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【倫理の指導案】アリストテレス×幸せな教室を作る方法〜机の気持ちから考えよう〜

本授業のターゲット生徒
暗記だけの授業に飽き飽きしている生徒
応用して考えることができる生徒

人間にとっての幸せってなんだ
私にとっての幸せってなんだ
無機物にも気持ちがあるならどうだ


人間最大の武器、理性を使う授業を。



|授業の概要|

分野:アリストテレス(形相・質料・正義・友愛など)
テーマ:幸せな教室を作る方法〜机の気持ちから考えよう〜
目標:思想を応用して考えることができる。

|筆者の紹介|

この記事を書いている人:
ゆとりんり(現役倫理教員)
新卒で倍率100倍の民間企業に就職後、教員に転職
教員採用試験の採用枠1枠に1発合格(働きながらの完全独学)
県に授業の研修用資料の提供や、学校の試験問題見本の作成を行う。
ブログで「ちょっと変わった授業アイデア」まとめてます。

普段は歴史的背景をとらえず、思想に注目した授業を展開していますが、今回は逆に、歴史的背景とのつながりを意識しました。

|このページの見かた|

ゆとりんり流、スライドの授業での使い方はこちらで紹介しています。黒板に映せるように背景を黒くしています。



\導入/

まずはプラトンとアリストテレスの思想の違いを焦点にします。教室を今回のテーマにしているため、「机」を元に考えさせます。

突然ですが、みなさんが当たり前として考えたことすらないであろう質問をします。机ってなんで机なのですか?


復習も含めて、プラトンのイデア論で考えさせます。ただ「イデア論ってなんだったでしょう?」と復習するより、日常を題材に思想を落とし込んだ方が生徒も考えやすいです。

3パターン考えます。思想の応用です。前回のプラトン思想を応用して答えてください。なぜ机は机なのでしょうか?イデア論で答えなさい。



\展開(アリストテレス思想)/

アリストテレス的にいうとどうなるか今回は答えから行きます。生徒の頭の中に「?」が浮かんだらこっちのものです。

ではアリストテレスがどのように考えたのか。早速アリストテレス的に答えましょう。ズバリ!「木が机になりたがっているから」です。


頭の中の「?」を解消します。プラトンとアリストテレスの思想の違いを解説しましょう。簡単に、簡単に。

アリストテレスについて「?」を浮かべた人。プラトンとの違いに注目して解消します。プラトンは本質を外に、アリストテレスは内にあると考えました。つまり、机の中に元から机の本質があるということですね。具体的には…。


具体的に解説します。大きくまとめると「本質は内にある」です。テスト頻出はプラトンは内、アリストテレスは外、これはおさえましょう。

種の段階から全ての本質(形相=ヒュレー)が入っています。木の形相が入っているから木に。木材の形相が入っているから木材に。机の形相が入っているから机になるのです。
目に見えている木は、あくまで入れ物なのです。



\展開(人間の形相)/

木とか机とか身近なもので考えてきましたが、自分達はどうなのか。ここからが本題です。

ここまで本質について考えてきました。プラトンは外に、アリストテレスは内に。では人間の本質は何だと思いますか?みなさんの考える力を使って考えてみましょう?(ペアワーク)


アリストテレスは理性を人間の形相(本質)としました。なぜなら、他の動物にはない人間だけの特徴を考えると、考える力が特徴だからです。


アリストテレスは理性が人間の本質と考え、そんな人間の幸せとは何かも示しています。これは理想的な社会と生活に関わってくるところなので、題材にして考えさせます。

人間の本質を「理性」としました。そんなアリストテレスは人間にとっての幸せを何としたのでしょうか?本質を理性とすると(ヒント)、どんな生活が幸せになりますか?(ペアワーク)


ちなみにこちらが解説になります。中間を意識し、理性をフル活用する生活が理想としました。しかし、理想の生活には身につけるべきことがあります。

中庸の中で、理性をフル活用させる生活こそが理想。それには身につけるべき徳(性質・能力)があります。と学術上では言えます。ですが、これを現実に応用して考えるとどうか。


ここからさらにレベルアップします。本授業のターゲット生徒は「応用ができる生徒」にしているため、難易度は上げています。

さて考えてみましょう。幸せ(=中庸の中での観想的生活)を実現するには、前提となる中庸を学ばないといけません。先ほどの例だと「無謀と臆病の中庸が正義」というのは学ばないとわかりません。

つまり、学の環境も大事ということです。ここからは理想の学びの環境について考えます。みなさんはどんな環境を理想としますか(何があるとか)?


生徒に発表してもらったのち、すんなりとアリストテレスの考えを生徒に見せます。「答えやん!」となっても構いません。まだ先を用意しています。さらにレベルを上げます。

みなさんの発表によると、〇〇こんな環境が理想なのですね。アリストテレスは、他者と社会が必要と言いました。

「こんなの当たり前やん!」って話ですよね。「そんな前提の話なの?」と思う人もいますよね。一応ちょっと深いので聞いてください。


生徒に「は?当たり前の話かよ」とちょっとアリストテレスへの怒りを抱いてもらったところで、具体的に話をします。嫌よ嫌よも好きなうち理論です。怒りを知識欲につなげます。

ただ他者と言っている訳ではありません。そこにはフィリア(愛)が必要ですし、社会を成り立たせるには正義が必要です。

活躍した人にはその分報酬を与えるような配分的正義(出来高のような)、誰かが傷ついたなら、傷つけた側はその分に応じて賠償を与えられる調整的正義。これがあって初めて社会が成り立ち、そこで人が考えられる土台ができるのです。



\まとめ(最後の考えよう)/

最後の考える問題が一番レベルが高いです。アリストテレスの思想を日常へ応用させます。最後にグループで共有させ、発表できる場を用意しましょう。

アリストテレスが何を幸せとするか、その実現には何が必要か、わかったと思います。では、現実に応用させます。校則を作っても構いません。人間としての幸せを実現する教室とはどのようなものか考えなさい。



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