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ぼくのお日さま

夜の風が秋になって、コンクリートだらけのビル街からも遠くから虫の声が聞こえてくる。いい季節だなと思う。

勧められた映画を観にきた。お気に入りのキノシネマで19時20分からのチケットを買う。『ぼくのお日さま』という作品で、ハンバートハンバートの曲を構想として作られたのだそう。それ聞いただけで見に行こうと決めた。

時間が時間だし、場所が場所だったから小さな映画館だけどほとんど人がいなかった。ちいさな贅沢を心の中でちいさく喜んだ。

スケートをする少女に恋をした吃音の少年の話だった。まず驚いたのは映像比が1:1だったこと。シーンのどれもがまるでCDのジャケットのようだった。台詞らしい台詞だったり、映画らしい展開とか余計な説明がないのがすごくよかった。

国語の授業中、音読で当てられたたくやが上手に言葉が出ていかないシーンが印象的。自分ではどうしようもないことがあっても人生はありのままに流れていくんだなと思った。

スケートが上達する様子とか幼い恋心とか、観ていると親みたいな気持ちになる。感情を重ねる人物が変わっていて、自分も大人になっているんだなと感じる。

内容には深く触れないけれど、会話がない時間を大切に撮った映画なんだなっていうのはすごく伝わってきた。あと、エンディングがすごく可愛くて好きだった。

観ていてどこか切ないけれど、その分温かい気持ちになる作品で観てよかったなと思う。

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