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舞い上がりたくなる瞬間

 一位になった時。金賞を取った時。お褒めの言葉をいただいた時。

 褒められると、天にも昇る気持ちになる。褒められると、すっごく嬉しくなる。でも、その分、もっともっと頑張らなきゃなって引き締まる。

 人生で一位にいる瞬間。おそらく、それよりも遥かに敗北を味わう期間の方が長い。ひょっとしたら、一度も一位になれないなんてことも当たり前なのかもしれない。けれども、今は比較的簡単に一位になれる。一位になった高揚感を味わえる。—— ゲームの世界なら。

 自分の気持ちをきちんとコントロールする上で、こんなにありがたいことはない。バーチャル上の快感ではあるが、成果が出てくれると嬉しいものだ。最近のゲームは課金制が多いけれど、やっぱり買い切りの方が安心して打ち込めるんだ。DLCとかは別。プレイするためにゲーム内の通貨が必要とか、進めるごとに遊びづらくなるとか、そうなってしまうと何のためにゲームをやっているのかわからなくなってしまう。ちょっと古い価値観だろうけど、ゲームは精神統一をしてひたすら好きなことに全力を注ぐエンタメだと思っている。

 ……とはいっても、やっぱり現実に良い成績を獲得した時の高揚感は凄まじいもので。一人っ子で、なかなか競争を体感してこなかったからかもしれないな。もちろん一位になるのがすべてじゃないし、時には二位や五位が大切なこともある。けれど、一位になれないと悔しい。それだけは確かだよね。

 でも、いざ自分が褒めたり、勝者を選ぶ立場になったりすると、話はまったく変わってくる。

 昔は、なかなか他の人まで目が回らなかった。ちゃんとできた時、目に見える成果が生まれた時、褒めるまでに至ることが難しかった。

 また中学の話になってしまうんだけど、ちゃんと言われるまで気づけなかった。確かに、褒められると嬉しいし、見てもらえてると信頼できるもんね。先輩として、本当に申し訳ないことをしたな……と今でも後悔してる。

 今もいくつかコンテストに応募してる。ひとつでも、引っかかってくれたらという気持ちでいっぱいだ。GO TO THE VICTORY。誰かの一番になりたい!!

 エッセイ「古今東西・偏愛AtoZ」第V回
 坂岡 優

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 いただいたサポートは取材や創作活動に役立てていきますので、よろしくお願いいたします……!!