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【AISTS #5】 3週目 SEMOS(2019/10/7-13)

ラグビー日本代表、勝ちましたね。かっこよかった。いわゆる「にわかファン」ですが、まだまだ楽しませてもらおうと思います。
台風で試合がキャンセルになってしまったカナダとナミビアの選手たちがボランティアや交流会をしてくれたのは、本当に素敵な行動でしたね。スポーツって素晴らしいなと、改めて感じました。

SEMOS

さて今週は、SEMOS(Sport Event Management and Organisation Seminar)というプログラムで、スポーツイベント運営に関する講義でした。
「大学院」でイメージされるようなアカデミックな内容ではありませんが、実際に運営を経験している人たちが講師として実務のポイントを話してくれます。
講義のタイトルと講師の所属を書き出してみると以下の通り。

From Strategy to Operations - Head of Games Delivery Beijing 2022, IOC
Sport Competition - CEO Winter Youth Olympic Games Lausanne 2020
Venue Management - ARC Event Consultancy
Event Budgeting - UCI (Union Cycliste Internationale) 国際自転車競技連合
Business Development - Freeride World Tour
Sponsorship - Commercial Director, FIVB 国際バレーボール連盟
Technology - IOC Consultant
Protocol & Hospitality - Independent Consultant
Press & Broadcast - Independent Consultant
Ticketing - Independent Consultant
Accreditation - IOC Advisor
Safety & Security - R3S Global
Logistics & Transport - Orangebox Associates
Workforce Management - Orangebox Associates
Spectator Experience - Head of Spectator Experience London 2012

こうして見るとたくさんありますね。大小の差はあれど、一つのイベントを開催するにはこれだけの役割が必要で、多くの人が連携して成り立っているわけです。
5日間にこれだけのテーマを詰め込んでいるので浅く広く、経験者にとっては当たり前の内容も多かったようですが、プログラムの始めに概観することには意味があったと思っています(講師によってクオリティの差は大きかったですが)
ラグビーワールドカップの台風への対応を見ていても、その裏で起きている様々なことを具体的に想像できるようになりました。

IOCとしては、オリンピックの持続可能性についての懸念を強く持っており、「New Norm」がキーワードです。詳しくはリンク先を読んでみてください。

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(出典:IOCホームページより抜粋)

1コマ1.5〜2時間で、講義の中で Group Exercise がよくありました。お題を出されて、この状況でどう対応しますか?ということを5人くらいで話して発表してくださいとか、グループ内でロールプレイしてくださいといったものです。
例えば、

・テコンドー世界選手権で、初日のセキュリティチェックに想定以上の時間がかかり、翌日は改善しないと選手の準備時間が確保できない恐れがある。どのような対応策が考えられ、それを実現するためには今晩と翌朝でどのような対応が必要か?(Venue Management)
・7日間の自転車レースが開催される。必要コストを試算してその根拠を説明せよ(コストはカテゴリー分けされていて、グループごとに1カテゴリーを担当)。(Budgeting)
・ハンドボールの大会が開催される。顧客のペルソナを定義して、5E(Explore - Entry - Experience - Exit - Extension)のフレームワークでカスタマージャーニーを想定し、マーケティングの打ち手を提案せよ。(Spetator Experience)

はじめのうち困惑したのは、前提条件があまり提示されないことでした。出場選手は何人か、全体の予算はいくらか、といった条件ですね。
あえてそのような出し方にしていた(そこに至るプロセスも大事な)ケースと、単純に設計が甘かったケースとどちらもあったと思うのですが、その状況への対応が人によって違うのが面白かったです。

僕は「正解」を求めがち(これは直さないとと思ってます)なので、講師に条件を聞こうとするのですが、そんなことを気にせずにどんどん話を進めようとする人もいるわけです。そこで例えば、「いやでもスタッフの人数が分からないと進められなくない?」と聞くと、「だいたい100人くらいでしょ」と言って進めていきます。彼の中では設定ができているんですね。
正解ではなくプロセスやロジックが重要なので、それ自体は大歓迎なのですが、グループの中では前提を揃えようよ、という話になるわけです。
みんなの「常識」が違うので、こういった前提のすり合わせもこのプログラムで学ぶべきことの一つと思っています。

スポーツ関連ネタ

INEOS 1:59 Challenge と銘打った企画で、マラソンの2時間切りが遂に達成されました。スポーツの見せ方として非常に上手かったですね。一人のヒーローを担ぎ上げて、「人類の挑戦」のような分かりやすいテーマを設定して、無料で全世界に配信。僕も食い入るように観てしまいました。

主催のINEOSという会社のことはよく知らなかったのですが、これを機に少し調べてみると、イギリスの大手化学メーカーで、今年の5月には人気の自転車ロードレースチームを買収するなど、スポーツへの投資が続いています。
一方で、本業ではシェールガスの発掘手法を巡って環境問題で糾弾されている面もあり、スポーツの「使い方」について考えさせられました。

例えば水泳でもISL(国際水泳リーグ)が今年から始まったように、民間の(協会管轄でない)大会が増えてお金が集まる流れが、いわゆるアマチュアとされてきていた競技でも加速しています。
そうなると、選手は出場する大会を選ぶ必要があり、どの大会に出るかが、ある種の意思表明にもなり得ます。今回で言えば、キプチョゲはイネオスの認知拡大にかなり貢献してるわけですよね。
もちろん、今回走ったからキプチョゲはイネオスの事業を全面的に肯定している、というわけではないですが、そういう見られ方もしかねません。さらに競合となる大会が増えてくると、より「選んでる」ように見えるようになってきます。
そういった競争が生まれてくると、スポーツの公共性をどう担保するかがより大きな課題になってくるのだろうと思います。

課外活動(遊び)

大学内のサッカー大会が始まりました。人工芝のきれいなグラウンドで、ちょっと活躍できるくらいのちょうどいいレベルで楽しくやってます。

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土曜日はイタリア人のクラスメートの家でラザニアパーティー。この手の交流がこのプログラムの醍醐味の一つですね。そのうち日本食パーティーもやらなければ。

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日曜日はスポーツバーでラグビー観戦。スコットランド人が多く完全にアウェイでしたが、日本代表の戦いぶりに最後はみんな拍手。
台風の影響が残る中、開催にこぎ着けた運営の皆さんの思いも乗せて、選手たちが最高の結果を出してくれました。日本人として誇らしい。

来週の予定

月曜日の朝は初めての試験。2週目のオリンピックシステムに関する筆記試験のようですが、どう対策してよいのかいまいち分からず。
キャリア形成に関する講義を挟んで、週の後半は財務会計。ある程度バックグラウンドがあるので、まだゆったりな週になりそうです。

週末はユベントス対ボローニャを観にトリノへ。冨安は怪我で出られないのでしょうか。。ラグビーの南アフリカ戦もあり、楽しみな週末です。

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