アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ
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アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ

 タイトルを読んで、ドラクエの呪文か?(強そう)と、謎めいた顔をしている皆さん、ごきげんよう。あるいは、ヨーロッパのどこかの小さな国の有名な画家の名前であろうか、いやいやそれとも、「ペペロンチーノ」と付いている、アレはたしかイタリアのパスタの一種であったなと、ここまで推理できたあなたはきっと将来は探偵になるか、すご腕デカになること間違いないでしょう。でも、一体どんな特別なペペロンチーノなんだろう?と、色々と想像を膨らませて頭の中で、いつも家で作っているペペロンチーノにエビやらカニやらを思い思いにトッピングし始めた奥さん、ちょっと待った!。
 実はこれ、奥様方が普段ご家庭でお作りになっている、あの子どもたちも大好きないつもの普通のペペロンチーノの事なのです。え、どういうことかって、「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」というのは私たちが普段そう呼んでいるペペロンチーノの正式名称だとか。天空の城ラピュタの主人公、「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」のことをシータって短くして呼んでいるのと同じです。ちなみにラピュタ語で「トエル」は「真」、「ウル」は「王」を意味するらしく、合わせて「真のラピュタ王・シータ」という意味だとか、違うとか。
 話が大幅にそれました。話をペペロンチーノに戻すと、イタリア語で「アーリオ」は「にんにく」、「オーリオ」は「(オリーブ)オイル」、「ペペロンチーノ」は「唐辛子」を意味するそうです。なんだ、ただ使う材料の名前を並べただけでした。流石、カッコつけの本場イタリー。日本語にちょいと言い換えれば、「にんにく・油・唐辛子」スパゲッティ。んん、あんまおいしくなさそう。
 まてよ、そうすると普段私たちはペペロンチーノのことを「唐辛子」と呼んでいることになる。「悠斗~、今日の夜ご飯は唐辛子よ~」そんなのやだ絶対。日本に遊びに来てこのセリフを聞いたイタリア人には、本気で日本人が夜ご飯に唐辛子を丸かじりすると思われてるのかな。。。
 何がいいたいかというと、今私はペペロンチーノ作りに凝っている。きっかけはいつだって単純、雑誌『popeye』でペペロンチーノの特集が組まれていたのを目にしたからだ。本場イタリアでは家庭の味として親しまれ、日本でも今や頻繁に食卓に登場するペペロンチーノ、実はこだわってみると割と奥が深い世界なのだ。
 日頃、「料理が好きだ」とあちらこちらで公言している私。ここは一つ、こだわりぬいた、いつもとは一味違うペペロンチーノを作って見せようと意地になったのだ。雑誌で紹介されているシェフたちのレシピから注意点をまとめると、3L以上の大量のお湯でゆでるべし。小麦の味わいが深いパスタを選ぶべし。麺の太さと特性により塩加減を調整すべし。にんにくは少々値が張っても上質なものを。唐辛子はピリリ感に瞬発力がある伊カラブリア産を。EVオリーブオイルは加熱すると旨味が失われるので安いものでOK。イタリアンパセリも忘れずに。となかなか骨の折れそうな作業だ。
 それでも頑固な私、隣の駅まで言って、まずはカルディで良さげな生パスタを購入。いつもはマ・マーの大容量のやつしか買わない。「ニンニクは青森県産かスペイン産が良い」と書いてあったが、それって遠回しに「中国産は良くない」といっているようにしか聞こえない。第一、青森とスペインっていう並びがおかしくないか、、。気を取り直してここは青森県産の大ぶりのにんにくを購入。唐辛子は家にあるが、カラブリア産ではないことは確か。まあよしとしよう。
 いつもは値段しか見ないので、買い物だけでもそうとう草臥れたが、どんなに美味しいペペロンチーノが出来上がるのだろうかと胸を躍らせながら帰宅。いざ究極のペペロンチーノ作りへ。まてよ、うちには3Lもお湯が入る鍋がないので、小さめの鍋に並々2.4Lのお湯で妥協。
 てんやわんやしながら、出来上がったペペロンチーノ。それでもにんにくが良いものだからか、いつもより香りが高い気がする。同居人のK太君といただきますをして一口。。。。うまい。うん、うまい。でも、何というか。なにかが落ち着かない。食べていて安心感がないというか。余所行きの無理している感じの味。二人ともペロッと完食してしまったが、K太君も「何かが足りない」という違和感を感じたようで。
 パスタだけではお腹いっぱいになるはずもなく、結局ペペロンチーノを平らげたあとに、冷凍庫にあったレトルトの吉野家の牛丼の具をあたため、生卵と一緒にほくほくのご飯に乗せて一杯。うまい!食べていて安心する味だ。そうだ、これこれ。
 きっと、二人とも前世でもイタリアには縁がなかったのであろうと思ったのであった。

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板前見習いの大学生の日常の断片をエッセイに綴り発信。アナザースカイはバングラデシュとインド。