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ふたつの栄光 | GO AHEAD -僕の描く夢- 第392回

 こんなに興奮して、あれほど盛り上がって、最高に面白いレースは何年振りだろうか。12年前、雨のモンツァ。トロロッソのセバスチャン・ベッテルがトップチーム相手に奇跡を起こした。そして、12年後。そのモンツァの舞台で、再びトロロッソの末裔=アルファタウリが奇跡を呼び止め、勝利への翼を授かったのだ!!!!

 こんばんは、坂岡です。今回はF1の話。とにかく、興奮が醒めないうちに文字にしたかったので、めちゃくちゃテンションが上がっています。もう、お祭り気分です。やばい!!

2020年F1第8戦イタリアGP 結果
1:P.ガスリー(アルファタウリ)
2:C.サインツ(マクラーレン)
3:L.ストロール(レーシングポイント)
4:L.ノリス(マクラーレン)
5:V.ボッタス(メルセデス)
6:D.リカルド(ルノー)
7:L.ハミルトン(メルセデス)
8:E.オコン(ルノー)
9:D.クビアト(アルファタウリ)
10:S.ペレス(レーシングポイント)
11:N.ラティフィ(ウィリアムズ)
12:R.グロージャン(ハース)
13:K.ライコネン(アルファロメオ)
14:G.ラッセル(ウィリアムズ)
15:A.アルボン(レッドブル)
16:A.ジョヴィナッツィ(アルファロメオ)
DNF:M.フェルスタッペン(レッドブル)
DNF:C.ルクレール(フェラーリ)
DNF:K.マグヌッセン(ハース)
DNF:S.ベッテル(フェラーリ)

 さあ、優勝の余韻が醒めるまでに、今回のレースの「激アツポイント」をみなさんと共有していけたらと思います!!

 もしよければ、最後までお付き合いいただけると幸いです。

 それでは、早速参りましょう!!

+0.415s

 これ、なんの数字と思いますか?

 ……惜しくも優勝に届かなかったカルロス・サインツと、初優勝を掴み取ったピエール・ガスリーの差です。たった、たった、これだけの差で優勝が決まった。決め切った。

 ガスリーはF1に昇格してから、たくさんのチャンスを与えられながらも躓き、それでも諦めずにここまで頑張ってきました。レッドブル・ホンダと共に、優勝だけを目指してひたむきに走り続けてきました。スーパーフォーミュラからの昇格で日本との縁も深く、ファンにも愛されてきた男がやっと掴み取った栄光。ピエール・ガスリーの見事なまでの勝利。

 前戦では走れずに、不安の中でスタートしながらも、ギリギリまでガスリーを追い詰めてきたサインツ。

 昨年のブラジルGPでも面白いドラマを魅せてくれましたが、今回はそれ以上の極上のバトルを楽しませてくれました。最高です!!

鬼のハミルトン

 ただ、今回のレースで「やっぱすげえなあ!!」と思ったのが、ハミルトンの鬼神の如き追い上げです。とてつもない速さ。ペナルティで最後尾まで落ちていったのに気付けば入賞県内に居るなんて、普通ではちょっと考えられません。

 いつものルイスはどちらかといえば落ち着いたレース運びを魅せてくれることが多いですが、久々にあそこまで「すげえ!!」「天才だ!!」と唸るしかない彼の真骨頂を見ました。

 すっげえ……


ストロール!!

 ひっそり……彼も表彰台……

 ちょっぴり口の悪いF1ファンのみなさんやパドックの方々は「ペイドライバーだ」「おぼっちゃま」なんて言ってましたが、こういう荒れたレースになるとしっかり結果を出してくるのがランス・ストロールの素晴らしいところなのです。

 一度の表彰台ならともかく、二度目ですからね……!!

 もっともっと伸びてほしいドライバーのひとり。さらにぎゃふんと言わせてほしい。

それぞれの未来

 そして、何よりも。

 2017年末にホンダと離別し、カスタマーとして再建の道を歩み始めたマクラーレン。

 同じく、2017年末にホンダと契約し、二人三脚で戦えるパッケージへと持っていったアルファタウリ。

 この二チームが選んだ未来が、こうして形になったことがいちばん嬉しい。良い形で歯車が回っていることが本当に素晴らしいと思います。

 ホンダはマクラーレンと組んだままでは上昇しなかっただろうし、レッドブルがホンダと最初から組んでいても上手くいかなかったでしょう。まだ“おそらく”が付きますけど、ホンダの道のりはこれで良かったんですよ。これ以外の道のりは考えられなかった。

 表彰台で共に喜びを分かち合うアルファタウリとマクラーレンのドライバー・スタッフが誇らしいですし、見守ってきて良かったなあ……と心から感じています。まだ未成年だから飲めませんが、こんなにお酒が飲みたくなる夜は初めてかも。

 とにかく、これからの二チームに素敵な未来が訪れますように。マクラーレンがタイトル争いに帰ってきますように。

おわりに

 決して、いつものレースが興奮しないわけではない。モータースポーツは、ただ観ているだけでも面白い。まるで自分が運転しているかのように心拍数が跳ね上がっていく。しかしながら、波乱のあるレースはいつも以上に面白い。一分、一秒、コンマ一秒。一瞬に心を研ぎ澄まし、結果を固唾を呑んで見守る日はたまらないのだ。最高の瞬間なのだ。だから、モータースポーツは最高に面白い。だから、モータースポーツ観戦はずっとやめられない。今日はそんな面白さが凝縮されていた。そう、奇跡が起こった。下克上 — 僕らの夢が叶ったんだ。

 今の興奮をきちんとした文章に表すとこんな感じになります。

 少しでも理性的になろうかと思い、澄んだキャッチコピーを書こうと頑張ってみましたが、やっぱりダメでした。興奮の方が勝ってしまって……

 モータースポーツを観ていると、時々こんな番狂わせが起こるんですよね。いつもは強豪同士の対決でも、彼らが脱落した時に中段チームが上がってきて、最高のバトルを繰り広げてくれる。かつてのジョーダンやトロロッソもそうでしたし、WRCのマッズ・オストベルグやオット・タナクもサバイバルラリーで名を轟かせ始めました。

 こういうレースがこれからもっと増えてくれたらいいなあ……というのが本音です。でも、サプライズって、たまにあるから面白いんですよね。

 フェラーリやウィリアムズはまた上位に帰ってきてほしいですし、ハースとザウバーは心配でしょうがない。メルセデスは不運なりに頑張った。レッドブルは次に期待。ルノーは最低限の仕事をした。そして、アルファタウリとマクラーレン、レーシングポイントは最高の仕事をした。

 いろんな夢とドラマが凝縮された素晴らしいレースでした。

 おめでとう、ガスリー!
 次は必ず、サインツ!!
 最高のレースをありがとう……

 それでは、長くなりましたが、ありがとうございました!!

 【Credit】
 Photo by Alberto-g-rovi

 2020.9.7
 坂岡ユウ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!