいです。

 令和になった今、音楽にもこの「スクリプトドクター」のような存在が必要なのかもしれません。「作詞家」という職業が成立しづらくなったからこそ、言葉のスペシャリスト、心のエキスパートとしての作詞家が求められているんだと、私は考えてみました。

 現在の音楽シーンでは、シンガーソングライターたちが一大勢力を誇っています。かつては職業作家と呼ばれる専業の作詞家たちがワード面のイニシアチブを握っていましたが、コライトと呼ばれる共作・競作も浸透し、彼らのような“言葉の魔法使い”たちは少しずつ活躍の場を失いつつあるのが現状です。

 しかし、言葉で悩んでいるミュージシャンは多く、時に涙を流したり、怒ったりしながらも、自分なりに表現を続けています。

 そんな状況を顧みたとき、私が「みんなの力になれること」ってないのかなあ……って。決して上から目線ではなく、同じ目線で一緒に考えられたらなあ……って。

 ここで大切なのは、「作品単位でのコライト」を前提としていることです。単に一曲を共作ではなく、アルバム単位、活動単位で一緒に作品に向き合っていくべきかもしれない。

 もうコンセプトアルバムなんて単位はなくなったけれど、その代わりにアルバム単位の物語を紡いでいけたら、音楽としての質もさらに高まっていくんじゃないか。

 アルバムを買うために必要な3000円+税があれば、いろんな場所に行けます。焼肉食べ放題だって食べられます。

 そんな幾多の選択肢の中から、自分の音楽を選んでいただく。楽しんでいただく。

 改めて考えたとき、何もかも相談できる、二人三脚で綴っていける人がいれば、そうした苦楽を共有できるときっと心強い。音楽活動における最高の仲間として存在できたら、もっともっと成長できるはずだ。

 作詞家は作品単位ではなく、ミュージシャンそのものに寄り添う時代がやってきたのかもしれません。もちろん、作品単位でのお仕事も必要ですし、それが無くなるということはないでしょう。

 友人以上、恋人未満。同僚以上、相棒未満。

 どんなお仕事も、私はこういったアプローチで挑めることが理想です。お互いに本気で向き合って、最高のものを作り上げる。そのための力になる。

 正面から、後方から、常に真摯に向き合う仲間。

 今年の七月で活動五年目。なんとなく見えていた目標が、やっと形になり始めました。

 私はこういう創作家になりたい。作詞家になりたい。

 中学一年生の夏、衝動に駆られて、私は言葉を紡ぎ始めました。これまでは自分のことばかりでした。これからは、みんなと一緒に言葉を紡いでいきたい。みんなの力になりたい。

 希望的観測ばかりになりましたが、これが私のなりたい作詞家像・創作家像です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 2020.2.3
 坂岡 ユウ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!