新聞記者ドキュメント

映画『i新聞記者ドキュメント』公開に寄せて

 本日(2019年11月15日)から映画『i新聞記者ドキュメント』が公開されています。森達也監督が望月衣塑子・東京新聞記者の活動を追った作品です。

予告編
https://youtu.be/g4FBg_dvuNw

 私は試写会で見ましたが、お金を払って見る価値がある映画だと思います。

 望月ファンは、どのみち見るからいいのですが、望月嫌いの人たちこそ見るべきです。望月記者が菅義偉官房長官は当然のこと、取材先、そして東京新聞社内でも無下に扱われるシーンが何回も登場し、そのたびに溜飲が下がります。

 ただ、警察官が望月記者や森監督の通行を妨害するシーンは注意して見てください。主義主張の違いはあっても、こういう職権濫用を許していいと考える国民は少ないはずです。

 望月記者は記者クラブ制度の枠内で活動しています。私のいつもの表現で言えば、「いけすの中で泳ぐ養殖魚」です。私のようなフリーランスは「いけすの外で泳ぐ天然魚」と言えます。

 この映画は「養殖魚にも変わったのがいるね」という話です。しかし、天然魚にはもっと変わったのがたくさんいて、その中に養殖魚が入れば埋もれてしまいます。

 だから、この映画は、必然性があっても、いけすや天然魚の話はしません。それはそれで、「変わった養殖魚」の価値を下げないようにするためですから理解できます。

 しかし、観客からすれば、記者クラブや首相官邸で行われる記者会見について、あまりにも説明が少なく、理解できないのではないかと危惧されます。

 そこで、私がパチンコ業界誌『PiDEA』(ピデア)2010年6月号に書いた記事に加筆して公開します。映画の鑑賞前でも鑑賞後でも、ぜひ一読して理解を深めてください。

ここから先は

2,315字

¥ 100

大きなスクープを期待する読者には、大きなサポートを期待したい!