ラポール 6：巻き込まれやすい環境因子

木之下：これまで巻き込まれという事象について、一般に語られているものとは違う切り口で講義してきたつもりです。

とは言え、まだ巻き込まれという概念の表層部分しか話ができていません。
これからの講義で、少しずつ内部に切り込んでいきます。

そのためには、以前に説明した内容を再検討して、より深めるという作業が必要となってきます。
ですから、同じ繰り返しかと思う内容も出てくることでしょう。
しかし、それらはさらに分解、展開して、より中核に近づく下ごしらえとして、復習をしていると考えて下さいね。

円山：はい。
橘：少しじれったいです。
木之下：この度は、以前の講義より踏み込んだ内容の「巻き込まれやすい環境因子」について討論していきます。

２時限で、「親密度と巻き込まれは、正の相関性がある」というお話をしました。
この講義では、ここを中心に掘り下げていきます。

これもすでにお話していることですが、親密度が高い人って、どのような人でしょう？

橘：恋人ですね。

円山：そして、家族です。

木之下：そうです。こういう方達は、すでに自分の気持ちに近いため、日常的に巻き込まれが起こります。

さて、ここからが、新しい切り口です。

すでに親密になっている人を除いて、どのようなタイプの人がより親密になりやすいと考えますか？

円山：やさしい人、穏やかな人
橘：サッパリして、かっこいい人。男女にかかわらず。
木之下：確かに、そのような人は、人に好かれやすいでしょう。
そうは言っても、現実問題、君たちの前にそのような人が現れた場合、すぐに好意を持ちますか？
橘：それは、ケースバイケースだとしか言いようがありません。その方の他の要素は知らないし、どのような話し方や振る舞いをするのかも接してみなければ分かりません。

木之下：それは、そうですよね。
女性のある層は、理想のタイプの男性は、やさしくて思いやりのある人だと言っています。
だからといって、その人を好きになるとは限りません。

むしろ、ムキムキの筋肉系の人やワイルドな人に惹かれる方も多くおられます。
橘：ありえます。

木之下：じゃあ、自分が本当に理想とする、たくましくて、りりしくて、やさしくて思いやりのある、白馬に乗った王子様が現れた場合は、どうなるでしょうか？

橘：好意を抱く可能性は高くなると思いますが、それでもまだ分かりません。
実際のところ、会話して話が合わなければ、それ以上の興味を持つことがありません。

木之下：それから、その白馬の王子様のお顔立ちが、自分の好みに合わなかったら？

橘：先生、今日は、妙にじれったいところをつきますね。こればかりは、本当に分かりません。いわゆる、縁やタイミングという偶然的な要素もありますよね。

木之下：一般的に容姿がよい異性はもてやすいです。その容姿がズバリ自分の好みに合って、好きになってしまうケースはよくあります。
でも、世の中には多様性がありますから、それがすべてではありません。

橘：反論はありません。

木之下：少し妙な言い方だと思うかもしれませんが、顔が多少ぶさいくでも、もてる男のタイプを知っていますか？
もちろん、1つのタイプではありません。

円山：うーん。マッチョ？
橘：女の子のようなかわいらしい子？
木之下：そういう例もあるでしょう。
実際、マッチョ好きな女性はかなりいます。
それから、意外に思うかどうかですが、「お相撲さん」って、思った以上にもてるのですよ。
円山：あ、そんな話を聞いたことがあります。
橘：そうなの？
木之下：そうですよ。それは、さておいて、容姿が多少ぶさいくでも、もてやすい人種を紹介しましょう。

橘：あ、分かった！お金持ち！

木之下：うわ、その回答は、予想してなかったです。
確かに、お金持ちは、そうでない人より、彼女もできやすいし、きれいな彼女も多いですね。
円山：そういう話は聞いています。

木之下：しかし、お金持ちを好きになる人は、その人の人格が好きになるのか、お金が好きなのか、分からないですね。
お金持ちには成功者が多いから、魅力的な人が多いことも確かです。
橘：きれいな女優さんが、お金持ちの実業家と結婚したり、恋人になったりすることは多いですね。

木之下：それは、高い確率で起きるでしょう。
収入が多い女性は、自分に見合う収入を得ている男性と付き合うことが多い。
ある程度、正当性があるでしょう。

1 収入が少ない男性は、自分より収入の多い女性を満足させるエスコートを行うことができない
2 生活の華やかさに大きな違いがあると、同性でも付き合うことが難しい
3 有名な人は、別の有名な人で出会う機会が多くなる

などの理由があげられるでしょう。

ちなみに、収入の少ない女性が、過大な収入のある男性と付き合っている場合、それは、「愛人」と呼ばれることが多い。
愛人は、恋人ではなく、生計を立てるための職業です。

円山：友達の夕子が、愛人について、同じことを言っていました。
橘：愛人じゃなく、人格がすばらしいお金持ちと出会ってみたいものです。
木之下：いつのまにか、恋愛論になってしまいましたね。
この分野も極めていくと、恋愛心理学になっていきます。

さて、それはとにかく、話を戻しましょう。

質問は、なにでしたか？

橘、円山：？？？

木之下：多少ぶさいくでも、もてやすい人のタイプです。
橘：ああ、そうでした。
木之下：話の話題が前から大きくはずれると、以前、見ていたものが見えなくなるでしょう？
マジックや手品は、この心理学を用いています。

さて、話が脱線しまくりました。そろそろ回答の1つを提示します。
円山：はい。教えてください。

木之下：「おもしろい人です」

橘：はあ？
木之下：一般に人は、自分が不利にならないよう、だまされないように、防衛本能を働かせています。
おもしろい人は、そういう人を笑わして、警戒心を解きます。
防衛本能がセットしているガードを外すのです。
そうして、精神的距離をつめる。
橘：なるほど。
木之下：精神的な距離をドンドンつめていくと、身体的な距離も縮まります。
精神的な距離が近い人ほど、身体的な距離も近くなっていきます。
そして、あるタイミングで、背中のフックを外します。

橘：あ、少し前に同じような手口を莉子さんから聞きました。
木之下：こういう話は、個人では特殊な話になるのでしょうが、社会ではよく起こっていることなのです。
橘：つまり、心理学的に有効で、理にかなっていると。
木之下：そういうことです。
芸能界でも、芸人さんが、美女とカップルになっていることがあるでしょう？
2007年、陣内智則さんは、藤原紀香さんと結婚しました。
他にも思い浮かぶでしょう？

さて、今日の講義は、ここまでです。
いかがでしたか？

円山：刺激的でした。
橘：一時、ムキになってしまいました。

木之下：次の講義は、別の設定のお話です。
楽しみにしてください。
橘、円山：はい。

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考察：おもしろい人は、人のガードを緩めて精神的な距離を縮める
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