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理念浸透活動を始める前に確認するべき3つのこと

理念やミッション・ビジョン・バリューの浸透活動に取り組んでいる方も多くいらっしゃるでしょう。いくつかの会社様の理念浸透活動に携わる中で、取り組みの前に押さえておくべき3つのポイントに気づいたので、まとめてみました。ぜひご参考にしてみてください。

①理念体系を整理する
②理念浸透を担う社員内で、理念体系の認識を揃える
③どの組織集団が主体となって理念浸透を進めるか決める

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①理念体系を整理する

理念やMVVの浸透活動に取り組み始める際にまず行うべきは「理念体系の整理」です。前提として会社のこれまでの経緯や社長の考え方によって最適な整理の仕方は異なります。

お勧めは、ミッション、ビジョン、バリューという枠組みで一貫性を保って整理することです。

・ミッション:長期的に不変な会社の使命や存在意義(to do)
・ビジョン:ミッション実現に向けて会社が中期的に目指す姿(to be)
・バリュー:社員に求められる思考や行動の判断基準

そして、貴社の理念体系をMVVの枠組みに当てはめたときに、欠けている概念があったり、または余る概念が出てくるかもしれません。浸透活動を実際に始める前に、どう対処するかを考えておくべきでしょう。

欠けている概念がある場合

弊社が関わってきた中では、ビジョンやバリューが欠けている企業様は意外と多いです。ビジョンが不在だと、ミッションとバリューの接続が弱くなり、「会社として具体的にどこを目指すのか?」が伝わりづらくなります。一方、バリューが不在だと「具体的にどんな行動をすればよいか?」が分かりづらく、ミッション・ビジョンが日々の業務と繋がりにくくなります。

欠けている箇所に何らかの概念があった方が社員の方々の理念体系に対する納得感を高められそう(=より浸透しやすい)であれば、新しい概念を作り穴を埋めることを検討しても良いでしょう。

余る概念がある場合

基本的には、ミッション・ビジョン・バリューに対応して一つずつ自社の概念を浸透させていくのがシンプルですし、分かりやすいと考えています。

一方で、自社においてミッションにあたる概念は「社是」と「経営理念」があり、どちらも捨てられないという場合は、2つの概念がミッションに当たると整理して構いません。ただし、ミッションの中でそれぞれがどういった意味合いなのかは整理・明文化するべきでしょう(下記の例のように)。

社是:創業者の意思が込められた会社の使命(より上位の概念)
経営理念:社是を一段ブレイクダウンした、社会における会社の存在意義

②理念浸透を担う社員内で、理念体系の認識を揃える

次に重要なのが理念浸透を担う社員内(多くは、人事や広報といった部署やその中の1チームでしょう)で、理念やミッション・ビジョン・バリューに対して共通の認識を持つということです。

人によって認識がバラバラだという会社様の場合、浸透活動を進める中で理念やMVVの体現事例として取り上げるエピソードが人によってズレたり、偏りが生まれるといった懸念があります。

どのようにして認識を揃えていくべきなのか、Ⅰ理念やミッション・ビジョン、Ⅱバリューの2種類に分けて説明します。

Ⅰ理念やミッション・ビジョン

「理念やMVを具体的に言うとどういうことか」という問いに対して出てきたアイディアを「時間感」「対象」の2軸で整理するとよいでしょう。

時間感:何年後のことか
対象:誰にとってのことか

そもそも理念やMVに対する認識のズレが生まれる場合、理念やMVが実現していることを思い描いたときに想定している時間感や”誰にとっての未来を想像したか”が人によってバラバラなことが多いです。ですので、時間感や対象といった観点を揃えて考えることで、ズレや偏りが少なくなります。

Ⅱバリュー

バリューや行動指針をまさに体現した具体的な行動例と、一見体現しているように見えるができていない具体的な行動例をそれぞれ明文化することが重要です。

ポイントになるのは、業務上の具体的な行動レベルに落とし込むこと、またバリューを体現している例と体現できていない例の差を分かりやすく示すことです。

③どの組織集団が主体となって理念浸透を進めるか決める

最後に、全社で理念浸透活動を推進する上で、主体となる組織を決めます。大きくは2通りあると思います。

一つは、役職が上の階層から下ろしていく方法。もう一つは、希望者に役割を担わせる(アンバサダー制度などと言われます)方法です。それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

Ⅰ役職が上の階層から下ろしていく

メリット
・上司から部下に浸透する構図になり、活動自体には取り組みやすい
デメリット
・浸透を担う管理職からすると定常業務+αの負担が増えることになり、手薄になってしまいがち
・浸透活動に前向きでなかったり、批判的な管理職がいると、その部下も理念を自分事として感じにくい

Ⅱ希望者に役割を担わせる(アンバサダー制度)

メリット
・やる気のある社員を浸透する主体として抜擢することができ、理念浸透に対して前向きなモメンタムを生むことができる
・役職や部署を越えた希望者同士の関係性やコミュニケーションが生まれるため、組織の活性化に繋がる

デメリット
・アンバサダーの選出や組織体制の構築など、浸透活動に取り組み始めるまでの準備に時間がかかる
・各現場において、部下から上司に向けて浸透を図る場合も出てくるので、受け取る側が説得力を感じにくいこともある

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以上になります。いかがだったでしょうか。理念浸透活動に本格的に取り組み始める前に、ぜひ下記3つの観点を確認してみてください。

①理念体系を整理する
②理念浸透を担う社員内で、理念体系の認識を揃える
③どの組織集団が主体となって理念浸透を進めるか決める

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