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【AISTS #14】 12週目 デジタルマーケティングと日帰りルツェルン (2019/12/9-15)

月曜日の朝にスポーツマーケティングの試験があり、その後は金曜日まで、デジタルマーケティングの講義でした。
日曜日はルツェルンに行ってきました。スイスで初めてのサッカー観戦と、欧州サッカー界で活躍する岡部さん(TEAM Marketing)と飯塚さん(シントトロイデン)に会ってきました。

デジタルマーケティングの講義

世界有数のホスピタリティの大学 Ecole hôtelière de Lausanne (EHL) から講師を招いての講義で、火曜日から金曜日の4日間(90分×15コマ)で以下のトピックをカバーしました。

- Personas and value proposition
- Information architecture
- Customer journey and marketing actions
- Channels (owned, paid, and earned)
- Persuasive design
- Search engine optimization (SEO)
- Advertising ecosystem
- Evaluate effectiveness

この一連の講義では、スポーツ特有の内容はあまりなかったので各論は割愛しますが、ケーススタディで取り上げられた Under Armour の事例が面白かったです。女性売上比率を高めるために実施された "I WILL WHAT I WANT" というキャンペーンです。

会社として史上最大の$15M(約16億円)をかけて2014年に実施したキャンペーンで、$500Mだった女性売上を28%($140M)増加させた成功例とされています。このキャンペーンの結果、Under Armour は米国内の市場シェアで adidas を上回り、NIKE に次ぐ2番手のスポーツブランドとなりました。
前年に実施された adidas の "Unite All Originals" という女性向けキャンペーンが失敗に終わったことを受け、2番手の座を奪うためにリスクをとるタイミングと判断したそうです。

ブランドイメージを伝える抽象的な動画を作った adidas に対して、Under Armour は苦難を乗り越えた女性アスリートのストーリーを描いたことが特徴でした。今では主流になってきていますが、影響力のある人物の具体的なストーリーが消費者の共感を生んだ良い例と言えます。
また、そのメッセージは、NIKE や adidas に挑む Under Armour 自身の姿(The Underdog Spirit:雑草魂)とも重なり、より強いブランドイメージを築くことにも成功しました。

他にも、フィットネスアプリやウェアラブルデバイスを通したコミュニティ作り、リオデジャネイロ五輪でのアンブッシュマーケティングなど、興味深い取り組みが多い会社です。

グループワークでの気付き

デジタルマーケティングの講義の中で、AISTSが取り組むべきキャンペーンを提案するグループワークがありました。大学院への応募者数の増加を目的とし、女性比率の上昇や卒業生コミュニティの充実といった観点から、6人のグループでキャンペーンを企画してプレゼンしました。
マーケティングの内容というよりは、グループワークからの学びが大きかったので少し具体的に触れます。これまでも講義の中でのグループワークはありましたが、今回は成績評価の対象となるとのことで、(自分も含めて)クラスメイトの姿勢が少し本気になりました。

プレゼンの準備時間は木曜日13時半からの3時間半、17時の時点でプレゼン資料を講師に送付し、翌朝プレゼンという流れでした。
最初に想定していた時間配分はこちら。

①方針とプレゼンの構成、役割分担:60分
②各パートのリサーチ、スライド作成(2人×3組):75分
③各パートを持ち寄って一貫性の確認/調整:45分
④予備:30分

ところが、いきなり①で20分くらいオーバーしました。グループになった時点で危惧していた状況ですが、主張の強いリーダー気質のメンバーが多く、キャンペーンの内容になかなか折り合いがつかず。
僕としては、キャンペーンの内容にはそれほどこだわりはなく、これと決めたキャンペーンをどうプレゼンするかが重要で、それがこのグループワークの目的と考えていたのですが、他のメンバーは想像以上にキャンペーンの内容にこだわっていたのが印象的でした。この辺の感覚は理屈ではないのかもしれません。

コンセンサスを完全には取れないまま、2人が「このパートはおれらが巻き取るから」と言って、なし崩し的に②に突入。結果的には、ここで止めておくべきでした

②の間も軽く進捗確認はしていたものの、③のタイミングで持ち寄ると、上記の2人からは他のメンバーのイメージとはやや異なる成果物が。
残り1時間という中でひっくり返すわけにもいかず、まずはプレゼン資料を完成させることに注力。資料に記載する文字は極力減らし、説明でカバーできる範囲を増やし、説明は翌朝までに整理する方針で、なんとか完成。

翌朝のプレゼンは英語ネイティブのメンバーがうまくこなしてくれましたが、日本語であればもっとうまく仕切れたのに、というもどかしさが残るプレゼン準備でした。
このあたりの、こちらに来て感じるできること/できないことについては、冬休みに改めてまとめてみようと思っています。

課外活動 ー ルツェルン

日曜日はルツェルンに行ってきました。スイス中部、湖畔の美しい街です。ローザンヌからは電車で2時間ちょっとです。

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まずはサッカー観戦。シントトロイデンの飯塚さんと3ヶ月ぶりくらいの再会。社会人になってからの同年代との出会いは嬉しいものです
飯塚さんもnoteを書かれているので、興味のある方はこちらへ。

スイススーパーリーグ(1部)では、ヤングボーイズとバーゼルの2強体制が続いていますが、ホームのルツェルンがバーゼルを2-1で下す、番狂わせと言える試合でした。ゴール裏だけでなく、僕らが座っていたバックスタンドにも熱狂的なサポーターが多かったです。
80,000人の街に、16,800人収容のスタジアム、10,000人の観客。年齢層の高さは気になりましたが、街に密着したクラブとの印象を受けました。

かつては、ヤングボーイズに久保裕也、バーゼルに中田浩二と柿谷曜一朗が所属していましたが、おそらく現在、1部のトップチームに所属する日本人はハーフナー・ニッキ(FCトゥーン)のみ。やはり日本人の活躍も見たいです。

試合後は、AISTSのクラスメイトとも合流して、TEAM Marketing の岡部さんのご自宅にお邪魔しました。TEAM Marketing は、UEFAチャンピオンズリーグのマーケティングを一手に担う会社です。
岡部さんとは、AISTSの受験前にお話しを伺いに来た2018年10月以来でした。キャリアはこれからですが、まずはAISTSに合格して良い報告ができてよかったです。

当然、置かれる環境が変わると刺さる話も変わるもので、前回は「どうやって(欧州の)スポーツビジネス界に一歩足を踏み入れるか」という観点がメインでしたが、今回はもう少し進んで、具体的な就職に向けてのお話しを多く伺いました。

下記の記事でも紹介されているエピソードですが、修士論文用のインタビューという名目でアポイントを取ってご自身を売り込んだとのこと。
目に見える結果の裏にある何十倍ものトライアルと、そのための徹底した準備についての臨場感あるお話しを直接伺い、残り12ヶ月の学生生活でできることはやりきろうと気が引き締まりました。

来週の予定

2019年の最終週となります。卒業要件の一つとなっている論文(Research Paper)について、研究の基本的な考え方から、テーマ設定、調査手法、タイムマネジメントなどの導入の講義があり、年明けから本格スタートという流れです。
金曜日にデジタルマーケティングの試験があり、冬休みに入ります。


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